レースを愛してやまないファンの方々へ
autosport web Premiumが登場。

詳細を見る

スーパーGT ニュース

投稿日: 2024.05.10 13:55
更新日: 2024.05.10 14:29

apr GR86 GT 2024スーパーGT第2戦富士 レースレポート

レースを愛してやまないファンの方々へ
autosport web Premiumが登場。

詳細を見る


スーパーGT | apr GR86 GT 2024スーパーGT第2戦富士 レースレポート

2024 AUTOBACS SUPER GT Round2
FUJI GT 3Hours RACE

Round 2 富士スピードゥエイ
apr GR86 GT

2024 AUTOBACS SUPER GT Round2
開催地:富士スピードウェイ(静岡県)/4.563km
5月3日(予選)
天候:晴れ コースコンディション:ドライ 観客数:3万4500人
5月4日(決勝)
天候:晴れ コースコンディション:ドライ 観客数:5万3900人

■Q1突破、決勝では安定したペース。今後の「伸び代」を感じた一戦

 毎年恒例、ゴールデンウイーク開催の第2戦富士は多くのファンがスタンドを埋め尽くす。今年は予選日、決勝日ともに晴天に恵まれ、2日間で8万8400人という、前年の同大会と比べて10.2パーセント増の観客が集まった。1.4km超のロングストレートを備える富士スピードウェイは「特殊」なサーキットとなる。タイム、リザルトへの最高速の影響は大きく、一方で、高速コーナー区間のセクター2ではダウンフォースが必要であり、低速コーナー主体のセクター3では空力よりもメカニカルグリップが重視される。30号車『apr GR86 GT』の最高速は中位~下位に位置しており、それも踏まえたセッティングと戦略が求められる難しいコースだ。さらに、今大会は初の3時間レース。2回のピットが義務付けられた。30号車は第1ドライバーの永井宏明、第2ドライバーの小林利徠斗に加え、第3ドライバーの織戸学という布陣で臨むことになった。

■公式練習/22番手 5月3日(金)9:00~10:45

 公式練習、セッション開始時のコンディションは気温18度、路面温度24度。今大会の3時間レースでは、ドライタイヤの持ち込みが6セットになる。30号車はソフト系とハード系の2種類のスペックを持ち込んでいた。第2戦富士においては、3月下旬に開催された富士公式テストで当たりをつけたタイヤを持ち込むのがセオリー。だが、富士での公式テストは4つのセッションすべてで雨絡みとなり、ドライタイヤの選択に悩まされた。今季の30号車はフロントタイヤのサイズを710から680に変更しており、その合わせ込みも充分とは言えない状況だ。
 
 持ち込んだ2種類のうち、路面温度や過去のデータも踏まえてソフト系のタイヤをチョイスし、まずは永井がドライブ。コンディション、タイヤ、セットアップを確認していく。同じタイヤのまま、織戸、小林もステアリングを握り、セットアップを進めていった。しかし、今回のコンディションにソフト系のタイヤがマッチしていない。ベストタイムは終盤に小林がマークした1分38秒232で22番手タイムだった。だが、「ソフトは合っていない」という収穫があったのは、予選・決勝に向けてプラスの材料になった。

■公式予選 5月3日(金)

Q1 A/7番手 14:43~14:53
Q2 Gr.1/15番手 15:36~15:46
総合順位19番手

 予選では公式練習で使っていない、ハード系のタイヤを使用。Q1はグループAへの振り分けとなり、小林がニュータイヤでアタックする。この週末で初めて履くハード系のタイヤだったが、小林は計測4周目に1分36秒649をマーク。だが、本当のアタックは翌周だ。セクター1、セクター2と自己ベストを刻み、好タイムが期待された。しかし、すでにアタックを終えていたにもかかわらずレコードラインをスロー走行していた車両に詰まってしまいタイムをロス。Q2、そして決勝にタイヤを温存するべく、小林はアタックを断念してピットに戻る。それでもグループAの7番手タイムとなり、Q2は上位8台が進めるグループ1への進出が決まった。
 
 Q2は永井が担当。小林からのインフォメーション通り、クルマとタイヤもマッチしている。ユーズドタイヤということもあり、計測2周目からアタックに入った。ところが、「クルマが良くなっていて、ちょっと頑張りすぎてしまった」という永井が、2周続けて4輪脱輪でタイム抹消。5周目の1分38秒363がベストタイムに。特別ルールの適用により、総合順位は19番手。永井は開幕戦岡山のQ2をトラブルでアタックできず、ユーズドタイヤでのアタックという経験値の少なさが影響してしまった。しかし、それは「伸び代がある」ということでもある。

永井宏明選手
「公式練習ではタイヤが合わず、でも予選ではタイヤもクルマも良かったです。それはポジティブなんですが、僕はちょっと頑張りすぎて4輪脱輪を2周やってしまい、タイヤの良いところが終わってしまいました。グリップが下がるユーズドタイヤでのアタックは、走り方を変える必要がありますね。小林選手は良いラップを刻んでくれて、才能あふれる期待の若手だなと思います」

小林利徠斗選手
「公式練習ではクルマのセットアップをいろいろ確認して、クルマのバランスは良いところにありました。ただ、タイヤとの組み合わせが良いとは言えず、予選に向けてタイヤのスペックを変えました。すごくグリップが上がって、クルマのバランスも取れたままでしたね。他車との兼ね合いもあってアタックをやめざるを得ませんでしたが、クルマの本質的な速さをすごく感じたので決勝が楽しみです」

