──近年のスーパーフォーミュラは、1000分の1秒差で予選Q1で敗退するか、Q3まで進んでポールポジションを獲れるのかが分かれるシビアな戦いになっていますね。
山チェカ：いまのスーパーフォーミュラはすごく難しいです。たとえばフリー走行で調子が良くても翌日の予選では全然グリップしないこともよくあります。
次チェカ：僕が走っていたころは調子がいいときは少し車高をいじるとか、ダンパーのストロークを調整するとか、ウイングを少し変えるとかするだけでよかった。でもいまのクルマはすごくシビア。たぶん空力が良すぎるというのも影響していると思う。風向きでドライバーの感触が全然変わることもある。「朝は良かったのに午後はよくない！」と言われて近くに掲げられている旗を見ると「風向きがこっちだからか」と。本当にシビアだから、追い抜きも難しいよね。
山チェカ：全然抜けないですね。あとはTCRJが走行した後だと路面が変わって全然グリップしないとか、いろいろな要素があると思います。毎戦、フリー走行で調子が良くてもQ1で落ちるかもしれないという気持ちでいる。本当ならQ1では、Q2、Q3に向けた確認とかもしてみたいけど、そんな余裕はないですね。
──山チェカは予選前と決勝スタート直前はどちらのほうが緊張しますか？
山チェカ：僕はどちらもあまり緊張しないですね。とくにスーパーフォーミュラは自分の予想がまったく当たらないというか、自分が頑張っても無理なときもあるし、その逆で自分としてはうまくいかないと思っていてもクルマが速いというときもある。
次チェカ：一番緊張するのは前日の夜だよね。
山チェカ：そう！ 明日に向けていろいろと考えちゃいますね。
──最近は直接的なバトルよりも、アンダーカットやオーバーカットなどを考えた「目の前にいない相手との戦い」という場面が多いように感じます。
山チェカ：いまはそれしかできないですね。集団に入ると自分のペースで走れないので、前に出ようと思ったらピット戦略しかないですね。
──相手が目の前にいない戦いというのは、気持ち的に難しくはないですか？
山チェカ：そんなことはないですよ。争っている相手とタイム差を聞けばモチベーションも上がります。直接争うのもいいですが、こういう戦い方もいいですよね。
──今年は冬場にレースを開催するということで、鈴鹿大会からタイヤウォーマーの使用が認められました。
山チェカ：タイヤウォーマーがあると全然違います。特にアウトラップなどはコールドタイヤでは危ないので、助かりますね。
次チェカ：ドライバーの安全面を考えたら絶対に必要なものだよね。タイヤは皮むきが終わるまではプラスチックみたいにツルッツル。レース中、アウトラップで頑張ろうと思ったら危険なシーンも出てくる。ただ、使用するのであればそのルールはきちんと明確にして、管理できるようにしてほしいな。まだルールとして曖昧なところがあり、ドライバーにとって勝負できないところで有利不利が出てきて、結局ドライバーが結果を出せないとなるのが一番良くないからね。
山チェカ：タイヤウォーマーの設定温度とかでも結構パフォーマンスに違いが出ますしね。WECではブランケットタイプのものを使っていましたけど、5℃ぐらいの違いで全然変わってくる。
次チェカ：今まではアウトラップのことを考えると相手が入った翌周にピットに入ったほうがいいけど、今度は（タイヤが温まっている分）アウトラップでも稼げるようになるから今までとは違う作戦になってくる可能性があるよね。アンダーカット目的で、みんなが10周目に入ってきたりとか。
山チェカ：でもそうなるとみんな一緒だから、何にも起きなくなっちゃいますね（苦笑）。
──では最後に、富士最終戦にむけた意気込みをお願いします。
山チェカ：今年はまだ勝てていないので、勝ちを目指したいです。ホンダエンジン勢が速そうなので厳しいですが、勝ちたいです！ 1年に1度フォーミュラで勝つことは必要なことだと思いますしね。
次チェカ：第5戦で国本選手が表彰台に上がったので、最終戦では可夢偉選手に期待します。ここまでチームのミスもあったりして、独走しても勝てないレースがありましたから。とにかく1度勝てれば波に乗れるはず。そのためもぜひ最終戦では優勝してほしいです。国本選手も第5戦の勢いを保って、お互いに切磋琢磨してくれたらいいですね。
