レースを愛してやまないファンの方々へ
autosport web Premiumが登場。

詳細を見る

スーパーGT ニュース

投稿日: 2021.07.29 23:20
更新日: 2021.07.30 10:58

スーパーGTドライバー勝手にお悩み相談ショッキング Vol.9 吉田広樹さん

レースを愛してやまないファンの方々へ
autosport web Premiumが登場。

詳細を見る


スーパーGT | スーパーGTドライバー勝手にお悩み相談ショッキング Vol.9 吉田広樹さん

──そんなこんなで、最近お悩みはありますか?
吉田さん:この企画の『お悩み』の温度感はどのくらいなんですか? 一樹さんはかなりマジメな内容でしたが、本山さんは本気なのか笑いに走ったのかよく分からなくて……。

──真剣に悩みをぶつけてくれてもいいし、ネタに走ってもどうぞ。
吉田さん:みんなは馬鹿にして笑ったりするかもしれないんですけど、僕のけっこう真剣な悩みとしては『レーシングカーに乗っているときに、汗をかきすぎる』ことなんですよ。それが不安だということもあって、トレーニングもかなりしている方なんですけど、いずれ自分も体力が落ちてきたときに、暑さで汗がいっぱい出て脱水症状や熱中症になることがきっかけで大きなミスをやらかすかもしれない……と思うとけっこう心配なんです。

──それは悩ましいですな。
吉田さん:人によると思うんですけど、今まで見てきたなかだと、平中さんや蒲生(尚弥)ちゃん、井口(卓人)もマシンを降りた後にそこまで汗をかいているようには見えなかったんです。

──うん。人によるよね。そもそもレース中、埼玉トヨペットGB GR Supra GTは暑い?
吉田さん:GRスープラはそこまで暑いかと言われると、めちゃくちゃ暑いわけではないと思います。2019年までのマークXのほうがマザーシャシーなので暑かったですね。それにさかのぼると、スーパー耐久でPETRONAS SYNTIUM TEAMのBMW Z4Mクーペで谷口(信輝)さんや片岡(龍也)さん、柳田(真孝)さんと組んでいたときも汗がすごくて。やっぱりミスしたりしたときも、息が上がったり心拍数が上がったりしたのが関係があったのかも……ということで、『グローブに“呼吸”って書いて貼って、見て思い出せ!』ということを谷口さんや先輩たちがアドバイスしてくれました。

 それと、僕は昔事故で鼻の骨を折ったことがあるんです。よく見たら鼻が曲がってしまい、曲がって何もしなかったのでそのままくっついて、片側の鼻の通りが悪いと。それで鼻呼吸ができなくて息が上がって汗がで出たり、心拍数も上がってしまう悪循環なんじゃないかと思って。

 GAINERで乗っているときに、大学病院の先生に相談して手術をしたんですよ。レントゲンを撮ってもらい、鈴鹿1000kmの前のお盆くらいに骨を削る手術をしたんです。

 もちろん1000kmもふたりで交代で乗っていたので、『ちょっとでもそれで良くなるかもしれないと思って先生に相談したら『たしかにそれはあるかもしれません』と言うから、『じゃあやります!』と言って入院をして手術をしたんですけど、なんら変わりもなく……(笑)。

──変わらないんかい(笑)!
吉田さん:相変わらず何年経っても汗は出続けますね。だから今は汗は出るものだという体で、トレーニングでカバーするしかないと思って、走ったりランニングしたりというのを増やしています。

──ドリンクは飲むほう?
吉田さん:飲みます。汗が出るから飲むのか、飲むから汗が出ているのかはちょっと分からないですけど。結局、汗が出たら飲まなきゃいけないということはトレーナーさんだったりお医者さんなど、誰に相談してもそうで、脱水の原因になるからこまめに水分を摂ることが大事だと。柳田さんの弟さん(※)もそういう研究をされていたこともあったので、当時相談していたこともあります。それで飲むので(ドリンクボトルは)かなり空っぽになります。

※本郷予防医学センター柳田亮医師。柳田真孝選手の弟で、日本大学医学部でスポーツ医学・予防医学を研究し、スーパーGTのレーシングドライバーの心拍数に関する論文を発表したこともある。

──谷口さんなど、ぜんぜんドリンクを飲まないドライバーもいるよね。
吉田さん:そうですよね。それで汗もそんなにかいていないじゃないですか。じゃあ、僕が普通の街中の運転とか高速の運転で汗をかくかといったら、それはかかないわけじゃないですか。だから谷口さんや平中さんはその延長線上くらいの雰囲気で運転しているのかなとは思うんですけど、だからといって、さすがにGTのときにそんなふうに僕はできないので。GTだけじゃなく86レースやスーパー耐久もすごく汗をかいてしまうんです。

──たぶん、本来は汗をかいたほうがいいんだとは思うけどね。
吉田さん:そうですよね。汗をかくことで体温も下がるわけですし。人としては健康体である以上良いことだと思いますが、マシンに乗っているときはそれがきっかけで脱水や熱中症になることは嫌なので……、その答えがあるかも分からないですが。

