レースを愛してやまないファンの方々へ
autosport web Premiumが登場。

詳細を見る

ル・マン/WEC ニュース

投稿日: 2023.05.16 21:03

佐藤万璃音 2023ヨーロピアン・ル・マン・シリーズ第1戦バルセロナ レースレポート

レースを愛してやまないファンの方々へ
autosport web Premiumが登場。

詳細を見る


ル・マン/WEC | 佐藤万璃音 2023ヨーロピアン・ル・マン・シリーズ第1戦バルセロナ レースレポート

佐藤万璃音
PRESS RELEASE
2023年5月12日

ヨーロピアン・ル・マン・シリーズ開幕戦、LMP2デビューで発揮した佐藤万璃音の速さと安定感。

各位

 ヨーロッパのミドルフォーミュラで日本人として17年ぶりにチャンピオンに輝いた佐藤万璃音(横浜市出身・モナコ在住・23歳)は、本年度、レーシングドライバーとしての将来を見据えた新たな挑戦の場として、ヨーロピアン・ル・マン・シリーズにユナイテッド・オートスポーツからフル参戦。自身にとって初の耐久レースの世界へと足を踏み出しました。

 佐藤万璃音にとって初体験となるLMP2車両での初テストは、バルセロナで実施されました。走行開始直後からそのスピードはLMP2経験者のチームメイトと同等以上で、スムーズにチームへと溶け込むことができました。

 続く2回目のテストは雨のスパ・フランコルシャン。ウェット路面でのLMP2マシンの挙動の違いを確認でき、開幕へ向けての価値あるテストとなりました。

 開幕戦前のプロローグ・セッションは、レースウィークの火曜日から走行が開始され、十分なテスト距離を走って4月23日の開幕戦、「バルセロナ4時間レース」を迎えることとなりました。

 予選でのタイムアタッカーはチームメイトが務め、佐藤万璃音が駆る22号車は予選4番手を獲得。チームの指示によってスタートドライバーは、佐藤万璃音が務めることとなりました。

 スタートで1台をパスしてさらに第1コーナーでイン側からもう1台をオーバーテイクする勢いの22号車でしたが、耐久レースゆえにリスクを負わず様子を見る冷静さを見せた佐藤万璃音は3番手でコントロールラインを通過。しかし1周目に後方のLMP3車両とGT3車両による接触事故が2か所で発生し、セーフティカー(SC)が導入されます。

 そのアクシデントで発生したデブリを踏んだのか、22号車はリヤタイヤがパンクしてしまいます。しかし、SC中のピットインはペナルティの対象となるため、チームはステイアウトを無線で指示。佐藤万璃音にとって、永遠にも感じられる長い1周でしたが、最後は左リヤタイヤの接地面がすべて外れてサイドウォールだけの状態になり、そのままピットロードへと飛び込みます。

 その微妙なタイミングでSCが解除され、タイヤ交換を済ませた佐藤万璃音はグリーンライト共にレースに復帰。トップが第1コーナーを通過するタイミングで自身がセクター1を通過するという、約2/ 3周遅れでの再スタートです。

 しかし、そこから22号車は強烈な追い上げを見せ、ポジションをリカバー。最高尾からGT3やLMP3の集団を次々とパスし続け、LMP2クラスのトップを目指してひた走りました。ダブルスティントを終えて2番手まで浮上したところでドライバー交代。チームメイトのオリバー・ジャービス選手に交代します。

 不運にもその後、左リヤのブレーキ温度が異常に高まり緊急ピットイン。そしてさらにフィル・ハンソン選手のドライブ中に原因不明のマシントラブルでバランスが不安定となり、ハイペースを維持するのが厳しくなる中、なんとか4時間を走り切ってチェッカーを受けました。佐藤万璃音が駆る22号車は最終的に10位完走という結果を残しました。

■佐藤万璃音のコメント
「初めてのLMP2は、タイム的にはF2より遅いのですが、ダウンフォースや全体的なバランスから体感する速さは、F2よりもレーシングカー的でした。
自分にとってはアブダビGPのF2からしばらくレーシングカーに乗っていなかったのですが、最初のテストの走り出しから十分なスピードもあり、LMP2のベテランたちとも遜色ないタイムで走れたので、一切の不安もなくシリーズ開幕戦に臨めました。
一番の大きな違いは、3人のドライバーが交代しながら乗るので、自分が最初に乗った時のフィーリングと、次にステアリングを任された時のマシンのフィーリングが全く異なることですね。路面コンディションも違えば、タイヤやブレーキの状態も違うので、毎回、まるで別の車のようなフィーリングです。乗ってしまえばそのアジャストは、経験がカバーしてくれるので速さには問題はないのですが、車はいつも毎回乗るたび、何もかもが違うといった印象でした。
決勝レースに関しては、自分が遅い車の集団を抜いていく経験が無いので、チームがクリーンな状態でレースができるスタートドライバーを任せてくれたのだと認識しています。無理すれば第1コーナーまでに2番手まで上がれましたが、冷静に状況を判断して引きました。それでも十分トップを狙えるスピードはあったし、そのつもりでしたが、1周目にセーフティカーが出ている際にデブリを踏んでタイヤがパンクしたようです。前のマシンにぴったりついて走行していたので、避けようもありませんでした。
無線でステイアウトが指示されて、かなりタイヤを気遣って走ったのですが、最後はサイドウォールだけになってしまい、本当に長い1周でした。
タイヤ交換の際に多少給油できていたので、自分はダブルスティントといってもかなり長く走ることになったのですが、パンクのせいで最後尾からとはいえ、燃費やタイヤの摩耗をコントロールしながら、周囲に対して十分な速さを見せることができたと思います。2/3周遅れからの追い上げではありましたが、ペースは誰よりも速かったですし、勝負権は失っていませんでした。トラブルさえなければ、オーバーオールで表彰台は狙えたポジションだったと思います。
チームはレース終了後にそのままWECに移動してしまったため、ハンソン選手が抱えたトラブルの原因はまだ解明されていませんが、次のポールリカールまでにはしっかりと原因を解明して、勝利を目指して戦いたいと思います」


関連のニュース