今年のF1中国GPで勝敗を分けた最大の要因が、1回目のピットストップにあったことは間違いない。バーチャル・セーフティカー(VSC)が出た直後の2周目にピットインしてインターミディエイトからドライへタイヤを交換したセバスチャン・ベッテルとフェラーリが採った作戦は正しかったのだろうか。
ベッテルと同じ2周目にセルジオ・ペレスをピットインさせたフォース・インディアのストラテジストのバーニー・コリンズは、その判断を次のように語る。
「じつはあのときチェコ(ペレスの愛称)をピットインさせたのは、インターからドライにスイッチさせたかったからではなく、チェコのタイヤが(ストロールとの接触によって)パンクしていたからだったの」
どうせパンクしたタイヤを交換するのなら、ここでドライに替えてしまおうとギャンブルに出たわけである。そのことは、チームメートのオコンが2周目に同時ピットインしたにも関わらず、ドライブスルーさせていることからもわかる。
「エステバン(・オコン)のピットインはコミュニケーションミス。だから、私たちは彼をドライブスルーさせたの」
コリンズによれば、「ドライブスルーによるタイムロスは15秒」だったという。それでもインターミディエイトタイヤでステイアウトさせたほうが、あの時点では良かったと判断していたことからも、フェラーリが採った作戦はかなりリスクの高い選択だったことがわかる。
「2周目の時点ではターン14から最終コーナーまでがまだかなり濡れていました。あそこはトラクションが重要な場所なので、あの時点ではドライへのスイッチはまだ早かったと思います」