モータースポーツ専門誌のauto sport本誌では現在、スポーツカーをはじめ、ホットハッチ、セダン、スポーツクーペなどあらゆる市販ロードカーを“ぶった切る”ピリ辛・市販車インプレッションを不定期連載している。同企画に登場するのは、モータースポーツの中でも、いわゆる“箱車レース”と呼ばれるカテゴリーにおいて、レーシングマシンのベースとなるロードカーたちだ。
今回はそんな『ベースマシン一刀両断!!』シリーズの第18回目レクサスLC500編をお届けする。 2017年にスーパーGT GT500クラスに投入されたレクサスのラグジュアリークーペ、LC500。内外装には気品が感じられるが、肝心の乗り心地はどうだろうか?
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2019年スーパーGT GT500クラスで戴冠を果たし有終の美を飾ったレクサスLC500。販売台数がかなり少ないため、街中で目にしたことがある人は多くないだろう。
メーカーが“ラグジュアリークーペ”とアピールするように、LC500は純粋なスポーツカーでもなければ、スーパーカーでもない。
上質で高性能、スタイリッシュで快適なクーペ、というのがコンセプトなのだろう。大排気量エンジンのFR、ロングノーズに低いキャビン、2+2シーターというフォーマットは、まさに旧き良き時代からの伝統的クーペ。日本にはあまり例がなく、ドイツでも類を見ない。
エンジンはLC500が5.0リッターV8、ハイブリッド仕様のLC500hが3.5リッターV6となる。
今回の試乗車は通常のLC500。排気音は極めて乾いた快音で、まるでフェラーリのV8NAを回しているような気分になる。
しっかりと調教されていて、低回転域や低負荷時はまるで静かだ。スロットルペダルを踏み込み、エンジンの回転数が上がると豹変するのだが、パワフルという印象は薄い。
それはノンターボという点も影響しているだろうが、2tという車両重量や太すぎるタイヤも足を引っ張っている。
トランスミッションは10速ATで、低いギヤではパワーを抑えているようだ。ヨーロッパのスポーツモデルのような“ガツガツ感”はまったくなくスムーズさを維持したうえで、それなりに素早くシフトしようとする。
室内は意外なほど広々としていて、圧迫感はなくラグジュアリーな素材やデザインも相まって快適だ。
このクルマはホイールベースも長いので、少し緩めのジワッとした、接地感の高さが安定性を引き出すような乗り心地を求めたくなるところだ。
しかし、残念ながら走り出してすぐに、その期待は裏切られる。前後左右に細かな揺すられ感が残り、目眩するほど頭が振り回されるのだ。