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投稿日: 2023.04.13 21:40
更新日: 2023.04.13 21:44

ThreeBond Racing スーパーフォーミュラ第1戦&第2戦富士 レースレポート

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スーパーフォーミュラ | ThreeBond Racing スーパーフォーミュラ第1戦&第2戦富士 レースレポート

2023年シーズン開幕!新型車輌SF23始動

 2023年度全日本スーパーフォーミュラ選手権シリーズ第1大会(第1戦及び第2戦)が、4月8日(土)〜9日(日)にかけて静岡県の富士スピードウェイで開催された。今シーズンは、シリーズ第1大会と第7大会が1大会2レース制で開催される。

 ニューマシンSF23が投入される今季、チームはThree Bond Racingとして、昨年に引き続き福住仁嶺選手を起用し、 阿部正和チーム代表、 道上龍監督、伊与木仁エンジニア、そして新たにSF23テストドライバーである塚越広大ドライビングアドバイザーが支える新体制を整えて4シーズン目の国内トップフォーミュラシリーズを戦う。

Round.1 公式予選

 ニューマシンにとって初のレースとなる今大会では、金曜日にフリー走行が設けられていたが悪天候によりキャンセル。そのため、土曜日午前中の公式予選方式を急遽変更し、10分間のQ1及び7分間のQ2から成るノックアウト方式から、45分間の計時方式で行うこととなった。土曜日は天候が回復したものの、午前中はまだ前日の雨で路面の一部が濡れている状態で公式予選が始まった。

 今シーズンは車両に加えてタイヤも改良を受けて特性が変化しており、公式予選に向けた足慣らしのためのタイムアタックと決勝レースに向けた特性の確認も行わなければならなかった。結局、福住選手は45分間のセッションで17周を走り、ポールポジションを獲得した野尻智紀選手から0秒948遅れの1分23秒010を記録、16番手で公式予選を終えた。

Round.1 決勝

 土曜日午後、薄日が射す空の下ドライコンディションで第1戦の決勝レースが始まった。16番手グリッドからスタートした福住選手は、前方グリッドでスタートできなかった選手を上手く避けながら加速。さらに1コーナーで発生した接触事故もコースのアウト側からかわし、オープニングラップのうちにポジションを2つ上げて14番手へ進出した。さらに2周目の1コーナーでも接触事故が発生したが、福住選手はこれも上手く避け11番手へ順位を上げたが、ここで1コーナーの事故を処理するためにセーフティーカーが介入して隊列走行が始まった。

 レースは8周目に再開され、10番手から10周目には8番手へと順位を上げ、12周を走りきった段階でタイヤ交換義務を果たすため他選手よりも早めにピットイン。タイヤを交換した福住選手は見かけ上の14番手でレースに復帰したが先行していた他選手もタイヤ交換を始め17周目に13番手、19周目に12番手、24周目に11番手、 25周目に10番手へ順位が繰り上がってポイント獲得圏内に入った。26周目に9番手へ順位を上げた福住選手は、後方から攻め寄ってくるジュリアーノ・アレジ選手と9番手ポジションをめぐって激しく争い始める。

 36周目の1コーナーへ進入する際、減速時のアレジ選手から接触を受けてリヤタイヤがパンクしたため姿勢を崩し、アウト側のガードレールへ当たって走行不能となり、レースを終えることとなってしまった。チームは、破損した車両を回収後、修復にとりかかった。ダメージは外観のみに終わらず駆動系にも及んでおり、長時間にわたる作業が必要だった。修復が終わったのは真夜中、日付が変わる直前のことだった。

2023スーパーフォーミュラ第1戦&第2戦富士 福住仁嶺(ThreeBond Racing)
2023スーパーフォーミュラ第1戦&第2戦富士 福住仁嶺(ThreeBond Racing)

初戦のアクシデントを乗り越え、今季初ポイントを獲得!

Round.2 公式予選

 日曜日の富士スピードウェイは朝から晴天となり、前日より気温、路温共に上昇。公式予選は午前9時から当初の予定通り、Q1、Q2で段階的に順位を決めるノックアウト方式で行われた。福住選手はQ1B組に出走、11台中4番手のタイムを記録してQ2に進出。Q1A組の上位6台、Q1B組の上位6台が出走するQ2は7分間で行われるが、ピット位置の都合上、出走12台のうちの後方でコースイン、予定では3周を使ってタイヤをウォー ムアップし1周のタイムアタックを行う予定だった。

 ところが2周を走ったところでセッシ ョンの残り時間が迫り、ウォームアップを続けるとアタックができなくなる可能性が出てきたため、急遽ウォームアップを2周にとどめタイムアタックに入る決断を下すことに。福住選手は決して十分温まってはいないタイヤでアタックを行い、Q2進出12台中10番手のタイムを記録してセッションを終え、スターティンググリッド10番手で決勝レースに臨むこととなった。

Round2. 決勝

 日曜日の富士スピードウェイは快晴となった。日曜日午後2時19分、第2戦決勝レースのスタートが切られた。福住選手は前方の山本尚貴選手を上手くオーバーテイクして9番手に上がりレースを始めた。前には阪口晴南選手が走っており、1秒弱の間隔を守って周回を重ねた。8周目、1コーナーで停止車両が発生したためセーフティーカーが介入して隊列走行が始まった。

