71周レース最初のコーナー、もっとも危ういここで昨年の二の舞(ラインを譲らず接触)は避けた。
今日は勝つためではなく、決めるためのレースなのだ。その自制心でサッと2番手につけるとリカルドを必要充分な間隔で抑え、これから予想される“タイヤ・マネージメント”にそなえた。
モンツァではスタート後の序盤、トップを走るキミ・ライコネン(フェラーリ)に1秒前後で位置をフォローしたが、メキシコでは2秒、3秒とギャップを広げられていった。
レッドブルの後方だとフェラーリより乱流の影響が感じられ、フロントウイングが微妙に揺れる。若干アンダーステアが出始めて前輪に“ささくれ摩耗”が進行、メルセデス陣営が怖れていた事態が早くも起きつつあった。
10周目、フェルスタッペンとは、4.959秒差となった。11周目、メルセデスはハミルトンとボッタスの2台同時ピットインを実行。苦戦覚悟のレースマネージメントを強いられる状況に。
コクピットにいるドライバーは孤独だと昔から言われている。1950年代の5冠王ファン・マヌエル・ファンジオのころには、もちろんピットとの無線交信などありえずサインボードが唯一の手段でしかなかった。
ハミルトンはピットに居るエンジニアと中盤、頻繁に交信をつづけながら走行。後半に入った46周目、さらに危機が襲う。
追い込んできたリカルドに1コーナーでアウトから仕掛けられ、接触を避けようと減速してロックアップ。コースを外れオーバーラン、危なかった。