10月25日に行なわれたスーパーGT第6戦『FUJIMAKI GROUP SUZUKA GT 300km RACE』は、セーフティカー(SC)が命運を分けたレースだった。GT500クラスではSC導入直前にピットインしたマシンがポジションアップを果たして優勝を飾ったが、GT300クラスではSC導入時点で“ピットインを済ませていたかどうか”が、レースの行方を大きく左右した。
そもそも『マキシマム・ウエイト』で戦う第6戦は、ランキング上位勢にとってタイトル争いの天王山でもあった。ここでは鈴鹿に入る時点でのランキング上位6台、ハンデウエイトが100kgと99kgのチームに絞って、レース中に起きていたことを検証してみたい。
まずは前提として6台のスターティンググリッドと、SCが入った時の各車の状況を整理しておく。なおSC導入はクラストップが21周目走行中。このときピットを済ませていなかった車両は、クラス全体では12台にのぼる。
・61号車 SUBARU BRZ R&D SPORT:グリッド2番手・SC導入時は未ピット
・11号車 GAINER TANAX GT-R:グリッド5番手・SC導入時は未ピット
・55号車 ARTA NSX GT3:グリッド7番手・SC導入時はピット済
・52号車 埼玉トヨペットGB GR Supra GT:グリッド10番手・SC出動時はピット済
・56号車 リアライズ 日産自動車大学校 GT-R:グリッド11番手・SC導入時はピット済
・65号車 LEON PYRAMID AMG:グリッド25番手・SC導入時はピット済
■コースオフは「自分のミス」と川合孝汰
このうち、埼玉トヨペットGB GR Supra GTについては、ピット作業後のアウトラップにおいてS字でコースオフを喫し、SC導入の引き金となってしまった。
その後、サーキットのタイミングモニターの文字情報では「#3と#52の接触はレーシングアクシデント」という判定結果が表示されたことから、GT500クラスのCRAFTSPORTS MOTUL GT-Rと接触した結果のコースオフであると思われた。
埼玉トヨペットGB GR Supra GTをドライブしていた川合孝汰はレース後、オートスポーツ本誌の取材に対し、接触とコースオフが「自分のミス」であったと認めている。
「コースインしたところが結構な集団でした。アウトラップは無理もできないので、後ろに見えているクルマは先に行かせるつもりで1コーナーに入りましたが、S字の1個目に入るタイミングで右側から3号車が来ているのが全然分かっていませんでした」
「タイヤがまだ温まっていなくて、アンダー(ステア)を出した状態で曲がっていたところに3号車が抜きにきてしまい、それを避けきれず……。(当たったときは横並びではなく)3号車の方が加速していたので前に出ていたんですが、それを完全には避けきれなかったんです」
スポンジバリアからは脱出することができたが、車にはダメージがあった。走り続けることも可能な状態ではあったが「このまま走らせても車を壊すだけなので、チームの判断で終了(リタイア)しようという感じでした」という。
各車のピットが始まる前までに8番手にまでポジションアップを果たしていた埼玉トヨペットGB GR Supra GTにとっては、ノーポイントは痛い結果となった。