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ル・マン/WEC ニュース

投稿日: 2021.08.07 10:19
更新日: 2021.10.23 23:52

根本悠生 2021 トタルエナジーズ・スパ24時間 レースレポート

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ル・マン/WEC | 根本悠生 2021 トタルエナジーズ・スパ24時間 レースレポート

 7月30日、分厚い雲の隙間から青空が顔を覗かせるドライコンディションのもと、現地時間16時30分に24時間の決勝レースはスタートを迎えた。チームは決勝結果を大きく左右する重要なスタートを根本悠生に任せた。根本はチームの、そしてランボルギーニの期待に答える走りでシルバーカップ11番手に浮上し、2周目に突入する。

 プロクラス、プロアマクラスなど、他クラスのマシンに囲まれながら根本は周回を重ねるが、スタートから22分、10周目のオールージュ〜ラディオンで4台が絡む多重クラッシュが発生。マシンが大きく大破するアクシデントにサーキットは一時凍りついたが、4名のドライバーは命に別状はなかった。このアクシデントにより根本の第1スティントの大半が、FCY(フルコースイエロー)となる。

 シルバーカップ6番手を走行する666号車はレース開始から1時間が経過した時点で最初のピットインを敢行、給油とタイヤ交換を行うがドライバーは引き続き根本悠生が務める。その直後、レース再スタートに向けてFCYからセーフティカー先導と状況は変わったが、ここでチームから666号車にピットロードスルーの指示が飛ぶ。セーフティカー導入直前、FCYが45分以上になるという情報があったため、ここでドライブスルーをすることで65分という1スティントの最大搭乗時間をクリアしようという意図であったが、これでクラス17番手/総合50番手までポジションを下げてしまう。そして、レースはリスタートを迎えたが、その直後に土砂降りの大雨がスパを襲う。

 しかし、ふたたびピットに入りレインタイヤに変えた根本はハイペースで周回を重ね、シルバーカップ13番手まで順位を取り戻すと、スタートから2時間を過ぎた39周目にピットイン。根本は第3スティントを担当するヴァン・ヴェルロにステアリングを預けた。

666号車 ランボルギーニ・ウラカン GT3 エボ(バプティスト・ムーラン/根本悠生/マーティン・ランプ/グレン・ヴァン・ヴェルロ)
666号車 ランボルギーニ・ウラカン GT3 エボ(バプティスト・ムーラン/根本悠生/マーティン・ランプ/グレン・ヴァン・ヴェルロ)

 根本は短い休息を挟み、現地時間で8月1日を迎えようかという深夜、162周目からふたたびステアリングを握った。クラス10番手/総合35番手からひとつでもポジションを上げるべく、そして確実にチェッカーを迎えるべく1周1周を噛み締めるように、決して無理はせずに周回を重ねた。約2時間後、現地時間で2時を迎えたところで、ふたたびドライバー交代を迎え、根本はヴァン・ヴェルロにステアリングを預けた。しかし、これが根本にとっての今大会最後のスティントとなってしまう。

 まだ夜も深い現地時間3時30分ごろ、ヴァン・ヴェルロがドライブする666号車はコースサイドにストップする。原因はコース上のデブリがラジエーターフェンスを突き破りラジエーターを破壊し、エンジンにダメージを負ってしまったためだ。666号車はオフィシャルの手により、リペアエリアに運ばれたが、チームはマシンの状況を確認し、修復は不可能と判断。245周、約7時間のところで夜明けを迎える前にリタイアとなってしまった。

 もし、水温の異常にヴァン・ヴェルロが気づくことができていれば、コースサイドでのストップという事態は防ぐことができたかもしれない。これは経験が浅い若手ドライバーにとって大きな学びとなっただろう。リタイアの知らせはトレーラーで休息をとっていた根本の耳にも入れられた。

 夜明けを前にレースを終えることとなった根本悠生だが、あくまで今大会への参戦はスパ24時間という大舞台を制する第一歩であると考えている。そして、実際にこの大舞台を経験したことで、スパ24時間というレースへの想いは強まることとなった。今回は手ぶらでサーキットを後にすることとなったが、「次は優勝トロフィーを日本に持ち帰る」。そう誓いながら、モータースポーツの歴史を紡いできたスパ・フランコルシャンを後にした。

666号車 ランボルギーニ・ウラカン GT3 エボ(バプティスト・ムーラン/根本悠生/マーティン・ランプ/グレン・ヴァン・ヴェルロ)
666号車 ランボルギーニ・ウラカン GT3 エボ(バプティスト・ムーラン/根本悠生/マーティン・ランプ/グレン・ヴァン・ヴェルロ)

■根本悠生 コメント

「スパ24時間はサポートレースのランボルギーニ・スーパートロフェオ・ヨーロッパに出ていた頃から間近で見ていながらも、参戦できなかったという憧れのレースです。そんな憧れのレースに参戦でき、ランボルギーニ、VSR、そしてinCELL Garage、OPPOといったスポンサーの皆様に感謝しております」

「過去には富士24時間に参戦していたこともあって、国内でもしっかりと準備した上で挑みました。チームは24時間初挑戦でしたが、監督は現役時代に24時間レースの経験も豊富で、チームもできる限りのサポートをしてくれたこともあり、非常に快適に挑戦することができました」

「ただ、予選一発のセットアップ作りや、決勝中のクルマの異常に早めに気付くといった点で、まだまだチームもドライバーも力が及ばないところがあったと感じています。決勝のペースが悪くなかっただけに、悔しいです」

「この素晴らしいレースへの挑戦を1回で終わるつもりはありません。今後、毎年挑戦できるように、自分もチームも力をつけていきたいと思います。まずは今シーズン残りのインターナショナルGTオープンで結果を残し、来年のスパ24時間に挑む力をチーム、そしてチームメイトとともにつけて、成長していきたいと考えております」

「今大会では今まで以上にたくさんの皆様からたくさんのご声援を頂きました。本当に、ありがとうございました。もっと、もっといいレースをお見せできるように頑張りますので、引き続きよろしくお願い申し上げます」

スパ24時間に初めて挑んだ根本悠生(ヴィンツェンツォ・ソスピリ・レーシング/VSR)
スパ24時間に初めて挑んだ根本悠生(ヴィンツェンツォ・ソスピリ・レーシング/VSR)
根本悠生(VSR)とベルトラン・バゲット(オレンジ1・FFFレーシングチーム)のランボルギーニ対決
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