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ラリー/WRC ニュース

投稿日: 2021.08.31 12:11
更新日: 2022.09.02 15:07

22歳の新鋭ツァイス、初優勝の夢は最終SSに散る。コペッキーが前人未到の地元9勝目/ERC第4戦

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ラリー/WRC | 22歳の新鋭ツァイス、初優勝の夢は最終SSに散る。コペッキーが前人未到の地元9勝目/ERC第4戦

 そんな先輩の言葉を知ってか知らずか、明けたレグ2でさらにギヤを上げたツァイスのフィエスタは、ミシュランのグリップ限界に挑むかのようにオープニングのSS10から4連続ベストタイムを叩き出してスパート。最終ステージとなるSS15を前に、2番手コペッキーに対し20.2秒ものマージンを稼ぎ出してみせる。

 最後の25.43kmを無事に走り終えれば、歴戦の実力派ラリーストたちを相手に栄光の欧州選手権初優勝を手にするというそのシチュエーションを前に、ツァイスの挑戦は無情の最後を迎え、転倒したマシンから脱出し無傷で這い上がってきたふたりのクルーは、残念ながらそこでラリーを終えることとなってしまった。

「右5(ライト・ファイブ)のコーナーで、少し滑りやすい場所だった。ブレーキングは悪くないと思っていたけれど、予想以上にスライドして左のリヤが路上から落ちた。そのままコース上に留まることができず、溝のなかで何かに引っ掛かりホイールを破損した状態で1回転したんだ」と、アクシデントの状況を振り返ったツァイス。

「小さなミスで大きな代償を支払うことになった。困難な時期に僕を支えてくれたファンとチーム、パートナーなどすべての人にお詫びを言いたい。でも、僕らの走りを故郷のズリンとチェコ共和国のみんなが誇りに思ってくれたら幸いだ」

 一方、前日レグ1早々から彼の速さを認めていた“ズリンの盟主”は、最終ステージを走り終えた時点で「彼こそがこの週末の真の勝者だった」との特別なメッセージを贈った。

「彼は勝利に値するし、それは誰の目にも明らかだ」と続けた同ラリー6連覇のコペッキー。「彼はピンデュラのステージで信じられないほど速かったが、最後は表彰台ですべての物事が決する。エリック(ツァイス)は本当に素晴らしい仕事をし、たったひとつのミスを除いて今日の王様だった」

「その一方で、僕らもラリーを成功に導くために勝負している。短期間の難しい準備だったけれど、僕らはこの勝利に値すると思う。コンディションがいつも変化するなかで、僕が走ってきたキャリアのなかで最も難しいラリー・ズリンだったよ」

 その背後には「ライトと泥でグリップを予測するのは本当に難しかった。20秒速いこともあれば、森のなかで立ち尽くすことになる可能性もあった」と語りながら、初日のSS4で最速を刻んでいたミケルセンが、ほぼ10年ぶりのズリン参戦で2位に入り表彰台を獲得。

 今季ここまで1ポイント差でタイトル争いを繰り広げながら、木曜のシェイクダウンテストで大クラッシュを喫し、ラリー開始を待たずに撤退を決めた現ERCチャンピオンのアレクセイ・ルカヤナク(シトロエンC3ラリー2/サンテロック・ジュニアチーム)を上回り、新たな選手権リーダーの座に着いた。

 さらに最後のポディウムスポットには2019年のERC1ジュニア王者でもあるフィリップ・マレシュ(シュコダ・ファビア・ラリー2エボ/ACCRラウレタオート・シュコダチーム)が続き、ミシュラン装着のシュコダ・ファビアが表彰台を独占。一方で、クレイグ・ブリーンの代打として注目を集めたWRC3チャンピオンのヤリ・フッツネン(ヒュンダイi20 R5/チームMRFタイヤ)は、SS7でクラッシュを喫し修復不能なダメージを負いリタイアとなっている。

 劇的なシーズン折り返しとなったERCだが、続く第5戦はこちらもシリーズ伝統の1戦として、大西洋中部に浮かぶサンミゲル島を起点とした島嶼部で争われる風光明媚なグラベル戦、第55回アゾレス・ラリーが9月16~18日に争われる。

レグ2でもそのスピードは衰えず、朝のSS10から4連続ベストタイムを叩き出したツァイスだったが……
レグ2でもそのスピードは衰えず、朝のSS10から4連続ベストタイムを叩き出したツァイスだったが……
「エリックは本当に素晴らしい仕事をし、たったひとつのミスを除いて今日の王様だった」と、新鋭を称えた勝者コペッキー
「エリックは本当に素晴らしい仕事をし、たったひとつのミスを除いて今日の王様だった」と、新鋭を称えた勝者コペッキー
「もちろん(アレクセイ・)ルカヤナクがラリーを戦わなかったのは残念だが、今週末のパフォーマンスには満足している」と2位獲得のミケルセン
「もちろん(アレクセイ・)ルカヤナクがラリーを戦わなかったのは残念だが、今週末のパフォーマンスには満足している」と2位獲得のミケルセン
「エリックにとっては不運だった。彼の走りは勝利に値した」と3位のフィリップ・マレシュ(シュコダ・ファビアRally2 Evo/ACCR Laureta Auto Škoda Team)
「エリックにとっては不運だった。彼の走りは勝利に値した」と3位のフィリップ・マレシュ(シュコダ・ファビアRally2 Evo/ACCR Laureta Auto Škoda Team)


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