■人生をかけた大きな決断を誇りに思っていい
ロズベルグは、ふたつの間でバランスを取ることは不可能だと考えている。けれどもおそらくは、可能だ。チャンピオンとして波に乗り、コース外での仕事を大幅に抑えて家族と過ごす時間を取り、この先の2年間で1000万ポンド(約14億3千万円)以上の額をポケットに納めることだってできたはずだ。
だがそれはあまりいいこととはいえないだろう。現役チャンピオンであるロズベルグ本人やメルセデス、F1にとっては最悪の事態ともなっただろう。気持ち半分でタイトル防衛に臨むことは、F1やスタッフに対して中指を立てるのと変わりない。そして彼自身の気持ちをくじき、評判を落とすことにもなるだろう。
何年か後にレースが恋しくなったとしても、ロズベルグが選択肢に困ることはない。F1での夢を叶えるために大きな犠牲を払ってきたのだから、いくらかのご褒美を得るには最適な時期だと言える。
F1はビジネスであり、スポーツであり、エンターテインメント業界だ。だが単にそれだけのものだ。ロズベルグがF1に人生を掛けてきたことは明らかだが、それが何よりも大事なことというわけではない。彼は常にケケの息子であり、ハミルトンのチームメイトであり続けてきて、おそらく自分だけの力でタイトルを獲得したと認められることはない。
F1での妄想から脱出することは容易ではないし、自分の思うがままにそこから離れることは、もっと難しい。だからこそ、それらをやってのけた手柄のすべては、ロズベルグだけのものだ。
この記事は国内独占契約により英 AUTOSPORT.com 提供の情報をもとに作成しています