ニコ・ヒュルケンベルグのキック・ザウバー加入は、パドックでは予想されていた通りのことだった。アウディがドイツ人ドライバーを求めていたことに加え、経験豊富かつ速さのあるドライバーを必要としていたことを考えれば、現在のF1ドライバー市場でヒュルケンベルグ以外に適任はいなかったからだ。F1では表彰台こそないものの、ヒュルケンベルグの純粋な速さと才能はともに仕事をした全てのエンジニアが認めるところであり、同じフォルクスワーゲングループのポルシェでル・マン24時間レースを制した経験と実績も大きな意味を持っていた。

 ヒュルケンベルグの加入は予想通りとは言え、予想よりも早く契約が締結され発表に至った。アウディはこの4月にようやくザウバー買収が正式承認されたばかりで、ドライバー交渉が始まったのもそこからのはずだからだ。オーストリア方面から流れたカルロス・サインツが交渉しているとの報道もあって、ヒュルケンベルグ側も契約を急いだのだろう。

 フェルナンド・アロンソのアストンマーティン契約延長に続くアウディの1席確定でドライバー市場は再び騒がしくなった。

 ヒュルケンベルグを失うことになったハースは、マシンの速さの評価基準となる速さを持つドライバーを探している。1席はフェラーリの育成ドライバーであるオリバー・ベアマンの昇格が99%確実と言われており、チームとしてはすでに昨年の時点でベアマンを高く評価していて後はフェラーリ次第。

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