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国内レース他 ニュース

投稿日: 2022.09.12 18:45

HELM MOTORSPORTS 2022年FIA-F4第5戦/第6戦富士 レースレポート

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国内レース他 | HELM MOTORSPORTS 2022年FIA-F4第5戦/第6戦富士 レースレポート

鳥羽豊がインディペンデントカップで5勝目挙げて、ランキングトップも独走
堀尾風允はレース2で6位も、佐藤巧望は2戦とも追突されてリタイアの不運に…

「HELM MOTORSPORTS」は、今年もFIA-F4選手権に挑む。3年目となるシーズンは3台体制とし、鳥羽豊が継続で、そして堀尾風允を新たに擁することになった。さらにスポット参戦の佐藤巧望を、前回に続いて加えている。シリーズは全7大会・14戦での開催が予定され、第3大会の舞台は富士スピードウェイだ。

 前大会の鈴鹿では、佐藤がレース1で6位、そしてレース2では3位に入って表彰台に上がり、まさに衝撃のデビューとした。昨年までスーパーFJを戦い、走り慣れているコースとはいえ、層の暑いFIA-F4としてはなかなかのこと。

 また鳥羽もインディペンデントカップにおける連勝こそ止めたが、レース2を制してランキングのトップを守り続けている。その一方で堀尾は、歯車の噛み合わぬ展開が続く。練習では好調だっただけに、そろそろ真価を発揮してほしいものだ。

 鈴鹿サーキットでの第2大会から2か月もの間隔を空けたが、その間にテストを富士スピードウェイで7月に行なっており、ドライバーはそれほどブランクを感じていないはず。しかも鳥羽は前週のスーパー耐久・オートポリスで優勝を飾ったばかり。心身ともに絶好調で臨んでいたのは間違いない。まして、その富士では今季2回目のレース開催とあって、ドライバー3人ともに大活躍が期待された。

 練習開始は木曜日からだが、この日は雨に見舞われた。それでも、まだひどく濡れていないうちに堀尾が2番手、佐藤も8番手のタイムを記して発進は上々。金曜日からはドライコンデションでの走行が可能になった。それぞれのベストタイムは堀尾が1分47秒485、佐藤が1分47秒775、そして鳥羽が1分48秒270としていた。

公式予選8月6日(土)
天候:曇り
路面状況:ドライ

Qualifying

 土曜日早朝に行われる予選は、組分けをせず30分の計測に戻されるはずだった。だが、コースは濃い霧に包まれ、視界が確保できず。ディレイが発表された後、本来の開始時間から10分後にキャンセルが決定。グリッドはレース1が土曜日の専有走行、レース2はレース1のベストタイム順で並べられることとなった。そのため、堀尾は12番手、佐藤は18番手、そして鳥羽はインディペンデントカップの2番手から、レース1のスタートを切ることになった。

QF COMMENTS
#61 Driver Sato Takumi

「FIA-F4ではドライで富士を走った経験が全然ないので、昨日の練習では合わせるのに時間が足りなかったという印象でした。練習に来た時も雨だったので、ドライでうまく適応できませんでした。だからこそ、個人的には予選やって欲しかったんですけど。昨日の練習の順位だと18番手になっちゃうので、けっこう悲惨と言いますか……。でも、予選順位が悪くても鈴鹿よりは上がってこられるコースだと思うので、そこに期待します!」

#62 Driver Horio Fuma
「流れで言うと、そんなに悪くありません。特に悩むことはないし、あとは自分の走り次第でタイムも出ると思って今日に臨んでいたので。予選がなくなったのは残念です、こういう少し濡れた路面は得意なので。練習初日も『スリックか、レインか?』って時、速攻でスリック履いて2番手だったので。決勝では追い上げる展開を強制的に強いられますが(笑)、しっかりバトルしてガンガン抜いていこうと思っています」

