勝てるF1マシンの設計、開発、製作には長い時間がかかる。
メルセデスAMG・ペトロナス・モータースポーツの場合、2019年型新マシン『W10』の製作は、今から16カ月前に始まった。これは2017年のことで、このときチームはまだ4度目のチャンピオンシップタイトルを賭けて2017年シーズンを戦っている最中だった。
製作作業は少数のエンジニアグループが、2019年型マシンの全体的なコンセプトを検討することから始まった。そして徐々にメルセデスのスタッフが2018年型マシンから2019年型マシンへ作業を切り替えていったのだ。
「2019年型マシンであるW10のプロジェクトは、2017年のシーズン後半に始まった」とメルセデスのテクニカルディレクターを務めるジェームズ・アリソンは語った。
「最初のミーティングが行われた時に、シャシーやパワーユニットを今シーズンのものからどのように変えるか、プロジェクトの大まかな目標が話し合われた」
「そして2018年型マシンの開発と走行担当、適切な人材と設計作業の人員の割り当て、2019年型マシンの構想・設計へのリソース配置を考えたんだ」
2018年7月の終わりまでに、設計部門の半数以上のエンジニアが2019年型のメルセデスW10の作業にあたっていた。そして10月には、ファクトリーの総力をあげてW10に取り組んでいた。2019年型マシンのパーツ設計と製作を行い、全体で約7,000枚もの図面が製作に回された。
■あらゆるテストを得て万全の態勢でシェイクダウンを行ったメルセデスF1
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