 この隊列走行は、タイヤ交換義務消化が許される10周目も続いたたため、平川亮選手を除く全車がタイヤ交換のためピットインし、福住選手は見かけ上10番手でレースに復帰した。レースは13周目から再開され、15周目後方から追い上げてきた小林可夢偉選手のオーバーテイクを許したため見かけ上の順位を11番手へ落とし、それ以降は小林選手を追い、後を走る阪口選手を引き離しながら周回を重ねた。

 19周目、福住選手はオーバーテイクシステムを使って前を走る松下信治選手に攻め寄り、1コーナーで前に出て順位を上げた。福住選手のペースは安定しており、さらにレース後半、ペースが落ちた牧野任祐選手、大湯都史樹選手をオーバーテイクして27周目の段階で見かけ上の順位は8番手へ上がった。

 レース終盤、福住選手のマシンにはギアチェンジ時に一部不具合が発生するようになったが、福住選手は無線でピットと相談しながら対応し走り続けた。残り2周の段階でそれまでタイヤ交換をせずに見かけ上のトップを走っていた平川選手がタイヤ交換義務消化のためピットインし順位を落としたため、福住選手は1つポジションを上げ、7位となり、そのままレースを走りきってチェッカーフラッグを受けた。

 ThreeBond Racingとしてはこれまで記録した最上位は昨年第5戦の8位で、チーム史上最高位で選手権ポイントを4点獲得、福住選手はドライバーランキング11位につけて開幕大会を終えた。

2023スーパーフォーミュラ第1戦&第2戦富士 福住仁嶺(ThreeBond Racing)
2023スーパーフォーミュラ第1戦&第2戦富士 福住仁嶺(ThreeBond Racing)

ドライバー 福住仁嶺

「昨日のレースでクルマを壊してしまい、獲れるポイントを獲り逃がしてしまったので、 第2戦でポイントを獲得できたのは素直に嬉しいです。夜遅くまで掛かってクルマを直してくれたチームにお礼を言いたいです。予選でQ2へ行けたのでクルマをアジャストしてもう少しタイムを上げたいなと思っていましたが結局2周しかウォームアップする時間がなくて、タイヤが全然暖まっていない状態でのアタックになって10番手に終わってしまいました。決勝では後半数台かわすことができて7位になれました」

「昨日獲れたはずのポイントを獲れなかったのは悔しいですが、チームには恩返しできたかなと安心しました。塚越アドバイザ一のおかげでコミュニケーションの幅が拡がり、これまでとは違うやり方、考え方が見えてきたりしているので助かっています。鈴鹿テストでは絶不調だったので、今回つかんだヒントを参考にうまく対処できたらなと思っています」

2023スーパーフォーミュラ第1戦&第2戦富士 福住仁嶺(ThreeBond Racing)
2023スーパーフォーミュラ第1戦&第2戦富士 福住仁嶺(ThreeBond Racing)

監督 道上龍

「7位に入賞して、去年のSUGOのレース以来、チームとして自己ベストを更新しましたが、ここまで来るのに苦労しました。富士はこれまで苦手だったのですが、今回はレースらしいレースができたかなと思います。今年はチームの中身をいろいろ変えて、僕は監督に集中できるようになったし、伊与木エンジニアもSF23車輌になるということでいろいろ研究もしてもらったし、現役のトップドライバーである塚越選手がアドバイザーとして加わってくれて、全ては良い方向へ動き出したようです」

「残念なのは第1戦のクラッシュで、第1戦、第2戦と連続でポイントが獲れていたはずなのでもったいなかったです。2週間後の鈴鹿は、コースの性格も違うので大変ですけど、楽しみになってきました」

ドライビングアドバイザー 塚越広大

「ThreeBond Racingの一員として初めての公式イベントでした。福住選手はレースに集中したいと思うので、僕は分身になったつもりでエンジニアと情報交換したりしてサポートしています。この週末は、天候のせいで走行時間が少なくて、短い時間で仕上げなければいけなかったのですが、福住選手はいい走りをしてくれたし、チームもいいアジャストをしてくれました」

「第1戦でアクシデントに巻き込まれたのは残念でしたが、ポジティブなレースだったと思います。第2戦も、予選はチーム側のオペレーションが十分ではなく申し訳なかったのですが、福住選手のおかげでぎりぎりポジションを確保できました。決勝でも辛抱強くオーバーテイクしてポイントを獲ってきてくれたので、チームにもいい影響が及ぶと思います」

チーフエンジニア 伊予木 仁

「鈴鹿テストでは不調だったので、今回のセッティングについては福住選手と話合いながら随分悩みましまた。金曜日悪天候でそれを確かめられなかったので、土曜日いきなり45分間の予選を走り出したのですが、やっぱり少し問題があるなあという状態で第1戦の決勝に向けてはアジャストが必要でした」

「その延長で土曜日の第2戦のクルマを仕上げて予選に臨みましたが、Q2セッションで3周ウォームアップをするところ、時間が足りなくなってしまったので福住選手には申し訳ないことをしました。でも決勝ではしっかり走ってポイントを獲ってきてくれたので本当に感謝しています。ただこれでOKというものではなくて鈴鹿テストでは不調でしたからこれから悩んでセッティングを考えます」


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