一方のホンダHR-414Eは、佐伯エンジニアが「マップ面、制御データなど、ほぼすべて新しくなっていまして、基本的にはこれまでの実績があまり使えないような、それくらい、大きな変更をかけています」と話すように、ビッグチェンジを行った。
「後半スペックは、今年の前半はタイヤメーカーが変わるということもあって、去年、入れたかった項目を除外した状態で今年の前半スペックの開発をスタートさせています。その除外したものというのは、ドライバビリティ。やはりタイヤ特性をつかむために重要であるので、ドライバビリティに影響しそうな項目については、前半から除外して開発を進めてきました。その除外していた項目、そしてもともと後半に向けて開発していた項目、それらをすべて投入したのが、今回のスペックになっています」と話す佐伯エンジニア。
これまでトヨタ陣営に対して劣勢だったホンダ陣営。チームやドライバーからは、今回のニューエンジンの評判は上々で、「下のトルク感がよくなった」「ようやく、トヨタと戦えるようになった」という声が聞こえる。
しかし、佐伯エンジニアとしては、「ドライバーからも良いというコメントを聞きましたが、良いという割には予選順位はもう少し上に行きたかった」というのが本音。「実際、金曜日の走行ではデータ上の不具合が出て、性能を出し切れなかったという状況も出てきました。それがなければ、金曜日からセットアップをもっと詰めることができたと思うので、チームさんにご迷惑をかけてしまった」とは、佐伯エンジニアの予選を振り返ってのコメント。
そのセットアップの詰めの懸念が反映されたのか、決勝では上位のホンダユーザーが結果的に上位を逃し、ホンダ勢最高位は6位。本格的な逆襲は次の岡山ラウンドに持ち越された。一方、ホンダのニューエンジンを警戒していたトヨタはトップ5を独占。TRDの佐々木孝博エンジニアは「予定どおり、新しいエンジンの性能を発揮することができました」と、レース後に笑顔を見せた。