ジョセフ・ニューガーデン(チーム・ペンスキー/シボレー)がインディ500初優勝を飾った。昨季2022年シーズンまでで通算25勝も挙げてきて、タイトル獲得も2017年と2019年の2回果たしてきたテネシー出身ドライバーが、未勝利だったインディ500の栄冠を12回目の挑戦でついに手に入れた。今年の第2戦テキサスでシーズン初優勝を記録している彼にとって今回の勝利は通算27勝目となっている。
予選でのニューガーデンは17番手と振るわなかった。チーム・ペンスキーのマシンは、3年前からインディの予選においてはチーム別でのトップ3にも入っていない。トップはチップ・ガナッシ・レーシング/ホンダで、ペンスキーと同じシボレー・エンジンを使う2チーム、アロウ・マクラーレンとエド・カーペンター・レーシングが奮闘していた。
そこでニューガーデンはレース用セッティングで優位を得る作戦に切り替えた。
4月の合同テストで最速ラップをマークした彼らは、そのスピードを維持したままレースを迎えた。しかし予選でのパフォーマンスは低く、結果は17位。それでも、ニューガーデンは徐々に自信を深めていく。
「トラフィックでのハンドリングは上々」、「タイヤがブリスターを出すトラブルも起きていない」などと話しながら、レースに向けてのセッティングを着々と煮詰めていったのだ。
ニューガーデンが優勝争いに絡む可能性を見せ始めたのは、レースが後半戦に入ってから。4回目のピットストップを終えた130周辺りからだった。
レースがいよいよ終盤戦に入った。185周目、予選3位からずっとトップ争いを続けていたフェリックス・ローゼンクヴィスト(アロウ・マクラーレン/シボレー)がターン1でラインが少しワイドになり、ウォールにぶつかった。
彼のマシンはターン2手前まで滑っていき、カイル・カークウッド(アンドレッティ・オートスポート/ホンダ)が避けきれずに接触。その直後に裏返しになった。リヤホイールがタイヤごとフェンスを飛び越えたが、幸いスタンドには飛び込まず、怪我人も出なかった。この直後に最初の赤旗が出された。
リスタートが切られると、今度はターン3でパト・オワード(アロウ・マクラーレン/シボレー)とマーカス・エリクソン(チップ・ガナッシ・レーシング/ホンダ)が競り合い、どちらも譲らなかった結果、イン側のオワードがスピンしてクラッシュ。後続のシモン・パジェノー(メイヤー・シャンク・レーシング/ホンダ)とアグスティン・カナピノ(フンコス・ホリンジャー・レーシング/シボレー)も壁にヒットしてレースを終えた。この後に2回目の赤旗が提示される。
次はリスタート直後にメインストレートでエド・カーペンター(エド・カーペンター・レーシング/シボレー)とルーキーのベンジャミン・ペデルソン(AJ・フォイト・エンタープライゼス/シボレー)がクラッシュ。この時、グリーンからイエローへと変わる直前にトップに躍り出ていたのがエリクソンで、“勝負あり”と見えた。しかし、インディカーは3回目の赤旗中断を行った。もう残り周回数は3周となっていたのに。
最後のスタートは残り1周で切られた。グリーンフラッグとホワイトフラッグが同時に振られた。“何が何でもゴールはグリーン下で”という運営側の考え方には賛否両論が噴出した。
最後のリスタートでエリクソンは2番手以下をうまく突き放したかに見えたが、バックストレッチでニューガーデンが追いつき、追い越した。その後にはもう逆転のチャンスは訪れなかった。エリクソンは食い下がったが、0.0974秒差で2位。2年連続優勝はならなかった。