【動画】中嶋一貴TGR-E副会長の生々しい“謝罪”や、ポルシェ963の“固まるステアリング”も。WEC第5戦の裏側に潜入
7月9日にイタリア・モンツァで開催されたWEC世界耐久選手権第5戦。その舞台裏を追った見どころ満載のドキュメント映像が、シリーズの公式YouTubeチャンネルで公開されている。
この『WEC Full Access』シリーズは、TVの中継映像やハイライトでは放映しきれない舞台裏を、ガレージ裏の様子や車載映像・無線などをふんだんに交えながら振り返るもの。モンツァ6時間レースは、ファンが気になるシーンの数々にしっかりと“密着”した41分の動画にまとめられている。
ここではその見どころをいくつか紹介したい。
■ステアリング不調とコミュニケーションの問題に怒り
本編は、レース前のモンツァ市内のイタリア料理店で、ル・マンを制覇した51号車フェラーリ499Pのクルーを、ピットレポーターのルイーズ・ベケットがインタビューするところから始まる。ピットストップの際にマシンがリスタートできなかった場面の振り返りや、最終ラップをピットで見守るアントニオ・ジョビナッツィが、モニターを直視できなかった理由などが語られている。
また、モンツァでの決勝日朝、51号車クルーがサーキットへと向かう車中にもカメラは潜入に成功。決勝前のピットウォークでは、夥しい数のファンが彼らに押し寄せるも「楽しんでいるよ」とジョビナッツィが笑顔を見せるシーンも。
イタリア出身ということで、このレースでハイパーカークラスへデビューすることになったジャンマリア・ブルーニもピットウォークでは人気を集めていたようだ。
グリッドでは、ポルシェのアンドレ・ロッテラーとケビン・エストーレが、他チームのスタートタイヤのスペックを確認しながら歩くシーンが収録されているが、“リアルな偵察活動”の雰囲気があふれていて興味深い。
スタート直後に1コーナーで起きた8号車トヨタと50号車フェラーリとの接触は、前後にいる複数の車両の車載カメラの映像が繰り返しリプレイされ、その詳細を観察することもできる。
その後、8号車のセバスチャン・ブエミがDステーション・レーシング777号車のアストンマーティン・バンテージAMRをウォールに追いやってしまったシーンについては、WECのコメンテーターを務めるアンソニー・デビッドソンが接触の背景などを詳しく“解説”しているほか、トヨタの中嶋一貴TGR-E副会長がDステーションのピットへと謝罪に出向くシーンにもカメラが密着。一貴副会長は藤井誠暢と話すのだが、このシーンは当然ながら日本語で会話がされている。ふたりの間でどんな言葉が交わされたのか、ぜひ動画でご確認を。
ハーツ・チーム・JOTAのポルシェ963を駆るアントニオ・フェリックス・ダ・コスタは、ピットインした際にステアリングの動作不良を訴える。ダ・コスタはシフトポジションの表示が『5』になったままのステリングをガンガン叩いてチームにアピールするも、無線の不調もあってかコミュニケーションがうまくいかない。
その後マシンはコース上にストップ。再起動を行うと、ステアリングが正常に機能し始めたようだ。ダ・コスタは「シフトアップもダウンもできたけど、ダッシュが固まってしまったんだ」と訴えており、マシンを降りた後も、最善のコミニュケーションができなかったことについて、チームメイトと激論を交わしている。
終盤には、参戦開始からちょうど1年で初表彰台獲得となったプジョー陣営のピットの様子も。最終ラップにはチームクルーが肩を組んで93号車プジョー9X8を見守り、チェッカーを受けた瞬間にはドリンクをかけ合い、まるで優勝したかのような大騒ぎに。その様子から、彼らがこの1年重ねてきた苦労が感じとれるシーンとなっている。
次戦、WECはいよいよ日本へとやってくる。その前に、こちらの動画で第5戦を振り返ってみてはいかがだろうか。