レースを愛してやまないファンの方々へ
autosport web Premiumが登場。

詳細を見る

MotoGP ニュース

投稿日: 2019.12.16 18:16
更新日: 2019.12.17 14:25

中須賀、若手の成長喜ぶも「そう簡単に乗り越えさせない」/2019JSB1000チャンピオンインタビュー

レースを愛してやまないファンの方々へ
autosport web Premiumが登場。

詳細を見る


MotoGP | 中須賀、若手の成長喜ぶも「そう簡単に乗り越えさせない」/2019JSB1000チャンピオンインタビュー

 最終戦鈴鹿を前に高橋とのポイント差は11。2019年の高橋とホンダCBR1000RR SP2のパッケージは他を寄せ付けない速さを持っており、このポイント差をひっくり返すのは至難の業だということは自他共に認めるところであった。

 最終戦レース1、スタート直後に高橋と野左根航汰(YAMAHA FACTORY RACING TEAM)が接触、ふたりとも順位を大きく落とす。そしてその直後、誰もが目を疑う映像が飛び込んできた。高橋がまさかの転倒を喫したのである。

転倒により傷ついた高橋巧のCBR1000RR SP2
転倒により傷ついた高橋巧のCBR1000RR SP2

 レース1は中須賀が優勝、高橋は16位。レース1終了時点で逆に中須賀が9ポイントリードでレース2を迎えることとなった。追う立場から追われる立場になった。そして、中須賀はレース2で2位に入賞し、大逆転でシリーズチャンピオンを獲得した。

「最終戦は、高橋選手、(野左根)航汰、自分、みんなチャンピオンシップがかかっていました。各々がやるべきことをやったなかでアクシデントがありましたが、そこで自分が勝てるポジションにいたことがチャンピオン獲得への流れを作るきっかけになったと思います。ですが、(レース2では)走りは固くなってしまいました」

「(最終戦鈴鹿では)自分はふたつとも勝つしかなかったので『やってやるぜ!』と意気込んでサーキット入りしましたが、レース1の途中から失ったものがふたたび手に入るかもしれない、と思ったら急に走りがガチガチに固くなってしまいました。チャンピオンを獲れば獲るほどその重みがわかってくるので余計に緊張して自分の走りができませんでした」

逆転で2019年のJSB1000王者に輝いた中須賀克行(YAMAHA FACTORY RACING TEAM)
逆転で2019年のJSB1000王者に輝いた中須賀克行(YAMAHA FACTORY RACING TEAM)

 2019年シーズン、中須賀と高橋は熾烈なバトルを展開した。中須賀にとって久々の強力なライバル出現であった。お互いに刺激し合い、高め合ってきたふたり、中須賀は最終戦の高橋の結果をどう見たのだろうか。

「チャンピオンというプレッシャーは少なからずあったと思いますし、それを手に入れて次につなげたいと思っていたと思います。ライダーはみんなそう思うはずです」

「でも、ほぼ確実に手に入れられるところまで来ていながら手に入れることができなかった。それは“チャンピオンになることの難しさ”を証明していると思います。1レース1レース、つねに勝ちを狙って、つねに意識を高く持って、それを1年間ずっと続けていかなければ手に入れられないのです。その苦労を知っているだけに高橋選手はすごく悔しかったと思います」

全日本ロードレース第8戦レース2を2位で終え9度目のタイトルを獲得した中須賀克行(YAMAHA FACTORY RACING TEAM)
全日本ロードレース第8戦レース2を2位で終え9度目のタイトルを獲得した中須賀克行(YAMAHA FACTORY RACING TEAM)

 中須賀も2010年に3年連続チャンピオン獲得がかかった最終戦鈴鹿で攻めた結果、転倒してチャンピオンを逃した経験をしている。

「あの時はとにかくプッシュしました。攻めた結果だったのでライダーとしては気持ち良かったのですが、あとから失った物の大きさに気付いてもの凄く後悔しました」

 チャンピオンの重さとそれを獲ることの難しさを知っている中須賀だけに、高橋の悔しさが痛いほどよく解っているようである。

 2020年シーズン、高橋はスーパーバイク世界選手権(SBK)に参戦するため全日本ロードレースは走らない。そのため中須賀が中心となってJSB1000クラスの闘いが展開されるだろう。

 2019年シーズン後半から野左根や水野涼(MuSASHi RT HARC-PRO.Honda)の若手ライダーが頭角を現し、優勝争いに絡んでくるようになった。中須賀は若手ライダーの成長を喜ぶと共に高い壁となって彼らの前に立ちはだかることが役目だとも言う。

「彼らをやっつけるのが自分の役目だけど、いつまでも自分のようなおじさんに負けているようではいけない。早く自分を追い越して世界への切符を手に入れて欲しいと思います。ですがそう簡単に乗り越えさせません。彼らの勢いや成長が自分の刺激になりますし、それでまた自分も進化できる。お互いに進化して全日本ロードレースの走りのレベルを上げていければと思います」

 なお、中須賀の2020年の体制についてはまだ交渉している段階とのことだが、全日本ロードレース参戦は間違いないようだ。2020年シーズンの抱負については次のよう語る。

「高橋選手が抜けた穴を埋めるべく、全日本ロードレースの走りのレベルを落とさないように自らを高め、来てくれるお客さまが楽しめる質の高いレースをして全日本ロードレースのレベルを上げていきたいと思います。その中心となって引っ張っていけるように心を引き締めて頑張っていきたいと思います」

表彰式に出席した中須賀克行
表彰式に出席した中須賀克行


関連のニュース