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投稿日: 2019.04.26 13:06
更新日: 2019.04.26 15:13

開幕戦鈴鹿で光ったふたりのルーキー。新時代スーパーフォーミュラを牽引するホンダの牧野任祐とトヨタの坪井翔

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スーパーフォーミュラ | 開幕戦鈴鹿で光ったふたりのルーキー。新時代スーパーフォーミュラを牽引するホンダの牧野任祐とトヨタの坪井翔

 そして迎えた日曜日の決勝レース。SCが4回も出動する荒れたレースとなったが、この決勝レースでも彼らの明暗は別れたのだった。ポールポジションからスタートした牧野は2番手のパロウに付かれながらもトップの座を維持していたが、最終的にはタイヤ交換後に右リヤタイヤのホイールナットが外れるトラブルに見舞われリタイア。映像ではヘルメット姿で頭を抱え、その後はリタイヤした車両を載せた積載車に乗った牧野が車内で天を仰ぎ、うなだれる姿が映し出され、悔しさが伺えた。

「なんて言葉にしたら良いのかわからないですけど、すごく悔しいレースになりました。ピットアウトした時には異変はなかったのですが、最後のSC明けにリヤタイヤが不安定でおかしいなとは思っていました。クラッシュする前はもう明らかに挙動がおかしかったので、どうすることもできなかったです」とレースを振り返る牧野。

「SCが入って、正直僕らの(ソフトタイヤスタートの)戦略的にはよくない方向に行っていました。走り始めてソフトタイヤが保つというのもなんとなくわかっていましたし、途中で(山本)尚貴(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)さんに追いついたりもできたので、このままいけば最後にチャンスがくるかなと思っていたんですけど、こんな結果になってしまって残念です」

 一方、予選18番手からスタートした坪井は、1回目のSCのタイミングでチームメイトの石浦宏明と同時にピット、いわゆるダブルピットインを行った。ただ、先にピットインした石浦のタイヤ交換を待たなければならず、ここでタイムロスがあったものの、終わってみればルーキー勢のなかで最上位となる5位に入賞した。

「スタートはそれほど悪くなくて、1台抜くことができました。その後はミディアムタイヤだとペースが上がらなくて苦しい展開だったんですけど、早々にSCが入ったのでそのタイミングでピットに入りました。ただ石浦さんもピットに入ったので、後ろで待っている間にロスした部分はありますが、結果的には入ってよかったです」

「まさか(その後に交換した)ソフトタイヤがあそこまで保つとは思いませんでした。混乱を避けながら、なんとか自力でオーバーテイクもできました」

「終盤は国本雄資(KONDO RACING)選手に追いつかれて、最後の5周くらいはきつかったです。デビュー戦としては、予選は残念でしたが、18番手から5位というのはそうできることではないので、決勝に関しては合格点をあげたいです。あとは細かいところが足りないので、そこを詰めていければトップ争いが見えてくると思います」と坪井。

 スーパーフォーミュラで初めてのフルディスタンスのレースを走行して、体力的にはどうだったのだろう。

「SCも入りましたが、この疲れる43周を走り切ることができたので、フィジカル的にもそれほど問題ないと認識できました。オフの間にきちんとトレーニングしてきた成果が出たなと感じられたので、やってきたことは間違ってなかったです」

 スーパーフォーミュラのデビュー戦は、牧野と坪井にとって浮き沈みの激しいレースとなったようだ。だが週末を通した結果を見ると、それぞれの持つポテンシャルを完全に発揮できなかったセッションがあったことは事実だ。

 土曜日の予選後には、JMS P.MU/CERUMO・INGINGを率いる立川裕路監督が坪井について、「予選は実力を出しきる前に終わりました。本人は(クラッシュを)気にしていましたが、ウチは怒ったりするようなチームではないので、『もっといけ。気にするな』と声をかけました。僕もスーパーGTに乗っているので、同じような状況になったら怒られるのは嫌ですし(苦笑)」と立川監督&セルモらしいコメントで、チーム全体で坪井をサポートしている様子がうかがえた。

 2台揃ってリタイアに終わったTCS NAKAJIMA RACING、決勝後には中嶋悟総監督が「チームのミスやら残念なトラブルで2台ともがレースを終えてしまいました。ドライバーは素晴らしいレースをしていたのに、迷惑をかけてしまい本当に申し訳ないことをしました」とコメントを出していたことからも、今回の予選とレースが真の実力だけを反映したものではないということも明らかだ。

 ホンダとトヨタを代表する期待のルーキドライバーである牧野と坪井。5月に行われる第2戦オートポリスでは、両者がミスやトラブルのない週末を過ごすことができれば当然、今回以上の成績を残す可能性も十分にある。レース終盤まで優勝を争うのはいつのタイミングになるのか。そして、今年は牧野と坪井、さらにはパロウなども含めた新人7人による『ルーキー・オブ・ザ・イヤー』の争いも例年になく盛り上がりを見せていくことだろう。

牧野任祐(TCS NAKAJIMA RACING)
牧野任祐(TCS NAKAJIMA RACING)
スーパーフォーミュラ第1戦鈴鹿 坪井翔(JMS P.MU/CERUMO・INGING)
スーパーフォーミュラ第1戦鈴鹿 坪井翔(JMS P.MU/CERUMO・INGING)
坪井翔(JMS P.MU/CERUMO・INGING)
坪井翔(JMS P.MU/CERUMO・INGING)


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