更新日: 2022.07.10 20:45
ハイブリッドは「使わなくてもタイムは変わらない」と小林可夢偉。トヨタが置かれたBoPの厳しい現状/第4戦モンツァ
「僕ら、コーナリング中に使えるところはゼロですね。最終コーナー出口のあまり意味のないところと、ターン10(アスカリシケイン)の出口くらいで。実際、使わなくてもタイム変わらないという状態ですが、バッテリーを積んでいてリカバリーもあるので、出さないと(放出しないと)ブレーキばかり熱くなる状態になってしまうので、正直、あまり効率よくは使えていないのが現実です」
プジョーとの40km/hの差について可夢偉は、「かなりディスアドバンテージなのは間違いない。正直、この状態でよく戦えているなというのが本音です」と語るが、不満ではなく前向きに戦う姿勢を強調する。
「もともとこのクルマを作り始めたとき、僕らは190km/hのBoPを課せられるということすら想定もしていなかった。それがいまは普通になってしまっていますが、僕らのなかではもう想定したレンジから外れちゃっているところで、頑張ってやっている。いまはこの状態でどうやってチーム一丸となって、パフォーマンスを引き出すのか。こういうなかでもしっかり戦い切る、というところでの勝負かなと思っています」
現状では、『速いクルマを遅くする』のがシリーズのBoPに対する考え方だ。これは、例えばトヨタのハイブリッド使用開始速度を低くするなどして、『速い方に合わせよう』とすると、「他のところがそれに合わせきれない」(可夢偉)という問題が生じるためだという。
「僕らとしてはBoPが緩和されたところで勝負できれば理想的ではあるものの、例えば今回のレースでもなんとか戦って、(ライバルの)トラブルで(自分たちが)前に行ってしまったりすると、それはそれでまたBoP(の調整)は難しいのかなと思います。僕らとしては(シリーズ側に緩和を)働きかけてはいるものの、厳しい状態なのかなと思います」と、チーム代表として交渉する立場にもある可夢偉は、複雑な状況を説明した。
「来年、他のマニュファクチャラーが入ってきたときに、どこに合わせるんだというのは、おそらく誰もまだわからない状態だと思う」と可夢偉。
平川も言うように、この先の後半戦はチャンピオンシップも見据えた重要な戦いとなる。トヨタとしては、引き続きこの状況下でもオペレーション上のミスなく戦い、得られる最大限のリザルトを積み重ねていくしかなさそうだ。