レースを愛してやまないファンの方々へ
autosport web Premiumが登場。

詳細を見る

国内レース他 ニュース [PR]

投稿日: 2023.04.20 12:00

さらなる高みへ。ネクセンタイヤが4MINUTES Drago CORSEと2023年TGR GR86/BRZ Cupに挑む

レースを愛してやまないファンの方々へ
autosport web Premiumが登場。

詳細を見る


国内レース他 | さらなる高みへ。ネクセンタイヤが4MINUTES Drago CORSEと2023年TGR GR86/BRZ Cupに挑む

 複数のタイヤメーカーがしのぎを削るレースシリーズとして、スーパーGTに勝るとも劣らない戦いが展開されているのが、TOYOTA GAZOO Racing GR86/BRZ Cupのプロフェッショナルシリーズだ。プロドライバーが駆る言い訳できない過酷な環境は、そのタイヤのポテンシャルが如実に反映される。そんなシリーズに参戦し、日本の2メーカーと戦っているのがネクセンタイヤ。2022年も毎戦のようにトップ10を争う存在となっていたが、2023年に向けて体制を一新。さらなる高みを狙っていくことになった。

 2023年、ネクセンN-FERA Sport Rタイヤを履きシリーズに挑むのは、スーパーGTなどさまざまなシリーズに挑戦してきたDrago CORSEとそのマシンメンテナンス、エンジニアリングを担当してきた4MINUTESだ。日本のレースのトップシーンで長年戦ってきた道上龍(Drago CORSE)とチョン・ヨンフン(4MINUTES)が率いるコラボチームだ。そして、フォーミュラでも速さをみせてきた三宅淳詞をドライバーとして起用。スーパーGTでもさまざまなタイヤを作り上げてきた道上龍が、開発担当テストドライバーを務めるという充実の体制となった。

 昨今、他の多くのタイヤメーカーはワンメイクシリーズに供給することがほとんど。だがネクセンタイヤはなぜ、TGR GR86/BRZ Cupに挑戦するのだろうか。そこには、ネクセンタイヤの歴史とグローバルな狙いがある。創業80年を超えるグローバルタイヤメーカーだが、『ネクセンタイヤ』という社名に変更されたのは2000年から。近年でこそ、ポルシェやアウディ、BMWなどプレミアムカーメーカーのOEMタイヤに選ばれているほか、北米で顧客満足度4位(J.D.POWER社:2016、2017年度評価)となるなど、その知名度を増しているが、新車装着タイヤに選ばれることに加え、やはり必要なのがモータースポーツでの実績だという。

「我々がモータースポーツに挑戦する大きな理由はふたつあります。まずネクセンタイヤは他社と比べるとブランドの歴史が短く、そのなかでモータースポーツ活動を通じて、“ライジングスター”になりたいと思っているのです」と語るのは、ネクセンタイヤのセントラルR&Dセンターの本部長を務め、このプロジェクトの指揮を執るキム・ジョンミョン氏。

「ネクセンタイヤとしては、実は『ブランドイメージをどう向上させれば良いのか』という悩みがあります。プレミアムカーメーカーのOEMタイヤを供給しブランドイメージは向上しましたが、さらにモータースポーツを通じ、ネクセンタイヤの優秀な技術力を向上させたいと思っています」

4MINUTES Drago CORSEからTGR GR86/BRZ Cupに挑戦する三宅淳詞と開発テストドライバーの道上龍。
4MINUTES Drago CORSEからTGR GR86/BRZ Cupに挑戦する三宅淳詞と開発テストドライバーの道上龍。
エンジニアたちとともにタイヤをチェックするキム・ジョンミョン本部長。
エンジニアたちとともにタイヤをチェックするキム・ジョンミョン本部長。
TGR GR86/BRZ Cupに参戦する4MINUTES Drago CORSEのGR86。
TGR GR86/BRZ Cupに参戦する4MINUTES Drago CORSEのGR86。

■日本のレースに挑戦する意義

 ネクセンタイヤはプレミアムカーメーカーへのOEM供給、イングランド・プレミアリーグのマンチェスター・シティでのスポンサードなどでブランドの知名度は上がったが、その技術力をしっかりと示したい。さらに、ヨーロッパでヘッドハンティングするのではなく、自社の若手エンジニアを育てたいという思いがあった。そこで選んだのがこの挑戦だ。

「ネクセンタイヤの実力を示すためには、世界の大手タイヤメーカー同士がしのぎを削るシリーズが求められますが、今は世界的には非常に少ない。スーパーGTか、このTGR GR86/BRZ Cupしかない。そこで我々は、TGR GR86/BRZ Cupに参戦してネクセンタイヤの技術力を証明しようと考えました」とキム本部長は語る。

