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スーパーGT ニュース

投稿日: 2022.10.12 18:35

apr GR SPORT PRIUS GT 2022スーパーGT第7戦オートポリス レースレポート

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スーパーGT | apr GR SPORT PRIUS GT 2022スーパーGT第7戦オートポリス レースレポート

2022 AUTOBACS SUPER GT Round7 AUTOPOLIS GT300km RACE
開催地:オートポリス(大分県)/4.674km
10月1日(予選)天候:晴れコースコンディション:ドライ観客数:6,000人
10月2日(決勝)天候:晴れコースコンディション:ドライ観客数:11,000人

現状の中でポテンシャルは
すべて引き出されるも、それでもなお……

 激戦続くスーパーGTは、残すところ2戦。今シーズン初めて本州を離れ、九州のオートポリスでシリーズ第7戦「FAV HOTEL AUTOPOLIS GT300km RACE」が開催された。2台体制で挑むaprが、コンビ結成4年目の嵯峨宏紀選手と中山友貴選手に託すのは、お馴染みのTOYOTA GR SPORT PRIUS PHV(ZVW52)「apr GR SPORT PRIUS GT」。タイヤは引き続き信頼と実績のブリヂストンを使用する。

 前回のSUGOでは予選16番手ながら、サクセスウェイトを積まずにいることを武器として、じわりじわりと順位を上げてくることが期待された。しかし、決勝では気まぐれな天候に悩まされ、かつ序盤は無線の不調もあって、ピットに状況が伝わらず。その後、無線は回復するが、天候変化への接触的な対応が裏目に出てしまい、17位という結果に甘んじてしまう。それでも一時は8番手を走り、これまで積み重ねてきたメイク&トライが、少なからず活かされてはいた。今回の舞台、オートポリスは昨年、優勝を飾ったサーキットではある。

 しかし、今年はハイブリッド車両に対するBoPがあまりに厳しく、残念ながら「再現」には至らないだろう。とはいえ、黙って手をこまねいているはずもなく、あの手、この手を尽くしていく。

公式練習10月1日(土)9:20〜11:05

 オートポリスは阿蘇山中に位置し、緑に囲まれる風光明媚なサーキットとして知られている。その上、青空の下で爽やかなコンディションでの走行開始となった。昨年は優勝を飾ったサーキットとあって、思い出にも浸りたいところだが、そんなことがまったく許されないのが現状ではある。

 公式練習開始時の気温が21度で、路面温度は28度。のちにこれが徐々に高まっていく。今回も最初に「apr GR SPORT PRIUS GT」をドライブしたのは嵯峨選手。コースインすると、そのまま周回を重ね、計測3周目には1分46秒034を記して、その時点での8番手につける。しかし、その状態で満足できないのは、普段に増して頻繁にピットに入れられたことからも明らかだ。ありとあらゆる部分に手が加えられ、最適化が図られていく。

 約50分経過したところからは、中山選手が走行する番。嵯峨選手が走っていた時よりも短い周で、時には1周せず戻ってきたあたり、苦境を強いられている中でも、マシンをわずかでも良くしようという気概が十分に感じられた。ただし、中山選手のベストタイムは1分48秒340に留まった。

 ラスト10分の専有走行は、再び嵯峨選手が乗り込んで、1分47秒795をマーク。結果、最初に記したタイムがセッションベストとなり、公式練習の順位は17番手だった。

 この後、行われたFCY(フルコースイエロー)テストも嵯峨選手が担当し、再び調整が加えられたこともあって、ここではほぼ走れずじまいだったが、オートポリスで久々に実施されたサーキットサファリでは一度もピットに戻らず、初めてロングがかけられる。バスがパドックに戻った最後の1周で、嵯峨選手は1分48秒951をマークしていた。
 

公式予選Q1 10月1日(土)15:00〜15:10

 予選Q1をB組で臨んだ「apr GR SPORT PRIUS GT」は、最初のアタックを今回も嵯峨選手が担当した。気温は25度、路面温度は42度と、このあたりは想定したとおりのレンジである。アタックが開始されたのは計測2周目から公式練習のタイムを1秒以上上回る、

 1分44秒675を記録して、その時点での7番手につけたが、Q1突破にはさらに短縮しておきたい。もう1周、コースを激しく攻め込んだ嵯峨選手だったが、1分45秒196で逆にタイムダウン。その間にタイムを縮めていたチームがいたことから10番手に後退しQ2に駒を進めることは今回もできなかった。

嵯峨宏紀選手

「もちろんコンディションの違いもあったでしょうが、A組だったら通っていたタイムでしたが、全体的なタイムはB組の方がレベルが高かったこともあって、コンマ5秒及ばず弾かれてしまいました。自分のアタック自体は特にミスなく、そつなくまとめられたとは思うのですが。やはり去年と比べると、パワーが無い分、去年よりコーナーを速くなってますが、残念ながらQ1を通れませんでした。悔しいですが、これが我々の今年の限界だと思いますし、だからといって諦めることなく、決勝に向けてまたチームと相談します」

中山友貴選手

「公式練習の印象では、まだ足りないというか、車として次元を上げたくても頭打ちしているのが現状。自分たちが持っているものを出し切れるように、今はその中で組み合わせを考えているところですし、分析も続けています。本当にかなり難しいところで探っていますが、少しでもいいペースで走れるように、頑張りたいと思います」

