カナダGPでチェッカーフラッグに関するミスが起きた問題について、レース後、レースディレクターのチャーリー・ホワイティングが会見を行なったのに続いて、F1のモータースポーツ担当マネージングディレクターであるロス・ブラウンも誤った批判を受けたウィニー・ハーロウに対し謝罪を行った。
しかし、どちらも謝罪する相手とミスが起きた問題の本質を取り違えているように思える。
まず、謝罪する相手だ。FIA側のホワイティングは「チェッカーフラッグが1周早く振られたのはスタッフ間にコミュニケーションに誤解があったからで、フラッグを振ったウィニーに責任はない」とし、F1側のブラウンは「ウィニーは与えられた指示に従っただけで、何も悪くない。彼女が辛い思いを味わったことに対し謝罪したい」と語っている。
だが、彼らが本当に謝罪しなければならないのは、生死をかけて戦っていたドライバーやレース関係者であり、それを熱心に観戦していたすべてのファンではないか。
次に問題が起きた本質だ。ホワイティングは「人はミスをする。しかも、国が違えば言葉も違う。完全にパーフェクトとはいかない」と言い、ブラウンは「グランプリにセレブが来ることによって、新たな観客を開拓することに役立つ」という主旨のコメントを行なっている。
両者とも「問題の再発を防ぐための対策を行う」とは言っているものの、チェッカーフラッグをハーロウに振らせたことを問題視していない。つまり、今回のように再びセレブがチェッカーフラッグを握る可能性があるということだ。
われわれが今回の一件で理解に苦しむのは、“なぜ、ウィニー・ハーロウだったのか?”だ。