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F1 ニュース

投稿日: 2024.03.12 18:08
更新日: 2024.03.12 20:06

適応力の高さを見せたベアマンと、次世代を担う宮田、岩佐たちへの好影響【中野信治のF1分析/第2戦】

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F1 | 適応力の高さを見せたベアマンと、次世代を担う宮田、岩佐たちへの好影響【中野信治のF1分析/第2戦】

 今回、裕毅は予選で9番手と、力強い走りでQ3進出を果たしました。開幕戦バーレーンGPでさまざまなことが起きて注目を集めている中で迎えた翌戦に、予選からきっちりと結果を出してチームメイトのダニエル・リカルド(予選14番手)の前にいることは、裕毅自身の能力を示すために非常に重要だったと思います。決勝もリカルドの前であり続けたことも素晴らしかったですし、チームも評価しているのではないでしょうか。

 RBのマシンは予選で一発のタイムを出すことができましたが、決勝ではロングランのペースに悩まされていました。前車の背後についてもオーバーテイクには至りにくいということで、ストレートスピードを確認しましたが、RBのストレートスピードは極端に遅いわけでもありませんでした。ストレートスピードは出ているからこそ、超高速のジェッダでRBも予選Q3に入れている。ただ、決勝に関してはダウンフォース量も少なく、予選で見せたストレートスピードを活かすことができず、タイヤのデグラデーション(性能劣化)もかなり大きかったように見えました。

 どのようなセットアップだったのかは定かではありませんが、私には少し予選重視のクルマ作りになっていたように見えました。それはRBが意図したものではなく、結果的にそうなってしまっているという感じです。FPの段階からタイヤのデグラデーションが厳しいことはわかっていたので、決勝での苦戦はある程度予想できていました。そこをRBがいかに乗り越えるかという点で注目していましたが、決勝でも解決には至っていませんでした。

 また、決勝については裕毅自身、もう少しやれた部分はあったと感じているようです。今回のレースでの経験を、また次に活かしてほしいと思います。

角田裕毅(RB)とケビン・マグヌッセン(ハース)
2024年F1第2戦サウジアラビアGP 角田裕毅(RB)とケビン・マグヌッセン(ハース)のバトル

 さて、今回もDAZNではFIA F2についても解説させていただきました。開幕戦で入賞した宮田莉朋選手(ロダン・モータースポーツ)は、今回かなり苦戦していましたね。

 日本のレースでは市街地レースの開催がないため、宮田選手にとって壁に囲まれた中でのレース経験は、F3マカオGPくらいであまり多くはなかったかと思います。壁に囲まれ、ミスに対する許容範囲が狭い市街地コースならではの攻め方、週末の進め方を求められるなかで、マシンの限界を掴むまで時間がかかってしまったという印象です。

 ただ、フィーチャーレース(決勝レース2)後半はファステストラップ争いも繰り広げ、マシンの限界を引き出す走り方をだいぶ掴んでいたように見えました。次戦の舞台はオーストラリアのアルバート・パーク・サーキットと、また壁に囲まれた半公道コースになります。ただ、アルバート・パークはジェッダよりも路面ミュー(摩擦係数)が低いサーキットとなりますが、私の経験上は、ジェッダほど難しいコースではないのかなと考えています。そのため、アルバート・パークでは宮田選手本来の速さを見せられるレースになるかもしれません。同じ日本人として、引き続き期待したいです。

2024年FIA F2第2戦ジェッダ 宮田莉朋(ロダン・モータースポーツ/TGR WECチャレンジプログラム)

 また、日本では全日本スーパーフォーミュラ(SF)選手権が開幕し、野尻智紀(TEAM MUGEN)がいいレースを見せてくれました。ああいった展開になると野尻は強く、まさに横綱相撲でしたね。予選4番手の佐藤蓮(PONOS NAKAJIMA RACING)も好スタートを決めて表彰台のチャンスはあったと思いますが、ストラテジーの部分で涙を飲むことになりました。

 そして、岩佐歩夢(TEAM MUGEN)も2年間のFIA F2を経て、SFデビューを迎え9位に入りました。今回の開幕戦ではセットアップの進め方など、日本での仕事のやり方という部分で思うところがあったようでしたが、次回に向けてすでに解決策をかなり見つけているようです。

 SFを筆頭に国内のモータースポーツも次々と開幕を迎えます。F1、FIA F2と同じく、国内の戦いにも引き続き注目ですし、見る側としてもいろいろと忙しい季節がやってきたなとも感じます(笑)。

圧巻のスタートダッシュで野尻智紀が開幕戦勝利、山下健太、山本尚貴が久々の表彰台【第1戦鈴鹿決勝】
2024スーパーフォーミュラ第1戦鈴鹿 決勝レーススタートシーン

【プロフィール】
中野信治(なかの しんじ)

1971年生まれ、大阪府出身。無限ホンダのワークスドライバーとして数々の実績を重ね、1997年にプロスト・グランプリから日本人で5人目となるF1レギュラードライバーとして参戦。その後、ミナルディ、ジョーダンとチームを移した。その後アメリカのCART、インディ500、ル・マン24時間レースなど幅広く世界主要レースに参戦。スーパーGT、スーパーフォーミュラでチームの監督を務め、現在はホンダレーシングスクール鈴鹿(HRS)のバイスプリンシパル(副校長)として後進の育成に携わり、インターネット中継DAZNのF1解説を担当。
公式HP:https://www.c-shinji.com/
公式Twitter:https://twitter.com/shinjinakano24


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