ふたりのドライバーともにソフトを1セットしか選択肢なかったのは、トロロッソのほかにフェラーリしかいない。1セットしか持って来ていないため、金曜日のフリー走行でのロングランはウルトラソフトで行うしかない。したがって、セットアップもウルトラソフトに合わせて施される。ソフトとウルトラソフトではコンパウンドが違うだけでなく、タイヤの特性が異なる。これがハイパーソフトを履いたときのマシンの挙動に影響を与えたのではないか。
シンガポールGPの予選後、田辺豊治F1テクニカルディレクターは次のようにコメントしていた。
「ハイパーソフトを予選でうまく使えませんでした。フロントが温まりにくく、リヤがオーバーヒートしやすかった。そのため、セクター1、2、3でどんどんクルマの挙動が変っていって運転しにくいクルマになってしまったようです」
調子が良かったハンガリーGPにはハイパーソフトは投入されておらず、ガスリーはウルトラソフトとソフトで6位に入った。7位に入ったモナコGPにはハイパーソフトが投入されていたが、ロングランはスーパーソフトだった。今回のシンガポールGPのようにハイパーソフトでスタートし、ウルトラソフトでロングランしたレースは今シーズンこれまでなかった。アグレッシブすぎるタイヤの使い方がピーキーなマシン特性をより運転しづらいものにしてしまった可能性が高い。
シンガポールGPは残念な結果に終わったトロロッソ・ホンダ。しかし、シーズンはまだ終わっていない。この教訓を今後に生かすためにも、シンガポールGPのデータを解析し、打開策を早く見つけてほしい。