#63 Driver Toriba Yutaka
「もともとウェット弱かったので、事前にデータを見たり、練習でもしっかりイメージを作ってやってきたので、雨の中でもタイム出せるようになってきたのは、すごく良かったんですけどね。逆にドライになったら、S耐でGT-Rというか、ハコ車に乗っている影響なのか、ボトムを落としすぎる傾向になっちゃって。昨日の後半から徐々に上げているんですが、まだ足りていません。あともう少しだと思うんですけど、すぐ決勝ですからね。決勝の中で、自分でアジャストして今日は頑張りたいと思います」

2022年FIA F4第6戦富士 堀尾風允(HELM MOTORSPORTS)
2022年FIA F4第6戦富士 堀尾風允(HELM MOTORSPORTS)

Rd5決勝レース
8月7日(土)天候:晴れ
路面状況:ドライ

Race1

 当初の天気予報では土曜日も雨とされていたが、コースが濡れたのは朝だけで、以後は完全にドライコンディションでの走行が可能になっていた。また、このところ全国的に猛暑続きだったが、気温、路面温度ともに30度を超えぬまま、決勝レースを迎えることとなった。

 スタート直後の1コーナーでアクシデントが発生。ブレーキをロックさせ、コントロールを失った車両を避けようとした佐藤が接触して、マシンを止めたのだ。佐藤はあえなくリタイア、そしてコースにはセーフティカーが導入される。

 一方、鳥羽は絶妙のスタートを切って、早くもクラストップに浮上。堀尾もスタートを決めていたが、1コーナーの先陣争いに敗れ、14番手に落としていた。リスタートとなった後の鳥羽は、完全にクラス独走状態。若手とも互角に渡り合って、総合での順位も上げていく。最後のストレートでもスリップストリームから抜け出して、まさに技あり一本!クラス4勝目と総合19位を獲得した。

 堀尾はリスタートにやや出遅れ、前との差を開けたことが最後まで響いていた。7周目に1台、11周目にも1台を抜いていたが、その先が遠く……。12位でゴールも、ペナルティで降格となった選手がいたため、ひとつ順位を上げるもポイント獲得には至らなかった。

2022年FIA F4第5戦富士 インディペンデントカップを制した鳥羽豊(HELM MOTORSPORTS)
2022年FIA F4第5戦富士 インディペンデントカップを制した鳥羽豊(HELM MOTORSPORTS)

Race COMMENTS
#61 Driver Sato Takumi

「ドライの路面で走りたかったです。1コーナーでミラーを見たら、フルロックして真っすぐ来る車が見えてので、僕はそれを避けたんですが、横からぶつけられちゃって、どうしようもありませんでした。本当にもったいない。明日は気持ちを切り替えて、頑張るしかないです」

#62 Driver Horio Fuma
「セーフティカー明けのタイミングであったりとか、バトルの最中に接触があったりで、なかなか上がっていくことができませんでした。でも、ある程度はタイム出たんじゃないかと思っていて。明日の順位はまだ分かりませんけど、切り替えて明日、追い上げていきます」

#63 Driver Toriba Yutaka
「2番手からだったので、スタートだけはとにかく決めなきゃと思っていたんですが、思いのほか上手くスタートが切れて、前の若手も何人か抜くことができました。DRAGONさんが迫ってきたんですが、彼より遅くブレーキングしたら、群衆の中にスポットがあったので、そこにグリグリっと入っていったら、うまく抜けることができて。そしたら後ろがなんか混乱していて、『なんだ、なんだ』と思っていたら、とんでもないことになっていましたね。良かった〜(笑)。明日もいいスタート切れるか自信ないですけど、また頑張ります」

Rd6決勝レース
8月7日(日)天候:晴れ
路面状況:ドライ

Race2

 レース1で記されたベストタイムによって、堀尾は8番手から、そして鳥羽はクラストップで、総合19番手につける中、1周目リタイアの佐藤は後方35番手からのスタートに。逆に言えば、ここからどこまで上げてくるか、注目ではあった。

 オープニングラップでひとつ順位を落とした堀尾ながら、前からは遅れることなく、まずは機の熟すのを待つ。3周目には先行車両の後退でひとつ順位を上げ、さらに7周目の1コーナーでは一気に2台を抜いて6番手に浮上する。その後もバトルを繰り返しつつ、ポジションを守り抜いて6位を獲得。今季2回目の入賞を果たしている。

