ポール発進のラーソンは激昂に散る。トヨタのベルが“恋焦がれた”ダート戦を制覇/NASCAR第8戦
これで主役に躍り出たのがステージ2終了後もオールドタイヤを装着していたベルで、残り100周にわたってリードラップを維持する。対照的にステージ2を制したレディックは、2回目のブレークでピットインし、12番手からの巻き返しを図る。
各コーナーで深いアングルを維持し、首位のベルに追い縋ったチェイス・ブリスコ(スチュワート・ハース・レーシング/フォード・マスタング)をパスし、ようやく223周目に2番手に上がったレディックだったが、残り25周からの追撃では決め手に欠く状況が続く。複数のコーションを経てホワイトフラッグでもこの日最後、14回目のイエローが宣言されたとき、250周のドリフトコントロール勝負を粘り抜いたベルが、カップ通算5勝目を手にした。
「もう、言わせてくれ! これは僕の人生でもっとも長いラップのひとつだった」と、終盤のトヨタ対決を振り返った勝者ベル。コロナ禍直前にもミゼットのビッグイベントで3連覇を達成している“ダートガイ”は、このサンダーバレーの赤土の上で「ようやく勝てたことがうれしい」と、自身の悲願達成を喜ぶ。
「土であろうとコンクリートであろうと、この場所はとても楽しいね。ハードにドライブすれば、すぐに壁の餌食になる。右フロントを入れたらほんのわずかにプッシュ、でも右リヤを滑らせ過ぎたらアウト。本当に楽しかったよ」
ボトムラインを選べばストレートが伸びず、ハイラインでは繊細なコントロールが要求されるトラック。それでもベルはダートでの経験を活かし「間違いなく、今夜のトラックは最高の体験だった」と続ける。
「ターン3と4は僕にとって真に恐ろしいコーナーだった。行き過ぎると、すべての勢いを失ってしまうからね。逆にターン1と2では何度か壁にぶつけた。そこにはもう少し湿気があったようで、よりよくクルマを保持してくれたんだ。だから僕も『よし、1と2は本当に攻撃できる』みたいな感じだけど『3と4は気をつけなきゃ』って感じだった。今は最高の気分だよ!」
同じくブリストルのダートで併催されたNASCARクラフツマン・トラック・シリーズ第6戦『ウェザーガード・トラックレース・オブ・ダート』は、現カップ王者ジョーイ・ロガーノ(ThorsSport Racing/フォード・F-150)が150周のうち138周をリードし、僚友タイ・マジェスキーを従え勝利。服部茂章率いるハットリ・レーシング・エンタープライズ(HRE)の16号車タイラー・アンクラム(トヨタ・タンドラTRD-Pro)は、2回のアクシデントに巻き込まれ、残念ながらリタイアとなっている。