長谷川:もちろん、理解していましたよ。ただ、ロンさんは非常にピュアな方で、レースに勝つためなら遠慮しないところがあるんです。私はホンダの第3期F1活動でロス・ブラウンとも仕事をしましたが、彼もそういうところがありましたね。
――そういう苦労があって、16年の信頼性は大きく向上したわけですね。
長谷川:15年にわれわれは12基のエンジンを2人のドライバーが使用しましたが、16年はジェンソン(バトン)が6基、フェルナンド(アロンソ)も8基で戦いきることができました。これも開幕戦でのクラッシュなどイレギュラーな事態が起きなければ、基本性能としてはレギュレーションで定められた年間5基でまかなうことができるだけの耐久性はあったはずだと思っています。したがって、信頼性に関しては、2年目としては合格点をあげたい。ただ、それは自己評価であって、ライバルと比較すると信頼面でもまだ差をつけられている。セッションをストップさせたり、レースをリタイアさせるトラブルが何度かあったことを考えると、17年はさらにもう一段階、上を目指さなくてはなりません。さらに馬力という面でもライバルに追いつかなくてはならないですね。
後編につづく