ポルシェは9月4日、開発を進めていた同社初のフルEVスポーツカー『タイカン』のワールドプレミアを北米、中国、ヨーロッパの3大陸で同時開催した。
公開されたタイカンは、4ドアスポーツサルーンの外観を持っており、流れるようなルーフに曲線の強いフェンダーデザインを採用することで、ポルシェの看板的存在『911』に近いポルシェ特有のリヤデザインとなっていることがわかる。
ニューモデルの登場にあたり、まず市場に導入されるモデルは『タイカンターボ』と、トップエンドモデルとされる『タイカンターボS』とのふたつだ。ターボSはローンチコントロールと組み合わせたときの最高出力が驚異の761馬力を誇り、わずか2.8秒で時速100キロまで到達、最高速度は260km/hとなっている。
対するターボは、最高出力680馬力となっており、こちらは時速100キロまでは3.2秒で到達する。両モデルともに2速トランスミッションと2基のモーターによる4輪駆動、回生ブレーキが組み合わせられる。
パワートレインには、一般的な電気自動車に搭載されている400Vのものではなく、さらに高出力な800Vのシステムが搭載。これにより、タイカンはわずか5分ほどで100km走れるエネルギーを充電することができる。93kWh最大容量まで充電したときの航続距離は、ターボSが最大412km、ターボは450kmだ。
車体には『ポルシェ4Dシャシーコントロール』と呼ばれるネットワークシステムも搭載される。同システムは電子制御ダンパーで構成されたアダプティブエアサスペンションや、ロール抑制システムが車体をリアルタイムで分析し同期することで、シャシーを制御するという革新的なものだ。
インテリアはドライバー中心のデザインが考えられ、その象徴として、湾曲した独立メーターパネルがダッシュボードの頂点を形成している。また、中央には10.9インチのワイドディスプレイが搭載されており、オプションのパッセンジャーディスプレイと組み合わせることで先進的な一体ガラス画面が形成された。
シートはエレクトリックスポーツカーの持続可能なコンセプトを明確にする試みとして、リサイクル素材が使われており、ポルシェ初となるレザーフリーのインテリアが設定された。
また、ユーザーインターフェースも一新され、スイッチやボタン類が大幅に削減。代わってタッチ操作や“Hey Porsche”コマンドに応答するボイスコントロール機能が新たに与えられている。
これらの新技術が満載されたタイカンには、2019年中に出力を抑えたモデルが追加される。さらに2020年には派生モデルの『タイカンクロスツーリスモ』がデビューする予定だ。
ベルリンのワールドプレミア会場に登場した、ポルシェ取締役会長のオリバー・ブルーメは「タイカンは過去70年以上に渡って世界中の人々を熱狂させてきたポルシェブランドの歴史と輝かしい未来を繋いでいる。今日が新しい時代の幕開けとなる」と語った。