11月14日土曜日、14カ月以上にわたって争われてきたWEC世界耐久選手権の2019/20シーズン最終戦となる第8戦バーレーン8時間レース決勝が、バーレーン・インターナショナル・サーキットで開催された。
いくつかのクラスタイトルはすでに前戦で決定済みだが、LMP1にエントリーするトヨタGAZOO Racing2台のドライバーが争うLMPドライバー選手権を始めとしたその他の選手権タイトルの決定は、この最終戦バーレーンに持ち越されていた。
現地時間13時56分、このレースを最後に現職を離れるFIA WECのCEOジェラール・ヌブーと、同ヘッド・オブ・コミュニケーションのフィオナ・ミラーがグリーンフラッグを振り下ろし、フォーメーションラップが開始された。天候は晴れ、気温27度/路温34度というコンディションだ。
ポールポジションの7号車TS050ハイブリッド(マイク・コンウェイ/小林可夢偉/ホセ・マリア・ロペス)はコンウェイ、8号車TS050ハイブリッド(セバスチャン・ブエミ/中嶋一貴/ブレンドン・ハートレー)はブエミがステアリングを握り、レースをスタート。
このレースでは、2019/20シーズンのLMP1クラスに導入されているサクセス・ハンデキャップシステムにより、7号車は8号車に対して1周あたり0.54秒のアドバンテージを持つよう、2車の性能が調整されている。
コンウェイは1周を終えてブエミに1.3秒の差をつけ、その後もサクセス・ハンデキャップにほぼ準じる形でリードを広げていった。最初のルーティンストップでは8号車だけがリヤタイヤを交換したことにより、2台の差はさらに拡大していく。
その後、2時間経過時点で2台の差は50秒、レースの中間地点となる4時間経過時点では、1分20秒ほどにまで広がった。日没を迎えてナイトレースとなるなか、このまま推移すればフィニッシュまでに8号車がラップダウンされるのは確実かと思われた。
だがレースが後半戦に突入した直後、後述するLMGTEクラスにおける接触の影響によりセーフティカー(SC)が導入される。
これによってトヨタ7号車の持つマージンは10秒以下にまで減少。7号車は改めて、8号車とのギャップを構築していくことを強いられた。
今回はLMP1勢がほかにエントリーしていないため、トヨタにとってはライバル不在の戦いとなっていたが、2台は目立ったトラブルなく順調に走行し、両車の差は再び1分ほどに拡大していく。
2021年は新規定『ル・マン・ハイパーカー』に移行することにより、このレース限りで“退役”となるTS050ハイブリッド。その最終スティントは可夢偉と一貴、ふたりの日本人ドライバーに託された。
危なげなく走り切った可夢偉がトップチェッカー。1分4秒後には8号車の一貴もチェッカーを受け、2位となった。これによりLMPのドライバーズ選手権では7号車の3人が207ポイント、8号車の3人が202ポイントとなり、コンウェイ/可夢偉/ロペスが世界選手権タイトルを手にしている。