ニュルブルクリンクのグランプリコースと北コース(ノルドシュライフェ)を使ってシリーズ戦を行っているNLS(旧VLN)ニュルブルクリンク耐久シリーズ。2020年6月27日に、待ちに待った開幕戦『第51回Adenauer ADAC Rundstrecken』が開催された。
新型コロナウイルスの感染拡大防止のため、世界中がさまざまな規制下に置かれている間、ドイツでもモータースポーツ活動はすべてストップしていたが、3カ月遅れでようやく迎えることができた開幕戦。パドックには関係者や各行政機関の尽力に対するリスペクトの言葉に溢れていた。
コロナ禍においての厳格な特別ルールでのレース開催は決して容易ではない。無観客の開催となるために、ノルドシュライフェ近辺のありとあらゆる入口は、フェンスで固く閉じられ、セキュリティ係員の厳しいチェックが行われた。
また、警察や行政機関の見回りも強化され、サーキット近辺はひっそりと静まり返っていたのが印象的だった。しかし、そんな逆境にめげることなく、臨時でつくられた『オープンエアピット』を「まるでアメリカのレースのようだ」と楽しむところが、なんともニュルの仲間らしい。
■NOVEL RacingがTOYO TIRESとパートナーを組みエントリー
一体どれだけ集まるのだろうか、と懸念された参加台数だが、厳しい状況下にも拘わらず140台がエントリーした。
注目を集めたのは、SP10クラスに参戦する『GRスープラGT4』だ。TOYOTA GAZOO Racing Europe(TGR-E、旧TMG)で開発されたトヨタの新型レーシングカーで、レクサスチューナーとして世界で名を馳せるNovel Racingからエントリーし、この日がデビューレースとなる。
Novel Racingは今季、新たにTOYO TIRESとパートナーシップを組み、『Novel Racing with Toyo Tires & Ring Racing』としてシリーズを戦う。
TOYO TIRESは今年、約10年ぶりのニュルブルクリンク24時間耐久レース参戦を控えており、今回のレースはそれを見据えての参戦となる。
現在、日本からドイツへの渡航に関しては『渡航中止勧告 レベル3』が日本政府から出されており、日本チームやドライバーの開幕戦への参戦は残念ながら見送られた。
しかし、Novel Racingの渡邊卓代表やTOYO TIRESのエンジニア陣は、現地でレース活動を担うリングレーシングのピットと通信ネットワークを繋ぎ、日独の7時間の時差を感じさせないリモートワークで開幕戦に挑んだ。