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クルマ ニュース

投稿日: 2016.10.18 07:00
更新日: 2016.10.18 11:39

【大谷達也コラム第4回】なりふり構わず勝利を奪いに行く、メルセデスの伝統手法

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クルマ | 【大谷達也コラム第4回】なりふり構わず勝利を奪いに行く、メルセデスの伝統手法

 1930年代のグランプリレースや速度記録挑戦、1955年のF1ならびにル・マン24時間挑戦、1990年前後のグループCレース、そして現在のF1参戦などがその象徴といえるだろう。

 また、本文では触れなかったが、1990年代にアメリカのCARTシリーズ(現在のインディカー・シリーズに相当)にエンジンを供給していた当時、シリーズ最大の一戦であるインディ500ではプッシュロッド・エンジン(OHV)にのみレギュレーション上の優遇措置があることを見抜いた彼らは、1994年のこのレースだけのために巨額の予算を投じてOHVエンジンを開発。

 ライバルたちが用いるDOHCエンジンを上回る排気量とターボ過給圧を利して40万人が見守る伝統の一戦を制したこともあった。

 一方で、初期のDTMなど一部の例外を除いて、市販車との関連性があまり深くないレーシングカーでの参戦を厭わない姿勢も特徴的である。同様の理由からか、プライベートチームを支援するカスタマーレーシングについても、現在AMG GTで参戦しているGT3レースを除けば、これまで積極的に取り組んできたとは言いがたい。

 つまり、戦うのであればまずはワークス、そして勝利と最短距離にある技術を存分に活用して栄冠を奪い取りにいくのがメルセデスの伝統的な手法なのである。

 このことは何を意味するのか? 彼らが第一に考えているのは、メルセデスというブランドのイメージ向上にあるのではないか。だからこそ、量産車やそこに用いられる技術との関連性にこだわることなく、最高峰カテゴリーで絶対的な強さを発揮することを最優先してきたと考えるとすっきり腑に落ちる。

 なにしろ、メルセデスといえばラグジュアリーブランドの雄。技術よりも何よりも、まずは勝敗にこだわり、メルセデスというブランドの認知度とイメージの向上にこだわるのは当然のことなのだ。


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