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F1 ニュース

投稿日: 2023.06.16 10:52
更新日: 2023.06.16 10:59

F1 Topic:いまだから語れる奇跡のシーズン「2021年」の裏話

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F1 | F1 Topic:いまだから語れる奇跡のシーズン「2021年」の裏話

 開幕から7連勝と絶好調のレッドブル・ホンダRBPT。現場で取材していても、チャンピオンシップを独走しているマックス・フェルスタッペンとそのチーム関係者に余計なプレッシャーは感じられず、取材する側としても仕事がはかどるという意味では申し分ない。

 移動に関しても、新型コロナが5類相当に引き下げられ、海外からの移動制限が大幅に緩和され、何倍も楽になった。もちろん、ロシアによるウクライナ侵攻によって、日本からヨーロッパへの移動は従来より数時間長くなったり、物価が高騰した影響で経費がかさんでいるが、それでもコロナ禍での移動に比べると、精神的なストレスはだいぶ軽減された。

 そのようなシーズンを送っていて、あらためて実感するのが2年前の2021年だ。この年は、さまざまな出来事が凝縮された奇跡のシーズンだった。特に日本人にとっては、いまでも忘れられない一年だっただろう。その最大の要因は、このシーズンがホンダにとって、“第四期”と呼ばれるF1活動の最後の一年だったということだ。

 その年にホンダが投入した新骨格と呼ばれるパワーユニットは強力で、レッドブルの車体性能の良さとそれを操るフェルスタッペンの類稀なテクニックも相まって、“絶対王者”と呼ばれたメルセデスとチャンピオンシップ争いを繰り広げた。その熾烈な戦いは最終戦までもつれ込み、ファイナルラップで決着するという稀に見る死闘となった。

じつは21年の取材は申請締切後から開始された(第1話より)
じつは21年の取材は申請締切後から開始された(第1話より)

 2015年にF1復帰してスタートしたホンダの第四期F1活動は茨の道の連続だった。その7年間の間に、ホンダはどんな屈辱を味わったのか。そして、どのようにしてどん底から這い上がって行ったのか。その事実を筆者が関係者の証言を元に一冊の本にまとめたのが『歓喜』(インプレス刊)だ。

 この単行本は2022年の3月に上梓され、翌月の4月に1回目の重版となった。近年のモータースポーツを題材とした単行本としては異例の早さでの重版だった。その後も売れ行きは好調で、1年後の2023年の4月には2度目の重版となった。日本のモータースポーツ・ファンがいかにホンダF1を注目しているかがわかる。そして、ホンダはそんなファンの期待に応えるだけの戦いをあのとき行っていた。

 私が単行本執筆のために、単独取材したひとりに当時、HRD Sakura(現在のHRC Sakura)のセンター長を務めていた大津啓司の「(マクラーレンと)喧嘩して速くなるんだったら喧嘩しますよ。でも、そんなことをしても絶対速くならない」という言葉は、いまでも忘れることができない。そういう人たちの努力があったからこそ、ホンダはその後、巻き返すことに成功し、2026年以降のF1活動継続へとつながったのだと信じている。

バーレーン到着後、タラップを降りると現地スタッフがお出迎え(第2話より)
バーレーン到着後、タラップを降りると現地スタッフがお出迎え(第2話より)

 2021年が奇跡のシーズンだったと思うのは、コース上だけの戦いだけでなく、2021年はコース外でもさまざまな戦いがあったからだ。その中でももっとも大きなものが新型コロナとの戦いだ。前年の2020年に新型コロナの世界的な感染拡大の中でシーズンを短縮して再開したF1は、その翌年の2021年もまだ新型コロナとの戦いを続けていた。

 その2021年、日本人ジャーナリストとしてただひとり全戦取材したのが筆者だった。その取材の模様は折に触れて書き記してきたつもりだが、単行本の取材に関する裏話だけは単行本が刊行されるまで、どこにも発表しなかった。そこで今回2度目の重版を記念して、単行本を出版していただいたインプレスのCar Watch web内で『「歓喜」の裏話』というタイトルで6月より連載をスタートした。

 2021年シーズンの取材は何度も続行不可能な苦境に立たされた。それでも、最終戦まで取材を継続できたのは、多くの関係者の協力があったからだ。そういった方々への感謝もこの連載には含まれている。

 この機会に奇跡のシーズンとなった2021年の余韻に、いま一度、浸ってみていただきたい。

ホンダが連勝していた中、このとき取材継続の危機に直面していた!!(第7話予定)
ホンダが連勝していた中、このとき取材継続の危機に直面していた!!(第7話予定)

『「歓喜」の裏話』連載の一覧のページはこちら
https://car.watch.impress.co.jp/docs/series/owari-hondaf1/

『歓喜——ホンダF1 苦節7年、ファイナルラップで掴みとった栄冠』(著者/尾張正博)
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