織戸学選手
「公式練習でクルマ自体は悪くなかったけど、タイヤとのマッチングで『困ったなぁ』という状況でした。でも、予選では違うスペックのタイヤを選んで、それが良い感じにはまりましたね。小林選手は遅いクルマに詰まってしまって、永井選手は4輪脱輪でリズムを崩してしまったけど、クルマ的にはすごく良い雰囲気です。決勝は19番手スタートですが、良いレースをしたいですね」

金曽裕人監督
「公式練習では3人のドライバーに同じスペックの1セットのタイヤで走ってもらいました。本当はそこで使ったソフト系タイヤのほうがタイムが出ると思っていましたがマッチせず。予選ではハード系のタイヤに、バックデータのセットアップで挑みました。Q1の小林選手はもっとタイムを上げられたはずなのでトラフィックで一番おいしいタイミングを逃したのは悔しさもありますが、久しぶりのQ1突破。Q2の永井選手はちょっと行き過ぎてしまいましたが、それくらい乗りやすいクルマになっていました。クルマの高いパフォーマンスを確認できたので、決勝に期待したいですね」

■決勝レース(108周)/22位 5月4日(土)13:30~

 スタート進行直前に行われた20分間のウォームアップでは、小林と永井が決勝に向けたコンディションとセットアップを確認した。13時30分、スーパーGT初開催となる3時間レースがスタート。30号車の第1走者は織戸だ。ベテランのドライビングで、第2スティント以降へとしっかりつなげ、またタイヤの内圧などのインフォメーションを託す。織戸はオープニングラップで17番手に浮上。その勢いで上位をうかがうが、2周目に後続車から追突されて21番手にドロップしてしまう。最高速で劣勢にある影響もあり、その後は抜くのも難しい状況になった。前走車のピットインもあり、織戸は9番手走行中の35周でピットに入る。
 
 タイヤを予選からスタートで使ったのと同じハード系に交換し、小林をコースに送り出す。1回目のルーティンピットを終えてのポジションは22番手だった。タイヤが一番良いコンディションにある第2スティントの小林に託したのはロングランだ。そのうえでチャンスがあればプッシュする。代わった序盤は1分38秒台でラップし、オーバーテイクにも成功した。だが、19番手まで順位を上げてからは、最高速で劣勢にあるFIA-GT3車両を相手にポジションを上げられない周回が続く。それでも小林はオーバーテイクを果たしたが、タイヤのグリップが落ちてきた74周目、ヘアピンの立ち上がりで痛恨のスピン。レースに復帰することはできたが、30秒近くタイムをロスしてしまう。そして79周でピットインし、最後のバトンを永井に渡した。
 
 本来であれば、第3スティントもハード系のタイヤを使いたかった。しかし、持ち込みの関係でソフト系しか残っていない。時間の経過によって気温と路温が下がってくれることを見越しての最終スティントでのソフト投入となったが、結果的には厳しい状況にあった。それでも永井は、全車が2回目のルーティンピットを終えたときのポジション、20番手を守り続ける。残り10周を切ると、タイヤのグリップダウン、また最高速の差もあって22番手に後退してのフィニッシュとなったが、ラップタイムは常に安定していた。リザルトだけを見れば、スターティンググリッドから3つポジションを落とした22位。しかし、680サイズのフロントタイヤを含めたセットアップも進んだ。もう少し時間はかかるかもしれないが、間違いなく進化の手応えを感じた一戦になった。

永井宏明選手
「展開に恵まれず、僕の最終スティントで追い上げるポジションでは無かったので、次の鈴鹿を見据えてデーター取りに徹しました。履いたタイヤも富士とはマッチせずタイムも伸びませんでしたが、どのタイヤが正しくてベストなのかは確実に分かりました。数日後にあるGTE鈴鹿テストに繋がるセットなども見え30号車にとっては、たくさんの収穫ありでした。まずはGTEテストでベストを尽くして3戦目の鈴鹿にてベストリザルトを狙いたいです」

小林利徠斗選手
「僕が担当したスティントはタイヤが一番良い状態でした。クルマのセットアップも決まっていて、序盤はプッシュすることもできましたが、中盤以降は比較的ペースが速くないクルマの後ろに詰まってしまいました。本来ならもっと速いペースで周回できたと思います。ただ、タイヤのグリップが落ちてクルマの動きがピーキーになってきたなかでスピンしてしまったこと、そこでのタイヤのダメージもあってラップペースが落ちてしまったことは反省点です。そこは改善して、次回につなげていきたいと思います」

織戸学選手
「スタートも決まりポジションを上げていく段階で、接触もありポジションダウンしてしまった。そのあとは最高速の違いが大きいGT3勢をなかなか攻略できず、本当は小林選手にひとつでも上のポジションで渡したかったが叶えず。タイヤも良かったのですが後方でバトルを繰り返している間に内圧も上がってしまって本来のグリップを出しきれなかったのが反省です。収穫は1位2位になったヨコハマタイヤの良いところが30号車にも反映できたのとマシンのセットもそれに合わせてどんどん良くなっていること。30号車ホームコースの鈴鹿は期待しかないです」

金曽裕人監督
「第1スティントの織戸選手がクルマのバランスを見て、小林選手の第2スティントのタイヤ内圧を調整、第3スティントの永井選手にはソフト系のタイヤで我慢してもらう戦略を採りました。レースの展開としては最高速の差で不利ではあったし、織戸選手のときに追突もありドロップし、小林選手もスピンがあり戦線離脱しましたが、そのなかで多くのことを得ることができました。クルマのパフォーマンスも含めて、小林選手の走りが現状を証明してくれたと思います。30号車は『伸び代しかない』状態なので、今後の右肩上がりに期待してください!」


関連のニュース

本日のレースクイーン

NGK SPARK PLUGS Ambassador
葉月美優(はづきみう)

スーパーGT Photo Ranking

フォトランキング