モナコGPではドライビングの精密力、ル・マン24時間ではフィジカルな持久力、インディ500ではその両方と冷静な判断力が求められる。これまで3大レースを現場取材してきた一人としてそう思う。
アロンソにはこの三つの力がルイス・ハミルトンやセバスチャン・ベッテル、マックス・フェルスタッペンよりバランスよく備わっている。なにより言えるのは我慢強い性格であること、800kmを一人で走りぬく間には必ず何かが起こる。それを受け入れ、くじけず3時間以上ピークを保つのだ。F1の3倍近いインディ500は人生行路みたいに長い。F1王者として冒険に向かうレーサーの勇気、60年代に成し得たジム・クラークがだぶる――。