では、今回4レース目となるジェンソン・バトンのパワーユニットのみ、次のカナダGPで先にアップデートするという方法はあるのかと尋ねると、長谷川総責任者は「バラバラに入れることない」と即答した。そして、こう続けた。
「トークンを使用しても、ブロックは同じものでも問題はないので、エンジン本体は同じものでいきます」
それはロシアGPでメルセデスが行ったのと同様の手法である。ホンダも6つのコンポーネント「以外」の部分に、トークンを使用するということだ。メルセデスに追いつくためにパワーを上げるとしたら、燃焼室にあるものを改良しなければならないだろうから、考えられるのはインジェクター(燃料噴射装置)かイグニッション(点火装置)、あるいは双方となる。
この予測が間違っていなければ、ホンダもメルセデス、フェラーリ、おそらくモナコでトークンを使用したルノーも導入している「セミHCCIシステム」のようなものを採用すると考えられる。
モナコで3基目を投入したアロンソのICEは、これまでと同じスペックだが、信頼性向上を目的とした改良をFIAの許可のもとに行っている。
「今回トークンを使用せずに、信頼性向上のための改良を行ったのは、今後のことを考えての措置です。すでに1基で4レースを走りきる信頼性は確認できましたが、今後パワーアップしつつ、より距離を延ばすためには補強を加えなければならないところがあったので、その対策を行いました」と長谷川氏は言う。
現在の情報を総合すると、次戦カナダGPでホンダがトークンを使ったアップデートを持ち込む可能性は否定できない。しかし、それが確認できるのは、実際の走行で効果が確認できたあとになりそうだ。