技術ウォッチャーの世良耕太氏が、2017年のF1新車、トロロッソSTR12の気になるポイントを解説。メルセデスと同様に突起なしのノーズが特徴的だが、他にもう一つ共通点が見られる。
—————-
1つだけならまだしも、2つ似ているところが興味深い。トロロッソとメルセデスだ。1つめの共通点はノーズで、2つめはフロントサスペンションアームのアップライト側取り付け点だ。まずはノーズから。
16年型のトロロッソSTR11は多数派の突起型ノーズを採用していたが、17年型のSTR12はメルセデスと同じ突起レスとしてきた(写真:1)。ウイングを支持するステーのスパンを極端に狭くしてきたあたりまでメルセデスとそっくりである(写真:2)。フロントウイングの車両中心側チップ(先端)とウイングステーとの距離を稼ぎたかったのだろう。ボルテックスジェネレーターとして機能するチップ(写真:3)が先割れになっている点に注目したい。
後方に向かって流れる空気にとって、ステーやノーズは邪魔だからこういう構造になったのだろうが、ステーがフロントウイングを支持する部分は「これで大丈夫なのか」と心配になるほど華奢だ。ステーのスパンを狭くすればするほど、100kg単位で発生する荷重を支えるのはつらくなる。走行中にぐらついては本来の性能を発揮できないので、高い剛性を確保する必要がある。
1 2