実際、チームは雨の予選に序盤少し混乱していた。Q1の序盤はインターミディエイト(雨用と晴れ用の中間)タイヤでの予選となったが、徐々に路面が乾きだし、後半はドライタイヤを履いてのアタック合戦となった。ハートレーは路面状況をレースエンジニアと細かく無線で話し合い、早めにドライタイヤに交換した。
しかし、ピットインの際、「メカニックがフロントウイングの角度を調整し忘れたため」(ハートレー)、次の周に再びピットインしなければならなかった。これでタイヤの温度が下がったハートレーはなかなか思うようなアタックができないまま、Q1突破圏外に落ちてしまう。
「あれが最初で最後のチャンスだった」というラストアタックで、ハートレーは1分18秒429をマーク。「今年、一番の予選だった」と喜んでいた。
一方、ガスリーも「クルマをコース上にとどめておくのがとても難しいコンディションだった」と語るように、雨によって予選6番手を獲得できたというわけではない。そして、こう振り返る。「チームが素晴らしいタイヤ戦略を立ててくれた」と。
例えば、Q2はセッションの途中から雨が強くなったが、「雨脚が強くなる前にタイムを出せたことが良かった」と、ホンダの田辺豊治F1テクニカルディレクターが指摘するように、ドライバーをアタックに出すタイミングがすばり当たった。
この日のトロロッソ・ホンダの6番手と8番手は、雨によって助けられたのではなく、雨を味方につけて勝ち取ったチーム最高の結果だった。