 鳥羽にとっては、決勝はパーフェクトな週末となった。若干スタートはストール気味だったが、その後の加速は問題なし。クラストップを最後まで守り抜き、かつ若手ドライバーとのバトルを楽しむ余裕さえ見せていた。5勝目をマークし、総合でも19位となった。

 そんな鳥羽とは対照的な展開に、佐藤はなっていた。35番手からオープニングラップだけで7台をかわし、2周目には16番手まで上がるも、3周目のGRスープラコーナーでスピン。その後の挽回が続く中、7周目の1コーナーで追突を食らい、足回りの異常を感じたことから10周目にピットに戻ってリタイアとなった。

2022年FIA F4第6戦富士 インディペンデントカップを制した鳥羽豊(HELM MOTORSPORTS)
2022年FIA F4第6戦富士 インディペンデントカップを制した鳥羽豊(HELM MOTORSPORTS)

Race COMMENTS
#61 Driver Sato Takumi

「本当に最悪の週末で、なんとも言えないです。オープニングラップは完璧な形で行けて、順位を上げられたんですが、追い上げる最中にスピンしちゃって……。それがなかったら、違った展開になっていかもしれません。その後、1コーナーで追突されて、明らかにリヤの動きが不自然になったので、もう帰ってきました。次の鈴鹿は絶対に勝つつもりで、今回の悔しさをバネに頑張ります」

#62 Driver Horio Fuma
「ヒヤヒヤした場面もありましたし、まだ課題はありますね。セクター2が遅いので、そこで詰められて、セクター3で離して、という感じでした。抑えるところはちゃんと押さえていたと思うので、もっと自分を磨いて速さをつけないと、ここから先の勝負はできないと思っているので、鈴鹿は苦手なんですけど(笑)、しっかり練習して、今日以上のレースができるように頑張ります」

#63 Driver Toriba Yutaka
「1コーナーの入り込みは昨日と同じで、すごく良くて、いいポジション取りができました。そこからいくつかバトルをこなしましたけれど、若手の中堅どころの選手とはいえ、流石に難しい。カートの世界を勝ち上がってきているので、一瞬でも隙を見せたらダーンと入られる。でも、そんな厳しいバトルをやれたのは、すごくいい経験になって、めちゃくちゃ楽しかったです。次は鈴鹿、だいぶポイントも貯まってきたので、バチバチのバトルをしに行きますよ!」

Director Reiji Hiraki
「約2か月のインターバルがあって挑んだ富士大会ですが、事前にテストも行い、いい形でレースウィークを迎えられたと思います。鳥羽選手は練習走行で吹っ切れないところがあって、2番手だったんですが、いざレースになると持ち前の速さを発揮してくれて、本当に危なげなく、組み立ても去年から比べると、すごく進化していました。見ていて安心できるレース展開でした。堀尾選手は、昨日と今日を比べると、今日のレースが今年いちばんいい展開でしたが、スタートもそうですけど、前半のロスが後半に響いてしまいましたね。逆に、後半は上位陣と遜色ないペースで走れていたので、きっと自信になったと思います」

「ただ、佐藤選手は前回、鈴鹿は調子良かったんですけど、富士の走行経験が少ないこともあって、練習走行から噛み合わないことが多くて、ドライビングについても悩んでいた部分があり、それをレースまで引きずっていた感じがありました。後方のグリッドになってしまったので、いちばん危険な、まわりが見えていないドライバーが多いところで、2レースとも追突されてリタイアという結果になってしまいました。インターバルの間にプライベートテストも行う予定なので、次の鈴鹿ではしっかり3台とも上位に行けるように、チームとしてしっかり準備していきたいと思っています」

NEXT Race

 次回のFIA-F4は、3週間後の8月27〜28日に鈴鹿サーキットで開催されます。前週のスーパー耐久では総合優勝を飾っているHELM MOTORSPORTSは、まさに絶好調! FIA-F4でもいい流れが続いています。これを切らさぬよう、引き続き全力を尽くします。今後とも応援、支援よろしくお願いします。


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