9月3~5日にフランス・ロエアックを舞台に争われた2021年のWorldRX世界ラリークロス選手権第3戦は、前戦に続きセミファイナルでトラブルに見舞われた3冠王者ヨハン・クリストファーソン(アウディS1 RXクワトロ/KYB EKS JC)を尻目に、ティミー&ケビンのハンセン・ブラザーズ(プジョー208 WRXスーパーカー/ハンセン・ワールドRXチーム)が再び躍動。開幕のスペイン・バルセロナ、第2戦のスウェーデン・ホーリエスに続き、3戦連続の兄弟1-2を飾っている。
開幕の予選Q1ヒート失格に始まり、前戦の地元スウェーデンでもセミファイナルで“ダブルパンクチャー”を喫して勝負の権利すら与えられなかったクリストファーソンは、この週末に2万5000人の観衆を集めたフランスで起死回生を狙っての走り出しとなった。
その気持ちを反映するかのように、公式練習での最速からQ1を2番手とすると、土曜最後のQ2でもトップタイムを記録し、初日最速のドライバーとして夜を越すこととなった。
「ここでも限界を押し上げる必要があると思って全力で挑んでいるが、オフラインでは本当にグリップがなく、ミスをした場合にタイムを取り戻すことは非常に困難になるんだ」と初日を振り返ったクリストファーソン。
最速を逃したQ1ヒートでは、ここ2戦不調が続いていたニクラス・グロンホルム(ヒュンダイi20RXスーパーカー/GRX-SETワールドRXチーム)とのバトルで第2戦のQ2と同じくマシンがあらぬ方向を向き、フルカウンター、フルスロットルの窮地に陥る“デジャヴ”を経験した。
「スタートが非常に重要だったが、Q1では良好なトラクションを得てターン1でリードを奪うことができた。でも思ったよりギャップが充分でなく、ターンインでリヤを当てられたんだ」と続けるクリストファーソン。
「それでマシンがほとんど180度逆向きになるような状況に陥ったが、そこからまたフルロック、フルスロットルでなんとか立て直すことができた。幸運にも2番手タイムで生き残り、Q2はとりあえずスムーズに進んでありがたかったよ」
初日3番手にはQ1の最終コーナーで豪快なオーバーテイクを披露し、Q2でも2番手タイムを記録したWRC世界ラリー選手権経験者ケビン・アブリング(ルノー・メガーヌR.S.RXスーパーカー/UNKORRUPTED)が続き、ハンセン兄弟は弟ケビンが4番手、兄のティミーが5番手で翌日からの勝負に備える状況となった。
明けた日曜のウォームアップで、セットアップの変更に手応えを得たケビンが最速タイムをマークすると、彼らのプジョー208WRXスーパーカーは息を吹き返したかのようなスピードを見せ、Q3ではクリストファーソンに続いて2番手、3番手、Q4では兄のティミーが最速を刻んでセミファイナル進出を確定。
するとそのセミファイナル1ではともに世界チャンピオンを経験するふたりが直接対決の構図となるも、ここでKYB EKS JCのアウディS1 RXクワトロはまさかのドライブシャフト破損で失速し、最終ラップでティミーのプジョーに続きティモ・シャイダー(セアト・イビーザRXスーパーカー/ALL-INKL.COM・ミュニッヒ・モータースポーツ)にもパスされ、失意の3位フィニッシュとなった。