元F1ドライバー、ステファン・ヨハンソンは、2021年最終戦でのFIAレースディレクター、マイケル・マシの判断を強く批判し、FIAとF1商業権所有者リバティ・メディアはF1においてスポーツではなくエンターテインメントを優先しているとして、その方向性への懸念を示した。
最終戦アブダビGP決勝のほとんどをルイス・ハミルトン(メルセデス)がリードしていたものの、終盤のセーフティカー運用方法に関し、マシがレギュレーションに従った手順を取らず、独自の判断を下したことが、ハミルトンにとって圧倒的不利に働き、マックス・フェルスタッペン(レッドブル・ホンダ)がタイトルを獲得することとなった。
メルセデスからの強い抗議を退けたFIAだが、後に、この件を詳細に調査して今後の改善に役立てると約束した。
1980年から1991年にF1に出場したヨハンソンは、自身のブログにおいて、2021年のハミルトンとフェルスタッペンはふたりともチャンピオンにふさわしい走りをし、素晴らしい戦いを見せてきただけに、FIAが「間違った判断」によって戦いの最後に水を差したことが残念であると記している。
「多くの人々が議論に加わり、ルイス派とマックス派、どちらも強い情熱を示していることは、F1にとってポジティブなことだと思う。意図的かどうかは別にして、この論争はエンターテインメントとして高まりを見せている」とヨハンソン。
「だが、どこかでバランスを取る必要があると私は思う。マシが下した決定は、いかなる水準において考えても理にかなわないものだった。状況を公平に処理するための常識をいかなるレベルにおいても完全に無視したものだ」
「あの場合、やるべきことはただひとつだった。通常と同じことを行うこと、それ以前のレースで実際行ったとおりに行動することだった。残り5周でセーフティカーを出動させた後、彼らは赤旗を出すべきだった。最後まで公平さを保ち、興奮を持続させるための方法は、それ以外になかったのだ。そうすれば、コースを片づけている間に、全員がピットに戻り、新品タイヤに履き替えて、レースを再開することができた」
「それならタイトルがかかった5周を公平に実施することができただろう。だが、彼(マシ)は、(周回後れの処理について)いったん決断を下した後で、ぎりぎりになってからその指示を変更した。それが、マックスとレッドブルのためのレースをお膳立てすることになった。それまでルイスは完璧なレースをしていた。タイトルをつかむためにやるべきことをすべて成し遂げ、完璧なスタートも決めていた」
「この一年のなかでどういうわけか信じられないような間違った判断が積み重なり、エスカレートしてきた。最終戦でそれが頂点に達したといえるだろう」