スーパーGT第2戦富士 吉田広樹
スーパーGT第2戦富士 吉田広樹

■次に繋がるのは仲良しのあの人

──そしてここまで聞いてきましたが、この悩みは『人に相談できる悩みなのだろうか?』というね。
吉田さん:……(笑)。これはたぶん、みんなそこまで意識していないことですもんね。

──『俺は別に』で終わっちゃう気がする。
吉田さん:そうですよね。『ああそう』ってなっちゃいますもんね。難しいな〜。

──その流れになるとこのコーナーが終わってしまうので……。もしくは、最終的に誰かを紹介してほしいのですが『このドライバーは悩んでそうだな』という人でもいいですよ。
吉田さん:なるほど。まだ本人たちには聞いていないのですが、今は井口か蒲生ちゃんを考えていて、ふたりのどちらかかなと。井口は悩んでいるかどうか分からないですけど、こういう相談をキャパ広く受けてくれるタイプで、蒲生ちゃんは『え〜、俺分からないですよ〜』とか言うかもしれないけど、ふたりともライバルでチャンピオンを狙えるチームでずっと走っている人たちで、僕らもライバルだけど、目指しているところは一緒で似たような環境で走っています。なので次にこのコーナーを振るとしたらどちらかかなと思っていました。それか松井(孝允)。

──じゃあその中から誰か決めてくだされ。
吉田さん:誰がいいかな〜。何か面白さの具合とかあるんですか? メーカーがバラけたほうがいいとか?

──メーカーはあまり気にしなくていいかな。いちばん仲が良いのは誰?
吉田さん:井口か蒲生ちゃんですね。最近プライベートで遊ぶのは蒲生ちゃんで、井口はやっぱり家族がいて、なかなか自由に動けないので蒲生ちゃんとカートに行ったりゴルフをしたりというのが多いです。カート練習は一生懸命していて、レースの合間に試合に出たりとかは結構しています。

──じゃあ蒲生ちゃんかな。
吉田さん:ちょっと『え〜』ってなるかもしれないですけどね。でも、蒲生ちゃんは環境が似ているかもしれないです。僕が(川合)孝汰と組んでいて、彼も(菅波)冬悟と組んでいる。

 なんというか、これが本当の悩みかもしれないですけど、自分が理想としていた乗り方、走らせ方が孝汰と違うんですよ。『そこでそんなライン通る?』みたいな、いままでそういう走り方はダメだと思ってきた走り方を結構しています。

 でも、実際富士とかではけっこう速かったんです。でも全部が速いかと言われると、データロガーを見ると『そうかな?』とも思うけど、富士は本当に速くて2020年の最終戦ではコースレコードでポールポジションも獲っています。なので、もしかしたら世代的に蒲生ちゃんと冬悟で走らせ方の差があったりして、僕と孝汰があるのと同じような差があるのかもしれないです。

 もちろん、僕も孝汰の良いところを取ろうと思って、その走らせ方を真似しようともしています。ただそれができるところと、なかなか簡単にはいかないところがあって。走り方を変えることが、一発タイムを出すためにはその走らせ方をしたほうがいいなと思うのと、あとはロングランで特に蒲生ちゃんたちはタイヤ無交換をするじゃないですか。

 僕らもタイヤ無交換をするので、無交換をするにあたってはどっちの走らせ方がいいかとか、ただ予選で一発いくにはこっちの走らせ方がいいとかがあるんじゃないかなとは思っています。それで、蒲生ちゃんと一緒にカートを走ったり、レースでも開幕戦や第2戦で同じような位置を走っていて、片輪交換や無交換など似たようなシチュエーションでやっているので、そういう意味では状況が似ているかもしれないですね。

 蒲生ちゃんとはカートもよく一緒に行っているなかで、僕がこう走りたいなと理想とする走り方をするんですよ。しっかりとマシンを止めて向きを変えるみたいな。それをうしろから見ていると『僕もこうしたいな』と思います。もちろんGTではクルマが違うからできないかもしれないけど、そういう風に思うんです。

 それでいちばんのライバルであるチームメイトに、どういう感じでやっているのかなと。もちろんチームメイトなのでいいとこ取りをしていくのが良いのですが、いちドライバーとしては負けたくないところです。なので次は蒲生ちゃんですね。

* * * * *

 というわけで、たっぷり話してくれた吉田広樹選手でした。次回は蒲生尚弥選手に繋がりました。すでに吉田選手と私から「取材に行くから」と伝えたところ、返ってきたセリフは「え〜、イヤです」でした(笑)。でも問答無用で取材してきます!

吉田広樹とコンビを組む川合孝汰
吉田広樹とコンビを組む川合孝汰
埼玉トヨペットGB GR Supra GT
埼玉トヨペットGB GR Supra GT


関連のニュース