金曽裕人監督

「コーナーリングボトムスピードは去年より上がっていて、ドライバーも頑張っているのに、立ち上がりの加速が鈍いので、これ以上もう何もできませんというのが現状です。ここに来て、やっとセットアップも進み、去年の予選よりも加速領域以外は速くなっています。唯一のハイブリッドシステムがどういうものかを理解していただいて、規則を合わせてもらえない以上、これが限界かと思います。ドライバーもTEAMも関係者の皆様も本当によくやってくれています」

2022スーパーGT第7戦オートポリス apr GR SPORT PRIUS GT(嵯峨宏紀/中山友貴)
2022スーパーGT第7戦オートポリス apr GR SPORT PRIUS GT(嵯峨宏紀/中山友貴)

決勝レース(65周)10月2日(日)13:35〜

 日曜日のオートポリスも、天候に恵まれて青空の下での走行となった。決勝に先駆けて行われたウォームアップは、今回のスタート担当である中山選手から走行を開始。始まって間もなく赤旗中断があったが、再開後に中山選手は1分47秒890をマークする。その後、決勝で用いるタイヤの皮剥きなど行うため、2度ピットに戻って最後は嵯峨選手が走行。

 計測は1周だけで1分51秒160を記すに留まったが、ドライバーふたりで最終チェックを済ませることはできた。なお、ウォームアップの中断で、この後の進行はすべて5分遅れ。フォーメイションラップは13時35分からの開始となった。マシンがグリッドに並べられる間の気温は26度、路面温度は46度にまで達しており、これはレースウィークで最高。ただし、タイヤのレンジは外していない。

 19番手からスタートを切った「apr GR SPORT PRIUS GT」は、ポジションキープからレースを開始。まずは前を行く車両から大きく遅れることなく、中山選手は周回を重ねていく。そんな中、15周目の1コーナーで追突された車両が、コース脇でストップ。これで18番手に上がるが、あわよくばあと数周先だったら! 規定でドライバー交代を許される1/3の周回を超えていれば、FCYが提示されたこともあり、直前でピットに入れてロスを最小限にできたからだ。

 FCYは1周程度、3分ほどで解除され、それから3周ほどすると、実際にピットに戻ってくる車両も現れる。「apr GR SPORT PRIUS GT」も入れるべきか、それともまだか、判断の分かれるところだったが、中山選手のペースも悪くなかったことから、27周目にドライバー交代を行うことに。嵯峨選手にバトンタッチし、レースを折り返す。

 全車ドライバー交代を済ませた段階で17番手。前を行く集団には食らいついていた。が、セクター3では追いつくのだが、加速区間で引き離される状態が続く。その後、先行する車両のトラブルがあって、ひとつ順位を上げ、さらに同じようにストレートで苦しむGT300車両を55周目に抜いて15番手に浮上。だが、これが限界だった。昨年、優勝を飾って相性の良かったはずのオートポリスでも、今年は苦戦を免れず15位に終わった。最終戦は11月5~6日にモビリティリゾートもてぎで開催される。悔いを残さぬ戦いを期待したい。

嵯峨宏紀選手

「僕に代わってからの15周ぐらいは、そこそこのペースで走れていましたが、集団の中だったので決め手が全くなく、見せ場を作れなかったです。クリーンな位置で走れた前方集団とは次元が違っていて、去年とはもう、正反対のレースになってしまいました。別にドライビングを大きく変えたわけではないですし、それなりにしっかりと自分の仕事はしたと思いますが、今の僕たちの持っているマシンパッケージでは、ここが限界なのかなという気がします。なんとか前の車を抜きたかったけれど、重さも厳しいし、馬も全然足りませんでした。セクター3の上り坂でブロックされちゃうと、もう無理で……。インから何度か入ろうとしたんですが、なかなか実らずという状況で、厳しかったですね」

中山友貴選手

「いろんなところを、基本的な部分までコストもかけ見直してきたので、ある程度、今の規則でもスピードは出てきていると思いますが、オートポリスでは予選上位にいないと勝負権はないのを、改めて痛感しました。特にGTA-GT300車両はコーナーいくらを速く走っても、直線が厳しいので決勝もかなり苦しい。まさにそういう一日で、かなり苦戦したなという印象でした。予選の一発を狙って改善させないといけないと思いますが、車の限界を引き上げるのは、現在のレギュレーションではもう難しいのかもしれません。それでもやるしかないので、無理は承知でも頑張って最終戦に臨みます」

金曽裕人監督

「ブリヂストンタイヤもすごく良かったですし、ドライバーも慣れていますし、そのパフォーマンスは非常に高かったですが、目一杯でした。ハイブリッドの集大成ぐらいのところまでは、来ていると思います。ポテンシャルを過去に経験がないほど引き出しましたが、解析的には、これが限界値です。去年の優勝時よりボトムスピードが良くなっているにも関わらず、まったく勝負にならないところに、気持ちも落ち込みます。ドライバーも、チームも全部達し切ったというのが正直なところなのに今回も期待に応えられず、関係者の皆様、ファンの皆様には、本当に申し訳ない気持ちでいっぱいです。でも諦めず、前向きに最終戦も、我々ができるベストを尽くし有終の美を飾りたいと思います」

2022スーパーGT第7戦オートポリス apr GR SPORT PRIUS GT(嵯峨宏紀/中山友貴)
2022スーパーGT第7戦オートポリス apr GR SPORT PRIUS GT(嵯峨宏紀/中山友貴)


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