昨年のイタリアGPでストフェル・バンドーン車のみ二度にわたってMGU-Kのシャフトが折損した時のように走行ラインのバンプが影響した可能性もないわけではないが、そうだとしても耐久性の想定が充分でなかったことは事実であり、レースを止めてしまったことに変わりはない。「信頼性第一」を掲げていただけに、ホンダにとってはこれが対策と名誉挽回のラストチャンスと言っても過言ではない。そのくらい深刻な事態に直面しているのだ。
一方、マシンパッケージとしてのパフォーマンスは決して悪くはなかった。
予選で両ドライバーともにミスを犯して本来のポテンシャルを引き出すことができなかったが、「あれほど路面グリップが向上しているとは予想できずターン1でブレーキングが早すぎた」というブレンドン・ハートレーは、そこだけで0.2~0.3秒は失ったといい、それがなければフォース・インディア勢を上回る13番手だった。
ピエール・ガスリーは「ターン3で最初のランより50mブレーキングを遅らせたらロックしてまっすぐコースオフ。Q2を意識して、僅かだけど限界を超えてしまった」。昨年から常にハートレーより0.2~0.5秒ほど速いタイムを刻んでいるガスリーならば、ミスをしたハートレーと0.459秒しか差がなかった12位のマクラーレン(バンドーン)に近いタイムを刻むことさえできたはずだ。
だが、ともにアルバートパークは初体験という両ドライバーの若さが予選での不発に繋がってしまったことは否めない。
決勝でもそれは続いた。スタート直後のターン1で派手にタイヤをロックさせたハートレーは、「ブレーキング時にラインを変えて路面のバンプでロックしてしまった」といい、これもこのサーキットでの経験があれば避けられたミスだった。
大きくフラットスポットができてしまったタイヤをソフトタイヤに交換して最後まで走り切る戦略に出て、前の中団グループと同等のペースで追いかけていったが、すぐに失速。左リヤのフロアが壊れ、大幅にダウンフォースを失うとともにパンクも引き起こしてしまい「あそこでゲームオーバーだった」。これは不運でもあるが、バンプや縁石でダメージを負ったことは明らかで、やはり経験不足から来るものだったと言わざるを得ない。