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スーパーGT ニュース

投稿日: 2023.08.07 19:57
更新日: 2023.08.07 19:58

LMcorsa 2023スーパーGT第4戦富士 決勝レポート

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スーパーGT | LMcorsa 2023スーパーGT第4戦富士 決勝レポート

S-GT2023 rd4 FSW Final
LMcorsa REPORT
#60 Syntium LMcorsa GR Supra GT

ウエットからドライ、そして最後もウエットと目まぐるしくコンディションが変わるなかで抜群のチームワークを見せて、最終周まで3番手を走行していたが接触により10位フィニッシュ

気象データ
気温:26度、路面温度:33度(決勝レーススタート時)

 前回の鈴鹿サーキット戦から約2カ月のインターバルを経て第4戦の『FUJI GT 450km RACE』の決勝レースが、8月6日(日)に富士スピードウェイで開催された。

 今季でGR Supra GTを使用し3シーズン目を迎えるLMcorsaは、レギュレーションに合せて毎年マシンをアップデートしていて、今回のインターバルでも空力パーツなどを見直して第4戦に挑んだ。5日(土)に実施された予選では、アップデートや新しく導入されたスリックタイヤの性能も確認でき、予選Q1を河野駿佑選手がクラス6番手で突破すると、予選Q2で吉本大樹選手が14番手を獲得。長丁場となる決勝レースではポイント圏内を目指すことが目標となった。

 予選日は午前中から気温が30度を超えて8月らしい真夏のレースを予感させたが、6日は午前中に行われた併催カテゴリーの決勝レースで雨が降り始めると、10時半からのピットウォーク時には本降りとなってしまう。決勝レース前の最終確認となるウォームアップ走行のときには雨が上がっていたものの、路面は濡れていてレインタイヤを履いてマシンがコースに入っていく。Syntium LMcorsa GR Supra GT に乗り込んだ2人のドライバーは、20分間のウォームアップ走行の最後までレインタイヤで走り、決勝レース前の調整を終えた。

 今回の決勝レースも第2戦、第3戦と同様に450kmの距離で競うことになっていて、給油をともなう2回のピットストップが義務づけられている。加えて、これまでの450kmレースと異なるのがピットストップのタイミングになり、以前はオープニングラップで1回目のピットストップを消化することができたが、今戦は5周目以降と決められている。

 このようなレギュレーションによって戦うことになるFUJI GT 450km RACEは、予定時間の13時45分にスタートする。雨こそ降っていないものの路面が濡れていたため、全車がレインタイヤを装着。そして、セーフティカーが先導して1周目のコントロールラインを通過する。スタートドライバーを務めた河野選手は、グリーンフラッグが振られた2周目はポジションを守るものの、後続からプレッシャーを掛けられる。チームが選択したレインタイヤは路面状況と合わず、ドライアップしていくにつれて順位を下げてしまう。

 8周目になるとチームは河野選手にピットインの指示を出し、スリックタイヤに交換するとともに給油も実施した。まだ路面の一部は濡れていたが、河野選手はスリックタイヤで先行するマシンを追った。24番手でコースに復帰すると徐々にポジションを回復していき、15周目には15番手となる。前日のような路面温度が40度を超える状態だとグリップ力を発揮していたスリックタイヤだが、雨が降ったあとの路面にはマッチせずペースを上げることができない。

 決勝レースの1/3が過ぎた32周目になると244号車のGR Supra GTから煙があがり、コースサイドに止まったためセーフティカーが導入される。5周のセーフティカーランを挟みと、38周目にリスタートする。16番手からポイント圏内の10番手を目指して走行するものの、ペースが伸びず後続のマシンに抜かれてしまう。苦しいなかでもポジションを守ってきた河野選手は、450kmのほぼ半分となる48周目にピットに戻り吉本選手にドライバーチェンジ。タイヤは硬めのスリックを選択し、後半のスティントを走り切る戦略を採った。

 吉本選手は17番手でコースに戻ると、54周目には1分39秒778の自己ベストタイムをマークし、スタートポジションの14番手まで順位を戻す。57周目には先行するマシンがピットインしたために13番手となり、ポイント圏内の10番手を走るマシンまで約5秒に迫る。しかし、61周目に25号車のGR Supra GTから炎が上がり、マシンがコースサイドで延焼してしまう。このアクシデントによって赤旗が提示されレース中断となる。

