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スーパーGT ニュース

投稿日: 2024.05.10 13:55
更新日: 2024.05.10 14:30

apr LC500h GT 2024スーパーGT第2戦富士 レースレポート

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スーパーGT | apr LC500h GT 2024スーパーGT第2戦富士 レースレポート

2024 AUTOBACS SUPER GT Round2
FUJI GT 3Hours RACE

Round 2 富士スピードゥエイ
apr LC500h GT

2024 AUTOBACS SUPER GT Round2
開催地:富士スピードウェイ(静岡県)/4.563km
5月3日(予選)
天候:晴れ コースコンディション:ドライ 観客数:3万4500人
5月4日(決勝)
天候:晴れ コースコンディション:ドライ 観客数:5万3900人

■開幕戦に続いての5位。チャンピオン争いは入賞を続けた先にある

 スーパーGTにおける全8戦のラウンドにおいて、最多の観客動員を集めるのがゴールデンウイーク開催の第2戦富士だ。今年は5月3日の予選日が3万4500人、5月4日の決勝日には5万3900人、合計で8万8400人のファンがつめかけた。世界屈指の1.4km以上に及ぶ長いストレートが特徴的な富士スピードウェイは、「特殊なサーキット」と言われている。GT300では最高速が280km/hに到達し、そこからのハードブレーキングで1コーナーに進入。結果に占める最高速の影響は大きく、一方で、高速コーナー区間のセクター2ではダウンフォースが必要であり、低速コーナー主体のセクター3ではメカニカルグリップが重視される。セッティングが難しいコースだ。
 
 31号車apr LC500h GTは、ロングホイールベースゆえにセクター3は苦手としている。だが、大きな下面を活かしたダウンフォースは強大で、そのぶん上屋となるリヤウイングを寝かせることとGT唯一のハイブリッド搭載で最高速を伸ばすこともできる。31号車の富士セッティングにおける武器は、このふたつだ。しかし、LC500hには開幕直前になってBoP重量が20kg追加されてしまった。富士ではそれが10kgに減ったが、事前テストから10kgの増。第1戦岡山の5位という結果により12kgのサクセスウエイトも搭載する。いつのまにかGT300で最重量の1400㎏近い31号車は「重さ」とも戦うこととなった。
 
 なお、今大会は初の3時間レースであり、小高一斗と中村仁に加え、第3ドライバーとして根本悠生を登録して臨んだ。

■公式練習/13番手 5月3日(金)9:00~10:45

 公式練習は、小高のドライブでスタート。持ち込みのセットアップとタイヤを確認し、コンディションに応じてセットアップを修正していく。しかし、クルマが重すぎてセットアップの感度が低い。第2戦富士においては、3月下旬に開催された富士公式テストを経てタイヤを持ち込むが、富士での公式テストは2日間とも雨に見舞われ、31号車にとってさらに厳しい条件となったのが追加でウエイトを積まされたことだ。
 
 持ち込みタイヤのベースは富士公式テストのものであり、いわば「過積載でロードインデックスが合っていない」状況にある。タイヤのグリップは高いのに、重さによってコーナーの姿勢が安定しない。その症状はグリップがより高いニュータイヤでの走り始めに顕著だった。重さはセクター1のブレーキング、セクター2の高速コーナー、セクター3の登り区間で足かせとなる。昨季のLC500hはセクター1とセクター2でタイムを稼ぎ、そのマージンをセクター3で吐き出すという戦い方だった。
 
 2023年の第2戦富士では、予選でフロントロウを獲得している。しかし、今年はセクター1、セクター2でのアドバンテージがなくなってしまった。中村、再び小高がステアリングを握りセットアップを進めていくが、思うようにタイムを上げられない。12周目に小高がマークした1分37秒156がベストリザルトとなり、課題を残す13番手で公式練習を終えた。

■公式予選 5月3日(金)

Q1 A/9番手 14:43~14:53
Q2 Gr.2/2番手 15:18~15:28
総合順位13番手

 予選Q1は小高が担当。グループAで出走する。タイヤを温め、計測4周目でアタックへ。公式練習を経て、できる限りのアジャストを加えたが、「悪い症状」を消し去ることはできなかった。小高の1分36秒796は9番手タイムとなり、0.117秒届かず、Q2は下位のグループ2に振り分けられた。Q2では「悪い症状」もやや改善し、小林は計測3周目に1分36秒517を記録。富士はラバーが載ることでトラックコンディションが向上しやすく、それもタイムアップにつながった。
 
 Q2グループ2で2番手タイムとなり、特別ルールの適用により総合順位は13番手に浮上した。Q1から問題なく走れていれば、総合順位で8番手前後に入れただろう。タイヤのピークグリップを落とせば、ニュータイヤで顕著になる症状をやわらげることもできるだろうが、それでは戦えない。Q1からユーズドタイヤを使うのも、Q2や決勝の第1スティントを考えると得策ではない。ブリヂストンタイヤの高いグリップ力を使い切るためにも、ヘビー級のLC500hにマッチさせたタイヤの開発が不可欠だ。

小高一斗選手
「ニュータイヤで特に悪い症状が出るのは、開幕戦岡山と同じようなシチュエーションになってしまいました。タイヤがいまのクルマの車重に耐えきれなくて、うまくタイヤを使えていない状況です。公式練習でセットアップを探りましたが、予選に向けて準備万端とはいかなかったですね。Q2ではタイムも出て、クルマとしてのパフォーマンス的には高いところにあると思うので、僕的にはちょっと悔しい予選になってしまいました」

