レースを愛してやまないファンの方々へ
autosport web Premiumが登場。

詳細を見る

ル・マン/WEC ニュース

投稿日: 2022.11.03 12:32
更新日: 2022.11.03 12:33

『F1参入、脱プロト』でドライバー流出が止まらないアウディスポーツ「チャンスを奪うわけにはいかなかった」

レースを愛してやまないファンの方々へ
autosport web Premiumが登場。

詳細を見る


ル・マン/WEC | 『F1参入、脱プロト』でドライバー流出が止まらないアウディスポーツ「チャンスを奪うわけにはいかなかった」

 2026年からのF1世界選手権への参入、それを受けたLMDh開発プログラムの中止により、相次いでワークスドライバーが流失しているアウディスポーツ。ヨーロッパのパドックではさまざまな噂がささやかれる中、アウディスポーツのカスタマーレーシング代表、クリストファー・ラインケに、今季の活動や噂の真意について直撃した。

■量産終了のR8、『Evo3』アップデートはあり得る

──今季のヨーロッパのアウディスポーツの活躍について、感想をお聞かせください。

ラインケ:今年のGT3、GT4、GT2やTCRといったカスタマースポーツは総合的にみると世界中で非常によい活躍を見せ、数々のポディウムを飾ることができた。特に第50回記念大会のニュルブルクリンク24時間レースでの優勝は、非常に印象深いものがあった。

 スパ24時間レースでは思ったような結果ではなく、失望した部分も多かったのは否めない。また、とくにDTM(ドイツツーリングカー選手権)では、ホッケンハイムの最終戦まで複数名のドライバーが高いレベルでチャンピオンタイトルを争うという、最後の最後まで緊張感があふれ、息を飲む展開となったことはとても良かったと思う。

──特にニュル24時間レースでは、レース序盤でマンタイレーシングのポルシェを駆るローレンス(兄)とフェニックスレーシングのアウディを駆るドリス(弟)のファントール兄弟による息を飲むバトルが繰り広げられ、かなりセンセーショナルな印象を残しましたが、アウディスポーツとしてはどうあのバトルを見ていましたか?

ラインケ:ローレンスはポルシェのワークスドライバーであるが、アウディで育ったドライバーであると同時に弟のドリスもアウディでプロとしてのキャリアが始まっただけに、彼らふたりの対決は特別な感慨でアウディとしては見守っていた。

 また、アウディとポルシェはVWグループの企業同士でもあり、実の兄弟というなんとも特別な戦いで、兄がクラッシュするという悲劇の結末となってしまった。彼に怪我がなかったのだけが幸いだ。日頃は仲が良い兄弟の対決だけに、彼らふたりにしか分からない心情があっただろうと思われるし、非常にエモーショナルなバトルだった。

──現在のGT3、GT4、GT2のベース車両となっているR8ですが、量販車の製造は今後終了することがすでに発表されています。今後、これらのカスタマーレーシング用のマシンのベースモデルが変更される可能性はありますか?

ラインケ:R8の量販車は遅かれ早かれライフサイクルが終了する。その日が訪れることを見越して、アウディとしては当然ながら以前から準備をしている。ただ、現時点ではR8はまだホモロゲーションが有効であり、すぐに新モデルが登場することはない。

 GT3、GT4、GT2はすべてR8がベースモデルとなり、アウディのスーパースポーツカーを象徴しているとおり、世界中のレースで非常に成功を収めている。このサクセスストーリーはR8とともにまだまだ続く。Evo3という形でアップデートする可能性もあり得る。

──それではR8の後継モデルとして、RS5がベースとなるGT3等の車両が出ることはない、ということでしょうか。DTMのクラス1の時のようにRS5をベース車両としてレーシングカーを作ることは不可能ではないと思いますが。

ラインケ:私の考えではそのオプションもあり得ると思うが、理想を言うなら、アウディが次期アイコンとなるようなスーパースポーツカーを作り、それをベースにカスタマー用のレーシングカーの製造と販売を行う、ということだろう。もしも今後そのようなモデルが出なかった場合は、たとえばBMWのM4のようにスポーツクーペをベースにするという方法も議題に上げる必要が出てくる可能性もある。

アウディスポーツでカスタマー・モータースポーツを担当するクリス・ラインケ(中央)。右はチームWRT代表のヴァンサン・ボッセ
アウディスポーツでカスタマー・モータースポーツを担当するクリス・ラインケ(中央)。右はチームWRT代表のヴァンサン・ボッセ

■次のページへ:「才能ある若手」をラインアップに加える可能性も


関連のニュース