上位ドライバーから徐々にスタートランプを抜けていくと、一際大きな大合唱が聞こえ「なんだなんだ?」と思ったら、ノルウェー応援軍団でした。
2003年WRCドライバーズチャンピオンである、ペター・ソルベルグの息子オリバーの応援団。ペターが現役ドライバーだった際も、つねに大応援団がWRCの現場を賑やかに彩ってくれていたので、彼らの歌声が忘れかけていた記憶を一気に戻してくれました。
釣り竿に目一杯並ぶ国旗も懐かしいですが、オリバーはスウェーデン人としてエントリーしているので、申し訳程度のスウェーデン国旗が愛嬌的です。
コロナ禍以降、私にとって初のターマックラリーになりますので、明日からもまた気合を入れて挑みます。
■前回は泥まみれ、今回も受難
金曜日はサロウから北西へ1時間のSS3 Ribaへ。辿り着いた先は、ダムの横。あいにくの曇天模様ですが、モーゼル川を思わせるようなゆったりとした時間が流れています。
SS3スタートが正午頃と時間に余裕があったので、美しい河川の景色を眺めながら、スーパーで購入したイベリコ豚のハムをガーリックバゲットに乗せ、ギリシャから持ち込んだオリーブオイルとシーソルトをまぶして頂きます。ギリシャの時はスーパーへ立ち寄る余裕すらなかったので、余裕のあるアイテナリーに感謝です。
駐車ポイントのダム付近からSS上を2kmの移動。道中のSS脇にはオリーブの木が立ち並びます。
30分ほど歩けば、ラリーカーを見ながら川を見下ろせるポイントに。程よい足場を探すため、脇にそびえ立つ崖を登ろうと試みますが、掴む石、踏み込む岩がことごとく崩れるため、予想通り私も1m以上の高さから崩れ落ちました。
久しぶりに走るむち打ち独特の鈍い痛みを抱えながらも、別アングルから再挑戦。途中、何故私はこんなことをしているんだろうと疑問に感じながらも、なんとか2m以上登り、落ち着いて観戦できそうなポイントへ。
前回のギリシャは泥の上を滑り落ちて悲惨な体験をしましたが、今回は周りに誰もいなかったのが不幸中の幸い? パンツは帰宅したら即洗濯機行きが決定です。
天気が良ければ、真正面から朝日を浴びるラリーカーを拝めたはずですが、天気予報どおりの曇り。お昼から晴れる傾向のようですが、なかなか太陽が顔を出してくれません。
主要ドライバーが走り終え、駐車場へ戻る頃には雲が晴れ、このような絶景に。
私が駐車した場所がスタート手前だったため、クラシックカー部門の車も続々と到着しますが、次のSS観戦へと移動のためじっくりと観察もできずに出発。午後のSS5 La Granadella 2へ向かいます。
そのSSの名前通り、La Granadellaという街の横をなぞるように走るSSですので、午前から観ていたお客さんたちは、街内のスクウェアで思いおもいにランチタイムを過ごしていました。
この町のアルコールを飲み干すんではないかと思わせるような、ビール瓶の残骸が町中に溢れている状態……。ともあれ、こうやってさまざまな小さな街の経済に貢献ができるのはラリーならではですね。
街を出ればそこはもうSSのコース。どこで観戦するか決めていない私はSS上をウロウロしますが、ちょいちょい観客から野次を浴びせられたので、大人しくさせるためにカメラを彼らに向けます。
写真を撮ると、うるさく野次っていたお客さんは何故か大人しくなるので、私が多用する戦法です。海外ラリー観戦で、野次られて困った際には試してみてください。
グラベルとのミックスコースではないので、おそらく、午前中のSSでインカット時にアスファルト上に撒き散らされた砂が舞ってできた結果なのかと思います。
サロウへの帰路でガゾリンを入れようと立ち寄ったスタンドはラリーカーの給油ポイントでもありました。
私のシトロエンC3もガソリン満タンで翌日に備えます。
<後編>に続く。
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■CHOCO CIDER
愛知県出身。フリーランス・グラフィックデザイナー。
2001年、兄がスバル・インプレッサWRX STIを購入したことがきっかけでWRCの存在を知り、WRCレビュー放送のヘビー視聴者に。初WRC観戦の2004年ラリー・ジャパンをきっかけに英会話の習得を開始。
2008年春、本場のWRC観戦を目的に渡英。ロンドンを拠点に年間4~8戦ヨーロッパラウンドを中心に観戦。2016年の帰国後も一年の半分近くをヨーロッパで過ごしながら、小型ミラーレスカメラSONY α6000とNEX-5Rを片手に年間4~5戦を奔走中。2021年、コロナ禍の影響で休止していた現地観戦を2年ぶりに再開する。
YouTube channel:https://www.youtube.com/channel/UC21tf9kvHs1yGU0pfsgVr6Q