12月4日、フランス・パリで2019年最後の世界モータースポーツ評議会(WMSC)が行われ、WEC世界耐久選手権で2020/2021年シーズンから始まる新しいトップカテゴリーについて、OEMと呼ばれる自動車メーカーのブランドの下でホモロゲーションを取得していない車両の参戦を禁止する決定が確認された。
現行のLMP1規定に替わり、2020年後半にスタートするWECの新トップカテゴリー“ハイパーカー規定”に大きなルール変更が加わった。
これまで同規定ではOEM以外のマニュファクチャラーやコンストラクター、レーシングチームなどが、車両レギュレーションに合わせて自由に車両を製造することを許可していた。しかし、水曜日に行われたWMSCで、この分野について変更がなされ、ハイパーカークラスのエントラントは実質的にOEMとの関係なしに同クラスへ出場することができなくなったのだ。
FIAの声明によると、ハイパーカークラスに参戦するエントラントは「自動車メーカーが持つブランドの下でホモロゲーションを受けた車両を用いなければならない」という。
これはバイコレス・レーシングのように、自動車メーカーのブランドに属さないオリジナルマシンでの参戦を計画していた企業や、ハイパーカープログラムを評価してきた組織から単一での参戦権を奪う可能性を含むものだ。
また、FIAがOEMとみなされる企業の基準をまだ明確に定義していないため、ジェームズ・グリッケンハウス率いるアメリカのスポーツカーメーカー、スクーデリア・キャメロン・グリッケンハウスにどのような影響を与えるのかは不明のままだ。
■運営スタッフは最多43名。ノンハイブリッド車でのエントリーでは40名に
この他、WMSCでは2020/21年シーズンからスタートする新しいカテゴリーの名称および、チームスタッフの人数が確認された。
まず運用スタッフの数だが、ハイパーカークラスの運用スタッフは40名に制限される。しかし、ハイブリッドシステムを搭載するクルマを走らせる場合には43名まで拡大することが許可された。
この規定を適用すると、ノンハイブリッド車での参戦を発表しているアストンマーティンは40名、トヨタと2022年のル・マン復帰を目指しているプジョーは43名の現場スタッフでレースに臨むこととなる。
カテゴリー名称はこれまで暫定的に使われてきた“ハイパーカー”を踏襲する『ル・マン・ハイパーカー』が新たなクラス名に採用されることに決定。また、シリーズタイトル名称はFIAワールド・エンデュランス・ドライバーズと、FIAワールド・エンデュランス・マニュファクチャラーズとなることが確認されている。
なお、世界選手権はLM-GTE Proクラスでも継続され、こちらもドライバーズタイトルとマニュファクチャラーズタイトルに世界王者の称号が与えられる予定だ。