 20分ほどの中断だったが、この間に雨雲がサーキットに押し寄せ路面には川が流れるほど状況となる。そのため中断時間が延長されるとともに、全車がレインタイヤを履いてリスタートを待った。16時30分にレースはセーフティカーランによって再開されると、3周後の67周目にグリーンフラッグが振られる。

 スタートで履いたレインタイヤは路面状況と合わなかったため、チームは硬めのレインタイヤを選択する。走り始めは熱が入りにくいため苦戦したが、ウォームアップが終わると吉本選手はみるみるポジションを上げていく。路面コンディションはスタートのときと同じくドライアップしていった。上位を走るマシンはレインタイヤが最後まで持たなくなることを想定し、スリックタイヤに交換するが、チームは最後までレインタイヤで走行する戦略を採る。

 吉本選手はミスなく走り続けて、75周目には13番手、80周目には11番手、85周目には5番手まで順位を上げる。翌86周目には上位の3台がピットインしたため、ついに2番手に浮上。残りは7周で、スリックタイヤを履き後方から追い上げるマシンと、レインタイヤで粘るSyntium LMcorsa GR Supra GTとトップを走る61号車BRZの勝負となった。

 90周目にはスリックタイヤで追い上げてきた11号車のGT-Rが7秒後方に迫り、92周目に抜かれてしまう。それでも3番手で表彰台がみえる状況でファイナルラップを迎えた。最後のセクター3までポジションを守るが、スリックタイヤを履く7号車のBMW M4と6号車のAudi R8 LMSが猛スピードで接近。最終コーナーでは先行していたBRZに追いつきパッシングを試みるが接触してしまう。最終的にはスリックタイヤを履いた2台にも抜かれて4位でチェッカーを受ける。

 だが、レース終了後にBRZとの接触が他車への衝突行為と認定されてリザルトに40秒が加算された。そのため、結果として10位で第4戦を終えることとなった。次戦はチームのホームコースとなる鈴鹿サーキットで、マシンとの相性も良いとされている。今戦では苦手としていた暑い状況でもマシンのパフォーマンスを発揮できたため、上位争いをすることが期待できる。

飯田章監督

「多くの来場者が訪れるなかでエキサイティングなレースを見せられたと思います。ただ、ファイナルラップでの接触によってペナルティを受けたことは真摯に受け止めないといけません。レース内容としてはトップグループと競えるほどのスピードがなく苦しい展開でしたが、最後のスティントでの戦略や運もあって表彰台を狙える位置で走ることができました。結果は出ませんでしたが、暑い状態でもウエットコンディションでも手応えは掴めました。次戦の鈴鹿では必ず上位に入れるように準備を行ないます」

吉本大樹選手

「決勝レースは後半のスティントを担当し、走り始めのスリックは路面温度などと合わず苦戦します。それでも赤旗中断後のレインコンディションではエンジニアが選択したタイヤが状況とマッチし、ドライアップしていくなかで表彰台争いができました。最後は後方から追い上げていくマシンと接戦となりながらも、最終コーナーまで表彰台を狙える状態でした。結果としてペナルティを受けてしまい、チームには申し訳ないと思っています。それでも新しいタイヤの性能が確認でき、良い方向進んでいます。次戦はホームコースの鈴鹿なので、優勝を狙っていきます」

河野駿佑選手

「昨日の真夏のコンディションと異なって雨が降るなど苦しいレースになりました。スタート直後のレインタイヤはグリップがなくペースの落ち込みもあり、早めにスリックに変えたのです。暖かい状態では良かったスリックもライバル勢に対してアドバンテージがなく、ポジションをキープするのがやっとでした。吉本選手のスティントは雨が見方になり、一時は表彰台が見える状態で盛り上がったのですが、最後は残念な結果となってしまいました。気持ちを切り替えて、次の鈴鹿では良い戦いができそうなので優勝を目指したいです」

2023スーパーGT第4戦富士 Syntium LMcorsa GR Supra GT(吉本大樹/河野駿佑)
2023スーパーGT第4戦富士 Syntium LMcorsa GR Supra GT(吉本大樹/河野駿佑)


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