中村仁選手
「タイヤがユーズドになった方がまだバランスは良く、Q2にて13番手に返り咲きましたが、公式テスト時の様な乗りやすさはまったく無く、たぶん本戦も苦労する気配があります。でも、タイヤの摩耗や耐久性はさすがのブリヂストンタイヤなので、明日はチームと相談し今の状況でベストな戦略で挑みたいと思います。3時間レースですから何かしらのチャンスはめぐってくるはず、耐え忍びます」

根本悠生選手
「クルマ自体が前回の公式テストからも重くなりGT300でもっとも車重があるのがLC500hで1400㎏近い数字。それに対してチームもブリヂストンさんも、全員で真剣に取り組んでくれています。タイヤのグリップが高いとクルマはより動く方向になるので、Q1は厳しい状態でしたね。Q1をグループ1で通過していれば総合で8番手くらいまではいけたと思いますが、トップを狙える状況にはないというのが現実的なところだと思います。そのなかで小高選手も中村選手も、ミスなく頑張ってくれました」

金曽裕人監督
「クルマが重くなってしまったのが厳しい状況ですね。これまでのように1コーナーのブレーキング、100Rと300Rの高速コーナーでタイムを稼ぐことができない。ニュータイヤだとタイヤの表面はグリップするけど、ショルダーが重さに耐えられなくて乗りにくくなってしまう。そこは早急に改善したいところです。目標はQ1突破でしたが、小高選手でも難しかった。Q2での中村選手のタイムは、彼の実力なら出て当然、期待通りですね。勝負の世界ですから、このルールでどう戦うか、知恵を使っていきますよ」

■決勝レース(108周)/5位 5月4日(土)13:30~

 スタート進行直前の20分間のウォームアップ走行を利用して、31号車はセットチェンジを行った。結論として、そのアジャストは奏功したと言える。13時30分、スーパーGT初の3時間レースがスタート。第1スティント担当は小高だ。13番グリッドから、オープニングラップでふたつポジションを上げて11番手に。さらに2周目には10番手、14周目には9番手に浮上する。
 
 小高は17周でピットに入ると、給油のみで1回目のルーティンピットを消化。早めのピットで見た目上の順位は26番手でのコース復帰となるが、タイヤ無交換でタイムを稼ぐ。燃料満タン時は重さがかさみ、ブレーキングやコーナーで厳しさが増すが、それでも小高は1分39秒台で周回を続け、燃料が軽くなると1分38秒台を連発。コース上ではオーバーテイクし、他車のピットのタイミングも含めて順位を上げていく。見た目上で2番手を走行する61周で2回目のピットに入り、中村にバトンを託した。
 
 中村は15番手でコースに戻ると、やはり1分38秒~39秒台でのラップを続ける。残り時間が40分を切ると、開幕戦岡山の優勝車muta Racing GR86 GTに猛追され、85周目の最終コーナーではイン側に入られてしまった。しかし、中村は落ち着いて対処。クロスラインからスリップにつき、すぐにポジションを奪い返した。この5番手争いは最後まで続くが、中村は抑え続けて5位でフィニッシュ。その差はわずか0.638秒だった。
 
 31号車は開幕戦岡山からの連続5位。トップを争うにはまだ課題があるが、厳しい状況の中でも入賞を続けることに意味がある。粘り強くポイントを積み重ね、タイヤとセットアップが進化したとき、チャンスが巡ってくるはずだ。

小高一斗選手
「いやー重さは効きます。燃料満タンが2回のスティントでしたが、まったくペースが上げられず厳しい戦いでした。5位入賞は現状からはベストリザルトでありブリヂストンタイヤだけが可能ともいえる無交換で2スティントが行けたのがかなり助けられ感謝です。ブレーキも厳しいし、コーナーも不安定だしマシンもドライバーにとっても危ない領域だと思います。次の鈴鹿はさらに重くなるので、いろいろ不安もありますが、やるしかない」

中村仁選手
「ドライバーチェンジとタイヤ交換し、一番状態の良い前半に燃料の重さも加わりペースが上げられず、想像通り苦戦しました。中盤から2号車にピッタリと背後を着かれ、ブレーキとコーナーがかなりパフォーマンスの差があって、ずっと集中してポジションを守ることに専念しました。ハイブリッドパフォーマンスもありストレートで差をつける事が武器だったので特にセクター3で抜かれず抑えることに専念しました。5位入賞は全員で達成した感が強くベストの成績だと思います。次戦も目いっぱい走ります」

根本悠生選手
「状況的にはウエイトがきつく、厳しい環境にありましたが、そのなかで小高選手も中村選手もチームも、ミスなくしっかり耐え切ったレースでした。開幕戦も今回もノーミスで手にした5位。シリーズ戦という意味では、良い結果だったと思います。LC500hも2年目で、クルマに対する理解度も上がってきているので、あとはこの重さをいかに攻略していくかですね。チャンピオン争いが今年はしたいと願ってます」

金曽裕人監督
「初めての3時間レース、セーフティカーが出ることも想定して、1回目のピットを早めに入れました。結果としては均等割の戦略を採ったチームが上位になりましたが、僕たちはニュータイヤ、燃料満タン時にクルマのバランスが崩れてしまう状況にあるので、悪くない作戦だったと思います。重さへの対処はまだまだ四苦八苦していますが、1回目のピットでタイヤ無交換作戦を採れたのは、やはりブリヂストンタイヤのおかげ。ドライバー、チーム、ブリヂストンタイヤ、スポンサーの皆様と一丸となってつかんだ5位に感謝しております。次の鈴鹿も苦戦は承知、でも諦めず最善を尽くします」


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