バルテリ・ボッタスとマックス・フェルスタッペンがレース序盤に順位を落とし、いつも以上に圧倒的な独走劇を演じるルイス・ハミルトンを見て、「抜けないモンツァは退屈だな」と思った矢先にまさかの大波乱。終わってみればトップ3は誰が勝ってもF1初優勝となるフレッシュな顔ぶれ。メルセデスF1とレッドブルF1がそろって表彰台を逃したのは、フェルナンド・アロンソが最後に優勝した2013年のスペインGPまでさかのぼらなくてはならないほど遥か遠い昔の出来事だった。
惨憺たる結果でダブルリタイアを喫したフェラーリ勢のことすら忘れてしまいそうな2020年F1第8戦イタリアGPを、関係者やドライバーのSNSで振り返る。
────────────────────
ミナルディをルーツとするファエンツァのチームのふたつの勝利。セバスチャン・ベッテルにとっても、ピエール・ガスリーにとっても、これがF1での初勝利となった。
3者ともこれまでの表彰台経験が1回ずつ、誰が勝ってもF1初優勝となるフレッシュなトップ3の顔ぶれ。メルセデスF1とレッドブルF1がそろって表彰台を逃したのは、フェラーリ時代のフェルナンド・アロンソが(現時点で)最後のF1優勝を飾った2013年のスペインGP以来だった。
荒れたレース展開では無類の強さを発揮するランス・ストロール。2017年アゼルバイジャンGP以来となる自身2度目の3位表彰台を獲得した。7戦連続ポイントゲットでランキング4位に浮上、上位チームとの戦いの中で着実に成長を遂げている。
レース再開後には一時2位を走行したキミ・ライコネンだったが、ソフトタイヤの限界とマシンの戦闘力不足によりポジションを守れず。またしても今季初ポイント獲得はならなかった。
昨年のイタリアGPウイナー、シャルル・ルクレールは、最終コーナー、パラボリカの出口でタイヤバリヤに激しくヒット。フェラーリは悪夢のような地元グランプリとなった。レース後は子どもの頃からのライバル、ピエール・ガスリーのF1初優勝を祝福するために駆け付けた。
ハースF1のロマン・グロージャンは無線でレースリザルトを確認。フランス人F1ドライバーの優勝が1996年(オリビエ・パニス)以来だと瞬時に理解しているところはさすが。本来であれば自身がその役になりたかったはずだが、母国の後輩の勝利に喜びを爆発させる様子はとても清々しい。
2021年シーズンからアルピーヌF1に改称することが発表されたルノーF1。マシンカラーもルノー・イエローから一転、フレンチ・トリコロール風のブルーを基調としたものに一新されるのであれば、青系のレーシングスーツに身を包んだフェルナンド・アロンソが再び見られる?
ピエール・ガスリーの優勝でフランス人のF1ウイナーは13人目。その13人で挙げた合計80勝のうち51勝は“プロフェッサー”アラン・プロストがひとりで積み上げたものだ。
決勝前にマシントラブルで走れなかった前戦のうっ憤を晴らすかのように、イタリアGPの週末は予選から絶好調だったカルロス・サインツJr.。優勝まではあと一歩届かなかったが、レース後に繰り上げで3位になった昨年のブラジルGPとは異なり、ついにホンモノの表彰台に立つことができた。
ホンダF1のモンツァの勝利は1992年のマクラーレン・ホンダ、アイルトン・セナ以来28年ぶり。きっとホンダのインスタグラム担当の方がセナの写真を使ってみたかったんだろうなぁと思う一枚。