23周目にピットインを済ませると、前はザウバーのルクレール、後ろはペレスという実質10番手争い。ずっと追いかけてきたアロンソはルクレールをアンダーカットすることに成功していた。
依然として中団の中で最速のペースを見せたガスリーだったが、ストレートの速いザウバーはなかなか追い抜くまでには至らず膠着状態に入ってしまった。ガスリーはややリヤのスタビリティ不足に苦しみ、それがブレーキング時の安定性と加速時のトラクション不足に繋がっていた。
エンジニアからは再三に渡ってルクレール攻略を促す指示が飛ぶ。
L30:STR「LECをオーバーテイクする必要がある」
L31:STR「彼はブルーフラッグを受ける。この周にLECを抜く必要がある」
L37:STR「スタビリティ向上のためにエントリー4を使え」
44周目には首位のセバスチャン・ベッテルが追い付いてきて周回遅れにされ、その際にベッテルの1秒以内で走ることでバックストレートでDRSを使って抜こうとするが、それも上手くはいかなかった。
STR「さっきの周はLECより0.2秒速かった。キャッチできるぞ。VET(ベッテル)の(周回遅れにされた際の)DRSを生かせ」
そうこうしているうちに、ガスリーのタイヤは状況が厳しくなってきた。前走車の背後を走ることでダウンフォースを失い、スライド量は増えてしまうからだ。
ガスリー(以下:GAS)「タイヤのデグラデーションが厳しいよ、フロントもリヤもだ」
STR「了解。LECは0.1秒速い、彼を捕まえる必要がある」
STR「前のLECはブレーキに問題を抱えている。ポイント争いをしているんだ、彼を捕まえろ」
52周目、ルクレールはレース序盤からブレーキ温度の不安定さに苦しんでいたが、ガスリーの後方には25周も若いタイヤに履き替えたばかりのロマン・グロージャンが迫ってきて、前を追うことよりもディフェンスを考えなければならなくなってきた。
STR「後ろのGROは2秒差、スーパーソフトで15秒7で走っている」