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MotoGP ニュース

投稿日: 2019.12.09 20:12
更新日: 2019.12.10 04:09

人間臭さが際立った2019年。経験者が語る兄弟でタッグを組むメリット/ノブ青木の知って得するMotoGP

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MotoGP | 人間臭さが際立った2019年。経験者が語る兄弟でタッグを組むメリット/ノブ青木の知って得するMotoGP

 さて、強運まみれだったマルクの影で、ホルヘ・ロレンソが引退してしまった。2019年シーズンの彼は、災いのすべてを引き受けてしまったように思える。ことごとくアンラッキー。もちろん最終的にはロレンソ自身の問題とも言えるけど、新しいマシンを信頼して「行くぜ!」という時にトラブルに見舞われたり、やる気が削がれるような事態が重なって、とにかくタイミングが悪かった。風水とか守護霊とか、神頼みでもしたくなる。

 折れそうな心にムチ打ち、「い、行くぜ!」と自分を騙しながら再出発しようとするたびに足元をすくわれては、完全に参ってしまうだろう。第8戦オランダGPで転倒して「もうヘトヘトだ」と思ったのも無理はない。流れがいい時は、トラブルも未然に防げていたり、転倒も避けられたり、再び立ち上がれたりするものだけど……。

 ロレンソはスタイルのあるライダーだっただけに残念だが、今の流れを見ていると引退もやむなしと言わざるを得ない。ただ、完全にたらればだけど、あのままドゥカティにいたらどうだったのかな、と思わないでもない。

MotoGP最終戦バレンシアGPを最後に引退したホルヘ・ロレンソ(レプソル・ホンダ・チーム)
MotoGP最終戦バレンシアGPを最後に引退したホルヘ・ロレンソ(レプソル・ホンダ・チーム)

「引退してしまったロレンソ」と書いて思い出したけど、ワタシはまだ現役引退宣言はしておりません(笑)。MotoGPはもちろん、バイクのレースが好きで、いちファンでありながら仕事として関わることができる今は、ありがたいことに実に素晴らしい状況だ。

 バレンティーノ・ロッシ(モンスターエナジー・ヤマハMotoGP)も同じような気持ちだと思う。簡単には「やーめた!」とは言えない、言いたくないのだろう。MotoGPを家のテレビで観ていたくない。だったら1年でもいいから長く、MotoGPライダーとしてサーキットを走っていたい。サッカーのJリーグでいえば三浦知良さん、プロ野球で言えば新庄剛志さんのように、生涯現役でいたいと願う、ロッシの気持ち。そしてそれを継続するための懸命な努力。何とも人間臭くて、ワタシは好きだ。

バレンティーノ・ロッシ(モンスターエナジー・ヤマハMotoGP)
バレンティーノ・ロッシ(モンスターエナジー・ヤマハMotoGP)

■クアルタラロの活躍で発奮したビニャーレス

 そういえば2019年シーズンのヤマハは全般的に人間臭かった。サテライトチームのファビオ・クアルタラロ(ペトロナス・ヤマハSRT)の好調に引っ張られるかたちで、ファクトリーチームのマーベリック・ビニャーレス(モンスターエナジー・ヤマハMotoGP)が発奮。シーズン終盤には優勝も含め好成績を収めた。

 そりゃ、ファクトリーライダーとしてはマズいわけですよ、サテライトチームの若者に負けちゃあ。同じメーカーの看板を背負いながら、型落ちマシンに敗れるようなことがあっては、もはや言い訳ができない。もともとメンタルがあまり強くないビニャーレスだったが、クアルタラロの後塵を拝するという苦境を真摯に受け止めて、自分の気持ちをコントロール。それが終盤の好調につながった。

 ビニャーレスの発奮材料となったクアルタラロ自身も、怒りの感情をコントロールするアンガーマネージメント術を身に付けてMotoGPでの成功に結びつけているのだから面白い。

ファビオ・クアルタラロ(ペトロナス・ヤマハSRT)
ファビオ・クアルタラロ(ペトロナス・ヤマハSRT)

 以上、MotoGPはつくづくヒューマンスポーツだと思わされた2019年シーズンを、人間臭さを軸に駆け足で振り返ってみました。2020年シーズンはどんな人間ドラマが待っているのか、今から待ち遠しい!


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