 ネクセンタイヤにとって、このシリーズに挑戦するメリットは多い。タイヤ開発の拠点となる韓国のヤンサン工場はプサンの近くで、日本は遠い距離ではない。また韓国内にもスーパーレースというタイヤコンペティションがあるシリーズがあるが、日本ならばグローバルに展開するタイヤメーカー2社と直接戦うことができる。

 こうしてTGR GR86/BRZ Cupに挑戦を開始したネクセンタイヤだが、プロフェッショナルシリーズで年々ポテンシャルを上げ、2021年に初の表彰台、2022年にはポールポジションと表彰台を獲得した。今季はさらなるポテンシャルアップを目指したいというのはシム・ヒュク開発チームリーダー。

「昨年、ドライ路面ではあまり良いパフォーマンスを発揮できませんでしたが、今季は予選で前方のグリッドを獲得し、決勝での上位争いで勝てるようなタイヤを投入したいと思っています」

「TGR GR86/BRZ Cupは大手タイヤメーカーが本気で取り組んでいます。ネクセンタイヤとしてはまだまだ経験が足りませんが、逆に言えばお金では買えないような貴重な経験をさせてもらっています。ネクセンタイヤの強みとしては若手エンジニアが多いのですが、情熱をもって取り組めば表彰台争いをするチャンスがあるのではないかと思っています」

 またコンパウンド開発を手がけるチェ・イムチョルリサーチエンジニアも、TGR GR86/BRZ Cupに参戦することの意義、そして日本のサーキットを戦うことでの難しさを述べた。

「TGR GR86/BRZ Cupは日本の多くのサーキットを使って争われるレースですが、北は北海道の十勝、西は九州のオートポリスと温度条件の幅が非常に広いのが特徴ですね。またウエット、ドライとも1種類のタイヤでこなさなければなりませんし、条件が変わっても良いパフォーマンスを出せるタイヤを作る必要があります」とチェエンジニア。

「構造やパターン、コンパウンドなど、昨年足りなかったところをすべて見直したものを今後用意する予定なので、ぜひ日本のファンの皆さんに期待していただきたいですね。もちろん、気温などはデータの蓄積が大事になるので、その点は地元のメーカーの強みがあります。我々は短期間で追いつかなければならない難しさはありますが、成長の過程も見守って欲しいです」

4MINUTES Drago CORSEのGR86。こちらは三宅淳詞が駆るレースカー。
4MINUTES Drago CORSEのGR86。こちらは三宅淳詞が駆るレースカー。
4MINUTES Drago CORSEのGR86。こちらの個体は開発車両となる。
4MINUTES Drago CORSEのGR86。こちらの個体は開発車両となる。
タイヤを調べるネクセンタイヤの技術者たち。
タイヤを調べるネクセンタイヤの技術者たち。
走行後、道上龍と三宅淳詞からフィードバックを得るネクセンタイヤのエンジニアたち。
走行後、道上龍と三宅淳詞からフィードバックを得るネクセンタイヤのエンジニアたち。

■目指すはスーパーGT挑戦

 今季は4MINUTES Drago CORSEでの参戦とあり、チョン・ヨンフン監督が韓国語でコミュニケーションをとれること、さらに豊富な経験をもつ道上の開発力、速さをもつ三宅と、頼もしいメンバーとともにネクセンタイヤの技術は加速度的に進んでいきそうだ。

「三宅選手は若く、実力があると聞いており非常に楽しみにしています。それに4MINUTES Drago CORSEは一流のレーシングチームでもあります。開発の面でも、レースでも非常に競争力が高いチームとコラボレーションできたので、経験を増やし、良い結果に繋げていきたいと思います」とキム本部長は今シーズンに向けて意気込む。そしてネクセンタイヤにとっては、さらにその先に見据えるものもある。

「我々は、TGR GR86/BRZ Cupに参戦してネクセンタイヤの技術力を証明し、スーパーGTに挑戦したいと思っています」とキム本部長は言う。

「ネクセンタイヤは他のタイヤメーカーに比べたらユニークな面があります。他のメーカーはさまざまな種類(乗用車、トラック・バス、二輪、産業用等)のタイヤを作っていますが、ネクセンは乗用車のみに集中し、特にハイパフォーマンスタイヤに強みを持っています。そういった実力をレースで証明して、日本の皆さんにもアピールしたいのです」

