ライコネンは20周目にピットイン。メルセデスAMGがブラフとも言えるピット準備をしたのを見て動いたようにも見えたが、早い段階でハミルトンがピットインを取りやめたのを察知したもののフェラーリはライコネンをピットインさせた。スーパーソフトタイヤがもう終わりかけていたからだ。
MGP「ハンマータイムだ、ルイス。全てを捻り出せ」
前が開けてプッシュし始めたハミルトンは、一気にペースを上げる。これを見てメルセデスAMGはさらにステイアウトを指示する。
MGP「ステイアウト。君には(速い)ペースがある」
MGP「あと1周いくぞ、カモン! ここで(リードを)掴み取ろう!」
MGP「ストラットモード5」
24周目には「ロックアップしたよ」とハミルトンが報告するが、タイヤが発するバイブレーションデータを見る限りでは深刻なダメージは負っていないことを確認した上でチームはさらにハミルトンを走り続けさせる。
低速コーナーでは高いギヤを使ってホイールスピンを防ぎリヤタイヤを守る。
HAM「ギヤの使い方はこれでOK?」
MGP「ターン1~2は3速でOK。何か変更の必要があれば伝えるよ」
そして28周目、ハミルトンをピットに呼び入れた。
MGP「BOX、BOX」
HAM「タイヤはまだ問題ないよ」
MGP「良いからBOXだ、BOX、BOX」
ピットアウト後のライコネンがプッシュしてハイペースで走行したためオーバーカットすることはできなかったが、ライコネンの前にはまだピットインしていないバルテリ・ボッタスがいた。
MGP「RAIは4.4秒前。その前にまだピットインしていないBOT(ボッタス)だ」
ボッタスには「RAIを後ろに抑え込め」という指示が飛ぶ。この間にハミルトンはライコネンとのギャップを縮め、背後に迫っていく。
MGP「BOTはまだRAIの前で引っ張っている。君は0.8秒速いペースだ。セクター2で速い。ギャップは3.7秒になった」
フェラーリは1周目の接触でピットインを余儀なくされたセバスチャン・ベッテルにそこからノーストップで最後まで走らせてハミルトンに勝負を挑ませる戦略を採ったが、ブリスターが発生して2度目のピットストップを強いられた。メルセデスAMG対フェラーリは2対1の戦いだ。
ライコネンのソフトタイヤにブリスターが出ているのを見て取ったメルセデスAMGはハミルトンにより一層のケアを指示した。
MGP「RAIはブリスターが出ているかもしれない。君の第1スティントのタイヤもブリスターが出ていた。新しいリミット(温度)は131だ」
34周目あたりからはさらに厳しくタイヤマネージメントの指示が飛ぶ。
MGP「左リヤを守ることがクリティカルになる。RAIはブリスターに苦しんでいる」
暫定首位ボッタス、2位ライコネン、3位ハミルトンというトレインの中で、メルセデスAMGはハミルトンに無理はさせなかった。
MGP「左リヤがオンザリミットだ。タイヤをできるだけキープするんだ。ダブルDRSも助けになることを忘れるな」
HAM「タイヤを労りながらじゃペースを維持することができない」
MGP「HPP7、ポジション1。ルイス、このレースはタイヤで勝つか負けるかが決まる。とにかくタイヤをケアするんだ。RAIはタイヤを壊している。君は同じことをするな」