■世界の強豪と戦い、実感した差
そんな織戸とチームメイトの平峰一貴は、レース序盤戦で優勝したアウディ勢と互角以上の勝負を展開。スーパーGTチームの実力を存分に発揮し、織戸も「楽しいね!」とレース途中までは笑顔をみせていた。平峰も予選後は「彼らがものすごく速いのかと思いきや、全然勝負できる。これは日本だけで戦っているのではない魅力ですね」と手ごたえを得ていた。
レース後、ふたたび平峰に話を聞くと「S耐で9時間は体験しているのでそれほど長いとは思いませんが、S耐はある程度セーブして走るのに対して、こちらは体力を使いますね。良い経験になりました」と改めて感想を語った。
「序盤は良かったんですが、雨が降ってから海外勢との差がついてしまいました。日本ではダメだけど、こっちではやっていいことが少しずつあったんです。ブリーフィングではダメとは言われていましたが、ここではエスケープゾーンをたくさん使ってもペナルティも出ないですし、そこで1〜2秒ずつ差がついていたと思います」
「ドライでは僕たちは海外勢に負けていなかったと思いますが、ウエットとの差と、チームの力の差が少しずつあったと思います。ピットストップでもわずかに遅かったです。僕たちももっと力をつけなければいけないと、本当にいい勉強になりました」
このウエット時のヨーロッパのドライバーたちの走りは、他の日本人ドライバーも認めていた。「海外勢が『12時間もあるのにそんな走りをするの!?』というレースをするのが勉強になりました。1周も無駄にしないし、四輪脱輪なんか関係ない!みたいな」というのは、埼玉トヨペット・グリーンブレイブの密山祥吾。
「最後に僕もやってみたんですが、グリップするんですよ。コースの外側が。(アール)バンバーとか、(ローレンス)バンスールとか、一緒に走れて良かったです。できれば同じスペックのクルマで戦ってみたかったですね」
実際、走行初日の走り出しから、コースサイドで写真を撮っていても、ヨーロッパのワークス勢は「なぜあんな無駄な走り方をするのだろう?」というほどコースを大きくはみ出しながら走っていた。一方で、日本勢はきっちりと白線を守るスムーズなドライブが見られていた。このあたりの週末の組み立て方も、大きな文化の違いを感じるレースとなった。