 将来は、すでに挑戦しているニュルブルクリンク耐久シリーズ(NLS)にもさらに力を入れていきたいとするが、キム本部長は「まずは自分たちの現在のポジションを理解し、TGR GR86/BRZ Cupで実力を発揮するのが最優先」とする。

 ネクセンタイヤ本社、そしてヤンサン工場の研究施設も全面的にバックアップするTGR GR86/BRZ Cupの挑戦。このレースで良い結果を出すことは、イコール市販車用タイヤの優秀さにも直結する。新たなパートナーとともに、今シーズン強力な日本メーカーを相手にどんな活躍をみせてくれるのか、そしてスーパーGT参戦に繋がっていくのか、楽しみに見ていきたいところだ。

チョン・ヨンフン監督は当然韓国語と日本語をどちらも操れるので、エンジニアたちとのコミュニケーションもスムーズだ。
チョン・ヨンフン監督は当然韓国語と日本語をどちらも操れるので、エンジニアたちとのコミュニケーションもスムーズだ。

<ドライバーコメント>

4MINUTES Drago CORSEからTGR GR86/BRZ Cupに挑戦する三宅淳詞。
4MINUTES Drago CORSEからTGR GR86/BRZ Cupに挑戦する三宅淳詞。

三宅淳詞

TGR GR86/BRZ Cupは初めての参戦ですが、市販車に近いクルマによるレースではスーパー耐久以来です。ただそのときはオートブリッピングが付いていたので、ヒール・アンド・トゥをするのはSRSにいた頃以来ですね(笑)。
スーパーGTやカートでもタイヤ開発は少しやらせていただいたことはありましたが、テストで乗っただけでもこのTGR GR86/BRZ Cupでタイヤに求められるものはまったく違うと感じました。もちろんタイヤ開発も進めていかなければなりませんが、クルマの良い部分を早く掴まないと、良いタイヤ開発ができないと思っています。
このレースはスーパーGTのチームメイトだった選手からいろんな難しさを聞いていたので、そう簡単ではないと思っていますが、優勝を目指して頑張りたいと思っています。

4MINUTES Drago CORSEで開発テストドライバーを務めることになった道上龍。
4MINUTES Drago CORSEで開発テストドライバーを務めることになった道上龍。

道上龍

今回、4 MINUTES Drago CORSEのプロジェクトに開発担当テストドライバーという立場で関わらせていただくことになりました。長年チョン・ヨンフン監督と一緒にレースをやってきたこともあってか、韓国でも僕の名前を知ってくれている方も多く、一緒にやらせていただくことになりました。
スーパーGTのようなカテゴリーでのタイヤ開発は今までもやってきましたし、いろんなタイヤの特性を理解していますが、こういったTGR GR86/BRZ Raceのような市販車に最も近いカテゴリーのクルマの動きに対しては、正直純粋なレーシングカーの方がもっと分かりやすいですね。
ネクセンさんは自分たちの技術でタイヤを良くしていきたいという意向がありますが、このカテゴリーは一般車に近いですし、ここで結果を出すことは市販車にとってもすごく良いことだと思っています。

<監督コメント>

4MINUTES Drago CORSEのチョン・ヨンフン監督
4MINUTES Drago CORSEのチョン・ヨンフン監督

チョン・ヨンフン

TGR GR86/BRZ Cupに向けたネクセンタイヤの開発を行うにあたり、開発ノウハウが豊富な道上さんと、若くて勢いもあり、冷静な判断力を持つ三宅選手を起用することができ、とても良い環境が整ったと思っています。タイヤメーカーの目標をチームで理解、分析し、より早く達成することができるよう努力して参ります。

4MINUTES Drago CORSE
TOYOTA GAZOO Racing GR86/BRZ Cup参戦体制

クラス:プロフェッショナルシリーズ
車両:トヨタGR86(ZN8)
カーナンバー:340
ドライバー:三宅淳詞
開発テストドライバー:道上龍
タイヤ:ネクセンN-FERA Sport R 215/45R17
監督:チョン・ヨンフン

TGR GR86/BRZ Cup用の N-FERA Sport R(エヌフィラ・スポーツアール)。
TGR GR86/BRZ Cup用の N-FERA Sport R(エヌフィラ・スポーツアール)。
TGR GR86/BRZ Cup用の N-FERA Sport R(エヌフィラ・スポーツアール)を装着する4MINUTES Drago CORSEのクルー。
TGR GR86/BRZ Cup用の N-FERA Sport R(エヌフィラ・スポーツアール)を装着する4MINUTES Drago CORSEのクルー。


関連のニュース